ほまれSIDE
「姫!姫!人魚姫!」
誰かの声が聞こえ、目が覚めると見知らぬ二人の女の子がいた。私、確かハリーとチェルシーを助けようとして……
「人魚姫って?」
「あなたのことよ」
私のこと?私は自分の体に起きている異変に気がついた。私、人魚になってる!?
「何?これ、どういうこと?」
「やっと目が覚めた?」
ふいに聞き覚えのある声が聞こえ、振り向くとそこには同じように人魚の姿をしたチェルシーがいた。
「どうにも面倒なことに巻き込まれたみたいね」
「どういうこと……もう色々とわけが……」
「ほら、人魚姫、みんなが待ってるわよ」
「陸に近づいたら駄目よ。人間に捕まっちゃうから」
人魚二人はそう言ってどこかへ行くのであった。私とチェルシーの二人も行こうとした時、海に何かが落ちてきた。
「あれって……人?」
私は急いで落ちてきた人を助けに行くとそれは王子の格好をしたハリーだった。
私とチェルシーの二人で近くの丘までハリーをあげた。
「ちょっとハリー、しっかりして」
「うっ……君は……誰?」
「えっ……」
「記憶喪失というよりもこの世界に適応してる感じかしらね?」
「適応って……」
「ほら、このハリーを助けに来た兵士が来たみたいよ。私達は一旦戻りましょう」
私はチェルシーに言われるまま、海へと戻るのであった。それにしてもこの展開……もしかして私達は絵本の世界に来てしまったの?
「どうにもこの世界は取り込んだ相手の心をこんな風にしているみたいね」
「だとしたらこれは私の……」
「あら、ほまれは悲恋物が好きなの?」
「そういうわけじゃなくって、スケートでなにか良いアイディアがないかと思って………それじゃ今日読んだ本がたまたま人魚姫で……」
「なるほどね……まぁほまれの心が大きすぎるせいか、私にはあんまり影響はないみたいね」
チェルシーの心……というより深層心理というものか……一体どんな物があるのか気になるけど、今はこの世界から抜け出すことを考えないと……そのためには……
「ハリーともう一度会わないと」
私とチェルシーはさっきの人魚たちにお城に行く方法を聞いた。人間になれる薬があると渡されたけど、王子の一番の存在にならないと泡になってしまうらしい
「チェルシーはどうするの?」
「私はこれがあるから大丈夫」
チェルシーはガイアファンデーションを使い、人の姿に戻った。何というか変身能力とか便利すぎないかな?
気がつくと私は浜辺に打ち上げられ、ハリーの顔が目の前にあった
「おい、おい、よかった。目覚めたんやな」
「ハリー?」
ハリーは私をお姫様抱っこし、お城へと連れて行くのであった。というかチェルシーはどこに行ったの?
お城のある部屋に連れてこられ、ハリーと色々と話してわかったけど、やっぱり記憶がない。どうにかして記憶を取り戻さないと……
ただ何故か黄色いドレスに着替えさせられ、ハリーと踊ることになってしまった。
「うまいじゃん。ダンス」
「王子やからな」
「それだったら私も……」
何だか急いで戻らないといけないのだけど、こういう時間もいいかもしれない。
もしかしたらどこかで見ているチェルシーに後で誂われるかもしれないけど……この時間だけは……
そう思った瞬間、突然扉が開かれるとブーケで顔が見えないけど一人の女の子が現れ、ハリーは彼女に近寄った。
「また逢えてよかった」
「誰?」
「王子の一番大切な人だよ」
「えっ?ビシン!?」
ビシンはフードかぶった魔女の姿をしていた。これって一体……
「人魚姫の物語の結末は知ってるでしょ。王子様には別の想い人がいました。恋に破れた人魚姫は海の泡となって消えるのでした。僕も驚いたよ。ハリーにもいたって言うこと……一番の相手がさ」
それがあの子だっていうの……
「ここはお前とハリーの心の世界……もう一人いたけど、何故か影響はないみたいだけどね……二人の気持ちが登場人物と重ならなきゃこの世界にはならない。ハリーは重なったからこそこの世界に適応しているということさ。ねぇどんな気持ち?ハリーの想い人がお前じゃないってこと……ハリーがお前なんか好きになるわけない!!さっさと泡になって消えちゃいなよ」
「私は……」
このまま泡になったほうがいいの?ハリーには想い人がいて、私じゃ……
「諦めちゃうんだ!!」
突然チェルシーの声が聞こえた瞬間、ハリーの想い人がビシンに向かって何かを投げつけた。
「つぅ!?これは針?」
ハリーの想い人の姿がみるみるうちにチェルシーに変わった。
「このネズミの想い人は私の心の世界に閉じ込めておいたよ。そんでもって何かあるかと思って変身してたけどやっぱりだったね」
「チェルシー……」
「それでほまれ、ここで諦めるの?」
「私は……」
「物語と同じようにならなくてもいい。全力で頑張って頑張って……結末なんて変えればいいのよ。好きって気持ちには諦めるっていうことはない。私はそう思ってる」
「……諦めるって気持ちはない……」
「まぁエスデスみたいになれとは言わないけどね」
「お前……邪魔を!!」
ビシンがチェルシーに襲いかかってきたが、私はプリキュアに変身し、ビシンが持っている道具を破壊した。
「私は諦めない。ただ今は……今だけはこの気持は内緒にしておくね。ハリー」
世界が崩れ始め、気がつくと私とチェルシーとハリーは猛オシマイダーの世界から抜け出すのであった
ミナトSIDE
「帰ってきたのか!おまけに元に戻ったな」
キュアエトワールたちが戻ってきたおかげか変身させられた俺達の姿が元に戻った。
「ちっ、サービスタイムは終わりということか!!」
ドロテアが自分の手首を切り、流れ出した血で二本の剣を作り出し、向かってくる。俺は狂龍騎になりドロテアの血の剣を折った。
「くっ!?」
「うおおおりゃ!!」
ドロテアの腹を思いっきりぶん殴り、ドロテアの腹に風穴が空いた。
「ぐううう!?」
「あんた容赦ないわね」
「いや、今のは……」
マインはそう言うけど、今のは手応えがなかった気が……
「油断してしまったな。だがこの状態の私を倒すのは難しいと思ったほうがいいぞ」
ドロテアの体が崩れ始め、無数のコウモリとなってどこかへ飛んでいった。
「完全に化物になってるわね」
「あれも皇具の力なの?」
セリューとサヨの二人がそう呟く中、戻ってきたチェルシーは……
「ふぅ、どうにも嫌な思い出が蘇ったみたいね」
「何かあったのか?」
「昔……私がいたチームの夢を見ていたのよ」
チェルシーは少し悲しそうに言うのであった。そっか、確かみんな……
「あっちも終わったみたいだし、帰りましょう」
キュアエールたちの方も終わったみたいだった。それにしてもほまれ、チェルシーは猛オシマイダーの中で何を見たんだ?聞くべきだけど聞かないほうがいいよな……