キラパティでの一時から数日が経った。ナタラとポニィもなるべく俺たちの手伝いをすると言っていて、そのうちに会いに来るらしい。
そんな事を考えながら、俺は仕事の都合上遅い時間に帰ってきていた。
「流石にみんな寝てるよな……」
そう思いながら、玄関を開けるとリビングからすみれさんが出迎えてくれた。
「ミナトくん、おかえりなさい」
「すみれさん、待っててくれたんですか?」
「えぇ、はなとルール―も待ってたんだけど、いつ帰ってくるかわからないから先に寝かしたわ」
何だか迷惑かけたな。こういう時、連絡とかしておけば良いんだけど……未だにこの世界にある通信器の扱いにはなれない
「ご飯は?」
「あぁ、大丈夫です」
「そう……」
とりあえずお風呂に入って眠ったほうが良いと思い、自分の部屋に戻ろうとした時だった。
「ミナトくん、はなは学校ではどんな感じ?」
「ん?元気ですよ。あいつ、学校であったこととか話したりしてないんですか?」
「ううん、違うの……ミナトくんには話してもいいかな?」
すみれさんから語られたはなの過去……俺は今のはなから考えられないくらいのものだったからか驚きを隠せないでいた。
「そんなことが……」
「ミナトくんにはお付き合いしてる子がいるけど、はなのこと支えてあげてね」
「わかりました」
クライアス社
リストルは広い場所にてある報告を終えていた。
「どうやら動き出すみたいだな。リストル」
「ハイト……お前の方はどうなんだ?お前の精鋭とやらは残り二人。お前の傑作も動こうとしてないぞ」
「精鋭?奴らはただの駒に過ぎない。いや、ドロテアとコスミナの二人は違うか。それにお前が動き出すのに合わせてやっていることに気がついていないのか?」
ハイトは笑みを浮かべ、リストルも笑みを浮かべていた。
「気がついていたさ。ならばもうすでに……」
「あぁ、出来ている。フォルシュの皇具、リアンの皇具、そして……」
二人の後ろからゆっくりと誰かが歩いてきた。筋肉隆々に白髪の男。その両腕には篭手が装備されていた。
「気が早いな。まだお前の出番じゃないだろ。ブリッツ」
「ハイト様。だが顔見せくらいはするだろう」
「そうだな。いい機会だ。メラルドにも声をかけておけ」
次の日、警備室ですみれさんに聞かされた話を思い出していた。今のはなから本当に考えられないな
「どうかしたの?ミナトさん」
「えみると喧嘩でもしたの~ミナト」
心配そうにするサヨと誂うチェルシー、普通だったらチェルシーの言葉に反論するのだろうけど……
「いや、ちょっとな……」
「珍しいね。ミナトが考え事なんて……」
部屋の奥からカップを持ったセリューも心配そうにしていた。俺が考え事をするのがそんなに珍しいことなのか?
