えみると付き合うことになり、数日がたった。本来はそれに伴って野乃家を出ていくつもりだったのだが、どうにもえみる曰く同棲はまだ早いということで、未だに野乃家に、ルールーと同室だった。
「それにしてもミナトくんがえみるのこと好きなんてね~」
「えみる、すごく嬉しそうにしてましたよ」
はなとルールーの二人が俺の部屋でそんな事を話していた。祝福してくれるのは嬉しいけど……
「ただちょっと不安なことがあるんだ」
「不安?」
「何が不安なんですか?」
「俺は前の世界で恋愛とか本当に分からなくって……えみるのことを幸せにできるのかどうか……」
本当に誰かと付き合うってことは考えたことすらなかった。いざ付き合うっていうことになって、かなり不安だったりする。
「う~ん、それは誰も同じじゃないかな?誰だって最初は初心者だし」
「不安になることは無いと思います。きっとえみるがミナトを支えてくれると思います」
「そうかな……」
はなSIDE
「ミナトさんが不安がっているのですか?」
「うん、お付き合いってしたこと無いからって」
ハリーハウスでえみるにミナトくんが不安になっていることを話した。あんまりこういうのは話してはいけないことだろうけど、隠しておくのも……
「ミナトさんは前の世界でそう言った経験がないって言うのは聞いてますが……私、ミナトさんの昔のこと、全然知りません」
「それだったらいい機会だし、教えてあげようか?」
私達の話に、セリューさんとレオーネさんが混ざってきた。教えるって……もしかして……
「あいつの昔のこと……」
「ミナトさんの昔……」
ミナトSIDE
不安でしょうがないか……こんなことを悩むのはあっちじゃ考えられなかったな。
俺は木のそばで眠ることにしたのだった。
とある屋敷の噂を聞きつけた俺は、みんなに内緒で夜中にこっそり潜入した。
「噂だとここの住人は悪趣味なことをしてるはずだけど……」
特に目立ったものは見当たらない。噂は所詮噂だったか……
敷地内から出ようとした時、倉庫らしき場所から女の子が出ていくのを目撃した俺は、人がいなくなったことを確認し、倉庫に入るとそこには……
「ひどいものだな……」
むごたらしい死体。おまけに檻に閉じ込められた人々……胸糞悪いな
「な……あん……た……」
檻の中から声が聞こえ、振り向くとそこには一人の少年が囚われていた。
「大丈夫……じゃなさそうだな」
「あんた……この屋敷の人間か?」
「いや、俺は警備隊のもので……ここの噂を聞きつけたものだ。今すぐ助けて……」
「いや、いいんだ。俺はもうだめだ」
「何言ってるんだ?まだ助かる可能性は……」
俺は檻を破壊しようとするが、少年はそれを止めた。
「俺のことはいい……サヨを……そこに吊らされてる子を助けてくれないか?あいつならまだ助かるはずだから……」
少年が指さした女の子を見ると足が片方切り落とされている。だけど微かに息はある
「……お前の知り合いか?」
「あぁ、幼馴染で……村を救うために帝都に来たんだけど……」
騙されてこんな目にあったか……
俺はサヨと呼ばれる少女を縛る鎖をレガオンで切り落とし、彼女を背負った。
「悪いな。見ず知らずの奴にこんなことを頼んで……」
「お前、名前は?」
「イエヤス……あんたは?」
「ミナト・ユウだ。あんたのことは忘れない。それにこの子は必ず助ける……約束する」
「あぁ……頼んだ。あと出来ればタツミって奴を見つけたら……そいつも頼む」
かっこいいやつだよ。お前は……
俺は屋敷からサヨを背負いながら抜け出すとそこにはオーガ隊長とセリューの二人が待っていた。
「勝手なことをしやがって……」
「ごめん、ミナトが宿舎を抜け出すのを見つけて……」
「説教は後にして欲しい。この子をお願いします」
俺はサヨを隊長とセリューに預け、レガオンを抜こうとした。
「何をしようとしている?」
「止めないでください。隊長……俺はこんなこと見過ごすことは……」
レガオンを起動させようとした瞬間、隊長に思いっきり殴られ、意識を失うのであった。
気がつくと自分のベッドで眠っていた。そして側には隊長がいた。
「目が覚めたか」
「……あの子は?」
「俺の知り合いに預けてる。腕は確かだから大丈夫だろう」
「そっか……因みに俺の処分は?」
「一応俺のツテでお前がやったことをもみ消しておいたが……お前はどうするんだ?昨日のことを忘れて、警備隊を続けるか?」
「………」
隊長はめんどくさそうにしながら、頭をかいていた。
「ゆっくり考えろ。俺はお前が決めたことに関しては口をだすつもりはない」
隊長は部屋を出ていった。これからどうするか……か……
俺は街を当てもなく歩いていると何枚かの手配書が目に入った。
「……ナイトレイド……」
暗殺者集団だって聞いたことがあるけど……こいつらは……
「そこの少年、何してるんだ?」
突然後ろから誰かに抱きつかれた。振り向くと金髪の女性だった。
「何だよ……」
「昨日のこと、私は知っているっていったらどうする?」
女性が殺気を込めた声でそう告げた。こいつ、まさか見ていたのか?
