えみるたちの歌を聞いていると、そこにアンリとどうにも見覚えのある女性がやってきた。
「やぁ、ほまれ。ちょっといいかな?」
「アンリ……何しに来たの?」
「ちょっと頼みたいことがあってね。それとそこの彼……いや彼らの知り合いを連れてきたんだよ」
「な、何で……シェーレが……」
タツミはアンリが連れてきた女性……シェーレを見て驚きを隠せないでいた。というかタツミ、いい加減そこら辺はなれるべきじゃないのか?
「なぁ、ミナト、この人、前に手配書で見た覚えが有るんだけど……」
そういえばウェイブたちとは会う前だったんだっけな。
「ナイトレイドの一人だよ。万物両断エクスタスの使用者で、セリューに殺された」
「そういえばセリューが言ってたな。ナイトレイドの人を一人殺したって、だけどかなり後悔してたみたいだったし」
そこら辺に関しては俺も知っている。何せシェーレが死んだ後にセリューに泣きながら謝られたからな
「タツミ、ミナト、久しぶりですね。私がいなくなったあとのことは聞いてますよ」
「聞いてるって誰にだよ。というかアンリはいつの間に保護していたんだよ」
「彼女はつい最近だよ。まぁちょっと前から君たちの仲間を保護していて、機会があったら会わせてあげるよ。とりあえず話をしたいからいいかな?」
アンリとシェーレを中に入れ、俺はえみるとルールーの二人を呼ぶのであった。
「ファッションショーに出演してほしい?」
「あぁ、僕の知り合いのデザイナーの吉見リタの主催のファッションショーさ。今回、僕も特別にモデルとして出演することになったんだけど、でも僕が出るだけじゃ当たり前すぎるでしょ、もっと面白くするためにちょっとノイズを立てたいと思ってね」
「なるほどな……それで俺達の誰かに出てもらうっていうことか」
だとするとほまれかさあやか?もしくはクロメとか?
「はなちゃんの時代がついに来たか~謹んでお受けしま……」
「君じゃないよ」
「めちょっく!?」
うん、はなは何というか……いや、言わない方がいいなこういうことは……
「君と君、えみるとルールーだっけ?」
「私達ですか?」
「君たちの凸凹感が素敵だなって思ってね」
この二人なら確かに任せられそうだな。それにいい経験になるし……
「ランウェー歩けるなんてなかなかない経験だよ」
ほまれがそういう中、何故かえみるは心配そうな顔をしていた。
「無理なのです。レッスンもしてないのにランウェーでウォーキングしたら、すってんころりん転んで、客席に落ちて、そのままファッションの街パリまで転がっていくのです」
いや、どんだけだよ。そういえば心配性なところがあったな……
「えみる、パリまで転がっていくことはできません」
「でも、砂浜まで行く可能性はあるのです」
「えみる、だったらレッスンすれば大丈夫じゃないのか?アンリ、時間はあるよな」
「あぁ、あるよ。そうだ、ミナトだっけ?君には彼女たちのマネージャーをお願いするよ」
「何で俺が……」
「君は色々と支えてくれそうだからね。今までのことを考えればね」
支えられるって、俺は別に支えてきた覚えがないんだけどな……
次の日、警備室でセリューにシェーレのことを話した。セリューは少し暗い顔をしていた。
「そう、あの時の人が……」
「まだ気にしてるのか?前に言ったように、そういう戦いだったんだ。気にするなって」
「そうだけど……私はあの人に謝りたい。そういう戦いだったとしてもこれからのことを考えていくと……」
「そうか……」
何というかこういう時は放っておくべきことだよな。クロメとチェルシーのときもそうだったし……
「まぁ今度ファッションショーあるからそのときにでも謝っておけ。そしてこれから一緒に戦うって言え」
「わかった」
俺はセリューにそう言って、警備に出かけるとはなとアンリの二人を見かけた。
「何かあったのか?」
「ミナトくん、聞いてよ。さっき……」
「やれやれ、君が気にすることじゃないよ。言いたいやつに言わせておけばいいのさ」
「アンリがそう言うなら気にすることはないんじゃないのか?」
「そうだけど……」
「ところでアンリ、悪いんだけどファッションショーの日にシェーレとセリューを話しする時間を作ってくれないか?」
「あぁ、いいよ。そうだな。終わったあとなら彼女も時間があるから大丈夫だよ」
後々から聞いた話だとシェーレはアンリの世話係をやっているとか……ドジをしていないか聞くとやっぱりドジをしてしまうが、アンリからしてみればいい刺激になっていいとのことだった。
「セリューさんとシェーレさんって何かあったの?」
「はな、あの二人は殺し合った仲なんだよ」
「……そっか、そうだったね。ミナトくんたち仲が良いからそんな風に見えないよ」
「昔は昔、今は今、いちいち気にしてられないよ。まぁ、セリューの場合は思いつめすぎだけどな」
「本当に君は面白いよ。彼女たちが認めるくらいだね」
「アンリ、お前のところにあと誰がいるんだよ」
「さぁて、それは会ってからのお楽しみだよ」
何というかはぐらかされたな。まぁいつか会う日を楽しみにしておくか
家に帰るとえみるとルールーがパソコンでファッションショーの映像を見ていた。
「あっ、おかえり。ミナト」
「お邪魔してます。ミナトお兄さん」
「勉強熱心だな」
「えみるが頑張るって決めたから」
「ルールーも頑張るのです。あの……そういえばミナトお兄さんとルールーは同じ部屋なんですか?」
「あぁ、ルールーも気にしてないし」
「はい、ただミナト。いい加減床で寝るのは……」
「俺は慣れているから大丈夫なんだよ。女の子なんだからベッドで寝てていいから」
「ですが……」
「…………………」
何故かえみるは俺とルールーのやり取りを見つめては難しい顔をしているのであった。
ルールーSIDE
ミナトに頼まれ、私はえみるを送っていくことになった。どうにもワイルドハントの中にはえみるを付け狙う人がいるらしく、そのための警戒らしい
「ルールー、聞きたいことがあるのです」
「えみる?」
「ルールーはミナトお兄さんとお付き合いしているのですか?」
「突き合う?」
拳を突き合うことなのかと思った。確かに前戦ったことがある。
「ルールー、多分ですが考えていることが違うと思うのですか?」
「では何ですか?」
「そ、それは……ルールーはミナトお兄さんのことが好きなんですか?」
好き?好意を寄せているということ……よくわからない。そういった感情は本当にわからない
「わかりません。ですが時折心拍数が上がってしまうことがあります」
「ルールー……」
「もしかすると私は彼のことが好きなのかもしれません。ですが、私よりもえみるやはなの方がお似合いかと……」
「………それは違うと思うのです。ルールーは諦めています」
「でも……」
「もしも私やはな先輩がミナトお兄さんとお付き合いすることになったときのことを考えてみてください」
「………」
想像してみると何故か心から嫌なものが出てきた。
「嫌な気持ちになっていませんか?」
「はい……」
「それは嫉妬というものです。ルールー、自分の心に正直になってください」
「心に正直に……ですがそれだとえみると喧嘩を……」
「それは大丈夫なのです。ミナトお兄さんが誰を選んだとしても私は後悔しません」
「………それじゃ私も同じように後悔しません」
えみるは手を差し伸べてきた。
「それでは親友としてライバルとして頑張りましょう」
「はい」
互いに握手を交わすのであった。それにしても私は彼のことが……だとしたら
「男性が喜ぶようなことを学ばないと……」