「ちょっと昔の話をきいてな。まぁ、昔のことをいちいち聞くようなことはするつもりもないし……」
今のはなは気にしてないみたいだし、もう考えるのもやめようとした時、どこからか煙が上がったのが見えた。
「オシマイダーか!?」
「タツミ達に連絡済んでるわよ」
俺、セリュー、サヨ、チェルシーで煙の発生地点へと向かうのであった。
煙が上がった場所にはキュアエール達とタツミとウェイブも来ていた。そして俺達の前に体格がよく、眼鏡を掛け、口ひげを生やした男と骸骨のオシマイダーが現れた
「来たな!プリキュア!それにナイトイェーガーズ!!」
「誰?」
「あの人は……」
「わたしの名前はダイガン!今までの雑魚社員とは一味違うぞ!わたしが登場したからには5分で…」
何だか隙だらけだし、殴っておこうとした瞬間、ダイガンが突然紫色の光線を喰らい、地面に倒れた。
「な……何が起きたのです!?」
「本当に五分で終わったねぇ……いや五秒だったかな」
突然現れた緑色のロングコートに紫色の服、ネジが施された黒色のシルクハットを被った初老の男。黒焦げになったダイガンはその男を見て
「ドクタートラウム……何故……」
キュアアンジュは黒焦げになったダイガンの元に駆け寄り、癒そうとしていた。
「しっかりして」
「ありがとう……とても楽になった」
ダイガンは満足そうにしながら、消えていった。にしてもこのおっさんは……
「まさか宿敵であるプリキュアに癒やされて退場とは……実にうらやましい……じゃなかった。けしからん奴だ」
「仲間じゃなかったの!!」
「お嬢さん、30過ぎた大人にはそんなもの存在しないんだよ。彼は我が社のお荷物だったんだ」
「お荷物?人をモノ扱いするな!!」
「今週のビックリドンドンメカ!!」
トラウムは巨大な機械を出現させ、ダイガンが生み出したオシマイダーを機械の中に取り込んだ。
「ピコっとね!!発注!!猛オシマイダー!!」
今までのオシマイダーより更に凶悪そうな姿をしたオシマイダーが現れた。俺、タツミ、ウェイブ、セリューで猛オシマイダーに向かっていこうとした瞬間、何かが空から降りてきた。
「お前は……フォルシュ!!」
「……トラウム。コイツラの相手は僕がします」
「えぇ、任せましたよ」
フォルシュは蒼く禍々しい剣を取り出した。あの形……まるで……
「レギオン!!右腕装着!!」
フォルシュの右腕に大剣が装着された。あれじゃまるで……
「レガオンと同じ……」
「ハアアアアアアアアアアアア!!!」
「ミナト!?」
「させるか!?」
タツミとウェイブの二人がフォルシュを止めようとした瞬間、どこからともなくコート姿の二人が現れ、二人を吹き飛ばした。
「タツミ!?ウェイブ!?」
「誰なのよ!?あんたら」
サヨとセリューの二人が助けに入ろうとするが、二人の周りに無数の虫が現れ、囲んでいた。
「あの虫……まさか……!?」
「ふふ、久しぶりね。チェルシー」
トラウムの隣にはメラルド・オールベルグの姿もあった。
俺は大剣を装着し、フォルシュの攻撃を防いでいた。
「どうした!!狂龍騎にならないのか!!」
「なったらどうするんだ?レガオンと似てるなら、それにもあるっていうことだよな」
「そのとおりだ!!この力で全てを破壊する!!お前も!この街に住む人間も!!お前たちの心もな!!」
「そんなこと………させるか!!桐一文字!!」
桐一文字を抜き、フォルシュの頬をかすめた。フォルシュは血を拭い、笑みを浮かべた。
「桐一文字……傷の治療は不可能にさせるつもりだが……レギオン!!」
フォルシュが叫んだ瞬間、頬の傷が再生していった。これは……
「レギオンには時を巻き戻す力を授けている。時を巻き戻せば、治療不可能でも即死の力でも……レギオンがある限り死ぬことはない」
聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くと白いシャッツを着た男とハイトの姿があった。
「遅いぞ。社長」
「社長?」
はなはその男と面識があったのか、驚きを隠せないでいた。男の手には本が握られていた。
「離れろエール!そいつはクライアス社の社長、ジョージ・クライや!」
「えっ!?」
キュアエールが黒い雷撃に吹き飛ばされると同時にフォルシュもハイトの近くに戻り、ハイトの周りには、フォルシュ、リアン、白髪の男、メラルド、ドロテア、コスミナ、コート姿の二人が集まっていた。
「ハイト、どうやら君の戦力は整ったみたいだね」
「あぁ、そうだ。ジョージ・クライ。こうしてお前と会うのは、お前が未来から私の所に来た時以来だな」
「過去の……ましてや異世界に訪れた時に、お前に興味が惹かれたからな」
ジョージは宙に浮かび手を掲げると、キュアエール達のミライクリスタルがジョージの周りに集まり、変身が解けた。
「この時を待っていた」