「あんたは?まさかと思うけど、革命軍とかナイトレイドじゃないよな」
「……勘が鋭いね……私はレオーネ。ナイトレイドさ。あんた、帝国の闇を知って、これからどうするんだ?」
「俺は……」
「ここに来な。まぁ報告してもあんたの仲間は全員殺すけどね」
気配が消えた。振り向くとレオーネって言う人は姿はなかった。俺はこれから……
深夜、俺は軽い荷物とレガオンを握りしめた。これから先、帝国の闇を知りながら見過ごすことはできない。それだったら……
「腹決めたみたいだな」
宿舎から出た瞬間、オーガ隊長が立ちはだかっていた。
「……裏切る俺を殺しに来ましたか?」
「あぁ、そうしたいところだが……帝具を持ったお前を殺すことは無理そうだな」
「見逃すのか?」
「見逃す?朝気がついたら、隊員の一人が逃げ出した。多分だが警備隊の仕事についてこれなくって、逃げ出したんだろうって報告しておく」
「……隊長」
「さっさと行け」
「はい!!」
俺は走り出すと街の入口にセリューがいた。
「セリュー」
「ミナト……」
「悪いけど、俺は帝国の敵になる」
「それは………私の両親を殺した奴と同じ悪になるっていうこと……」
「セリュー、これだけは言わせてもらう。お前が悪を憎むのはダメだとは言わない。だけど憎しみでお前の正義を歪めるな。悪は悪なりに理由がある」
「……ミナトみたいに帝国を変えるために悪に染まるっていうこと?」
「あぁ、あと約束してくれ。戦場で出会ったら殺し合おう。だけどもし休暇とかで出会ったら………また前みたいに話そう」
「………わかった。約束だよ……ミナト」
それからは俺はレオーネの姐さんの紹介でナイトレイドに入り、みんなと出会い、訓練を積み、初任務の時、サヨを助けた屋敷でタツミと出会った。
タツミの初任務で俺は見守りをすることになった。タツミは標的であるオーガ隊長を倒した。
「隊長……」
「なんだ……お前か……文句なら聞いてやるぞ……」
死にかけの隊長……タツミはじっと俺のことを見つめていた。俺は笑顔で……
「うちの新入り……どうだ?強かっただろう」
「あぁ、強かったよ。だが出来れば……お前に殺されたかったな……」
隊長はそう言い残して死んだのだった。
「ミナト……」
「タツミ、帰るぞ。アカメたちが心配してるからな」
シェーレがなくなったあと、俺はセリューに隊長が行ったことを話した。きっとセリューは怒るだろうなと思っていたけど……
「ミナト……私も貴方の仲間を……」
「お互いそういう関係になったんだ。気にしなくていい」
「でも……」
「セリュー、一つだけ約束してくれないか?」
「約束?」
「俺とお前が戦場で出会ったら………俺がお前を殺す。お前も俺を殺せ」
「………わかった。元同僚としてではなく、互いに敵として……」
えみるSIDE
ミナトお兄さんの過去……思った以上のものだった。
「まぁ今じゃ考えられなかったけどね。ナイトレイドと手を組むなんて」
「こっちもだよ。というかタツミたちがすぐに意気投合してるから、私は悩まなくっていいけど」
「あの、私……ミナトさんのところに行ってきます」
私はハリーハウスを出ていき、ミナトさんがいそうな場所へと向かうと告白してくれたあの木のところで眠っているのを見つけた。
「ミナトさん!!」
「ん?えみる?どうしたんだ?」
私はミナトさんに抱きつき、あることを約束した。
「ミナトさん、約束します。ミナトさんが辛い昔を思いださないくらい、幸せな明日を……思い出を作っていくって……」
「えみる……」
ミナトさんはため息をつき、そっと私の頭をなでた。
「期待しておくよ。えみる」
「はい、期待していてくださいなのです」
クライアス社
研究室にて
「さて完成したぞ。フォルシュよ。お前の皇具だ」
「これが僕の……」
「次の戦いで見せよう。新たな戦力を……」
次回からはスーパースターズの話をやります。
とはいえ、話の流れ的にははなたちがいちかとみらいたちと再会をする感じになります