ファッションショーの当日になり、俺とセリューはえみるたちと一緒に控室にいた。
「ど、どうでしょうか?」
「似合ってるぞ。えみる」
「ミナト、私は?」
「ルールーも似合ってる」
「何だか月並みの台詞なのです」
「えみる、落ち込まないでください。ミナトはそういう人です」
何だか小声で馬鹿にされている気がするのは気のせいだろうか?二人は控室から出ていくとセリューに耳を引っ張られた。
「ミナト、もっとこういい感じの褒め言葉とかないの?」
「そんなもん恥ずかしくって言えるか」
「えみるなんて、緊張してるみたいだったよ」
「たくっ何で俺が……というかそんな事言ってるお前も緊張してるみたいだぞ。少しはなんとかしておけ」
「……わかってる」
俺はえみるたちを追いかけるために、部屋から出るとえみるとルールーの二人が見知らぬ男に絡まれていた。
「帰ろう。えみる」
「えっ!?」
「女の子もヒーローになれる……おかしいよね。ヒーローって男のための言葉だよ。女の子は守られる側だろ。言葉は正しく使わなきゃ」
「そ……それは……」
「女の子はヒーローになれない」
何だこの眼鏡は……自分の考えを押し付けやがって……眼鏡はえみるの手を掴み、連れ去ろうとした。俺は飛び出そうとした瞬間、はながやってきて、眼鏡とえみるの手を引き剥がした。
「おいっ!?」
「誰の心にだって、ヒーローはいるんだよ!人の心を縛るな!!」
全くはなといい……何だかここ最近言おうとしたことを言われてるな。まぁいいか。
「たくっ、ごちゃごちゃ言いやがって、お前の価値観を押し付けてるんじゃない」
俺は眼鏡の前に出てきて、そう告げた。眼鏡は苛ついた表情で睨んでいた。
「最悪だな。えみる、友達は選べってお祖父様にも言われているだろ」
「お兄様……」
「えっ!?お兄さん!?」
「えみる、来るんだ」
それでもえみるを連れて帰ろうとする眼鏡兄。いい加減、切れそうになった瞬間、ドレス姿のアンリが出てきた。
「相変わらず君、つまらないことを言うね」
「若宮くん……はは、何だい?その格好……」
「ドレスだよ」
「それは見てわかるよ。何で君がそれを着ているか聞いてるんだよ」
「すごく素敵だと思ったから」
「君、男だろ?」
「だから何?自分がしたい格好をする。自分で自分の心に制約をかける。それこそ時間の……人生の無駄だよ」
「アンリ……よく言った。少しは考え方を変えたほうが良いぞ。眼鏡兄」
俺とアンリはえみるを連れて行くのであった。
「……お兄様……」
何というかえみるの前で言い過ぎた気がするけど……どうしたものか。
「そういえばシェーレと彼女が会うのはショーが終わってからでも良いけど、ちょっと君に合わせたい人がいるんだ」
「あわせたい人?シェーレ以外にか?」
誰だ?もしかしてアカメとか?アンリはアカメのことを保護してそうだしな……
「それは会ってからのお楽しみだよ。あの人もなかなかおもしろい考え方を持っているからね」
一体誰だよ。
セリューSIDE
控室で二人の出番が終わるのを待っている私、この後きっと彼女と会うことになるけど……
「やっぱり怖い……」
クロメはチェルシーと和解ができた。私にもできるはずだと思うけど……
「きっと恨んでいたら……」
私はあの日のことを思い出した。
コロの狂化を使って、シェーレとマインと呼ばれる少女を追い詰めていく中、私はシェーレにあることを訪ねた。
「………ナイトレイドにミナトという人いる?」
「ミナト……いますよ」
「シェーレ!?言ったらだめ!?」
「……もしかして貴方がミナトと会っている人なんですか?」
「……えぇ、彼との約束を守るために……」
「約束……」
「私はここであなた達を討ち、ミナトに私は殺してもらう……」
「何よそれ!?勝手なことを……」
マインと呼ばれる少女をコロが捕まえ、握り殺そうとしていた。だけどシェーレがコロの腕を切り裂いた。
「マイン、逃げてください」
「シェーレ……あんた……」
「大丈夫です。きっと追いつくので……」
「くっ、でも……」
「いいから!?」
シェーレの声を聞き、マインはそのまま逃げ出すのであった。私はコロに追いかけないように指示を出した。
「……お名前はセリューさんでしたっけ?」
「えぇ」
「彼に伝えてもらっていいですか?私は最後まで格好良くドジを踏まずに……戦ったって」
「……わかったよ。約束する」
「結局、ミナトに言えなかったな……」
シェーレの最後の言葉を……
「うじうじしてないで、えみるたちのランウェイを見てこようかしら」
私が控室から出ていこうとした瞬間、大きな音が響いた。私はすぐに事態を把握し、部屋から飛び出すと丁度、シェーレも出てきた。
「貴方は……セリューさん」
「シェーレ……」
なんて言えば良いのか分からなくなってきた。こういう時どうすれば……
そんな時、シェーレが私の手を握った。
「行きましょう。今度は殺し合う中ではなく助け合う中として……」
「シェーレ……えぇ、わかった」
ミナトSIDE
突然オシマイダーが暴れだし、えみるとルールーを助けていたアンリがオシマイダーに捕まっていた。
はなたちもプリキュアに変身し、オシマイダーの前に出た。
「やぁ、君たち……これ僕、お姫様ポジションになっちゃてない?」
「良いんだよ。男の子だって、お姫様になれる」
キュアエールたちが攻撃を仕掛け、俺も斧でオシマイダーの頭を思いっきり叩いた。
「オシマイダー!!」
攻撃を喰らい、暴れる中、アンリは何かに気が付き、オシマイダーに向かって話しかけていた。
「僕は君のために僕を変えることはできない。誰に何を言われたってかまわない。僕の人生は僕のものだ。だってこれが僕、若宮アンリだから……君も君の心を愛して」
オシマイダーはアンリの言葉を聞き、手を離し、地面に落ちそうになった。だけどギリギリのところでセリューとシェーレの二人がアンリをキャッチした。
「やぁ、仲直りできたのかい?」
「はい」
「これからは助け合う仲としてね」
何だか知らない内に和解できたみたいだな。オシマイダーは更に攻撃を仕掛けようとした瞬間、どこからともなく声が響いた。
「誰に何を言われたってかまわない。僕の人生は僕のものだか。アンリはわかってるじゃねぇか!!」
オシマイダーの頭上から何かが落ち、オシマイダーを地面にめり込ませた。そして地面にめり込んだオシマイダーの前には白い鎧の男がいた。
「タツミさん?」
「何だか鎧の形が違くない?」
「もしかしてミナトさんの知り合い?」
まさかこの人までここに来てるなんてな。
「ブラート!!」
「よぉ、ミナト。元気そうだな」
全く、変わってないな……
「おい、プリキュアだっけ?この化物を頼むぞ」
「は、はい」
キュアエールたちのトリニティコンサートでオシマイダーを浄化するのであった。それにしても今回は何だか妙だった。パップルの姿がない。
「ふぅ、倒されちゃったか」
どこからともなく声が聞こえ、振り向くとそこには見たことのない女がいた。
「あなたは……」
「マイ ネーム イズ ジェロス。通りがかりよ。友情とか愛情とか、そういうの吐気がするほど嫌いなだけ。本番はまだまだよ。グッバイ、素敵な悪夢を見てね」
「逃がすと思ってるのか!!」
「ミナト!危ない!!」
俺が飛び出そうとした瞬間、兄貴が俺の前に出て何かを防いでくれた。
「周囲に気を配れ!!」
「悪い」
兄貴が防いでくれたものを見るとそれは蟲だった。しかもこれって危険種の……そしてジェロスの隣には黒い日傘を持った黒髪の女性が立っていた。
「お待たせ。ジェロス」
「遅かったわね。またナンパでもしていたの?」
「そんなところよ。そして初めまして、私はメラルド・オールベルグ。この名前、知ってるわよね」
「オールベルグ?おいおい……革命軍の同士が敵に回ってるのか?」
「ふふ、アンタみたいな暑苦しい男には興味が無いわ。そっちの彼女たちの方が興味深いわ」
キュアエール達女性陣が思いっきり体を震わせていた。何というかそういう性癖なんだな。
「今度会う時は楽しみましょう。まぁその前にそっちの男どもは始末するけどね」
ジェロスとメラルドはそう言って姿を消すのであった。新たな敵か……面倒なことになってきたな。
次回はプリキュア19話の最後らへんから20話の話を続けてやっていきます。