実力派エリートの弟 作:唯一無二の緑刀使い
今回はいつもより少し字数が少なくなってしまいました。
次話はちゃんといつも通りになる予定なので悪しからず。
「やれやれ、そう言うだろうと思ったよ」
その声と共に悠一は風刃特有の緑色のブレードを出現させた。そしてそれに合わせて悠紀はアサルトライフルを生成した。
風間隊の三人は真っ先に走り出し、悠紀はそこに向かって引き金を引いた。三人の中で一番前にいた風間がシールドを張り悠紀が撃った弾丸を防ぐ。
今悠紀が使っているのは緑川に使ったような合成弾をセットした銃ではない。故に普通のシールドで防ぐ事が出来る。
『僕達のこと舐めてるんですかね』
『いや、俺達を油断させる作戦かもしれない。あまり一人で突出するなよ』
『了解』
風間はこう言っているが、菊地原がそう考えるのも無理はない。悠紀が使うならガンナートリガーよりも明らかにシュータートリガーの方が威力が大きくなる。事実、A級ランク戦などでは悠紀がシュータートリガーを使う事が多い。とは言え、ガンナートリガーの方が勝っている点もちゃんとある。
風間隊の一人、歌川は手にスコーピオンを持って悠一に斬りかかった。相手に当たる瞬間にブレードを伸ばすなどの変形出来るというスコーピオンの特性を活かした攻撃を仕掛けるが、相手は目の前にいる人間の未来を見るサイドエフェクトの持ち主。そのような小細工は通用しない。
じっとしているのが性に合わないのか、太刀川が割り込むように飛び出し、悠一に向かって弧月を降り下ろした。悠一も自身のブレードで受け止める。
太刀川と悠一がつばぜり合いを繰り広げたかと思うと、太刀川の持つ弧月が光を放ち始めた。
悠紀と悠一はその場所を飛び退いた。すると、今までいた場所に太刀川の斬撃が放たれた。太刀川がオプショントリガー“旋空”を使用したのだ。
「これからどうする?分断してくるかな?」
「そうだな、その可能性が高い。太刀川さんと風間さん達は多分俺の方に来るかな。残りはそっちに行くと思うけどいけるか?」
「もちろん。俺は兄さんの弟だからね」
「頼もしいな。んじゃ、まだプランAで」
「了解」
「あいつらがかたまってると厄介だな。悠紀の野郎も本気出してないっぽいしな」
「しかも迅は風刃の遠隔斬撃を一発も撃っていない」
こう言うのは太刀川と風間だ。因みにボーダー内では悠一は迅、悠紀はそのまま悠紀と呼ばれている。兄弟で同じ名字なので下の名前で呼ぶのはおかしくないのだが、悠一は“迅”というイメージが強いらしく、悠一と呼ばれる事はほとんどない。
「風間さん、こいつら無視して黒トリガー獲りに行っちゃ駄目なんですか?」
「玉狛には木崎達がいる。ここで戦力を分散するのは危険だ」
「なるほど、了解」
「出水、俺と風間隊とスナイパーの総攻撃で迅をやる。お前は三輪達と組んで悠紀をやれ。仕留められそうになかったら足止めでも良い」
悠紀の方に向かうのは出水と三輪、そして米屋だ。全員がA級隊員であり、自他共に認める強さを持っている。にも関わらずたった一人に対して足止めでも良いと言わせるのはやはり悠紀の強さ故か。
悠一だけならまだしも悠紀も加わるとなるとかなりの戦力になる。
──俺一人ならまだしもこいつがいれば俺達が勝つよ。
遠征部隊に選ばれる3つの部隊に加わえて三輪隊の4つの部隊を相手に本当にそうなりそうで困ったものである。
「失敗は許されないぞ、三輪」
「分かってます、風間さん」
「お、来たな。じゃあ、上手くやれよ?悠紀」
「うん。任せて」
悠一と悠紀はそこで相手の作戦に乗るように別れた。当然、太刀川達は先ほど作戦会議をしたように別れた。
悠紀の目の前には出水と三輪、そして米屋が立った。そして三輪が一歩前に出る。
「玉狛はネイバーを匿って何を企んでいる」
「さあね?兄さんに聞いたら良いんじゃない?」
「なんだと……!」
「俺は兄さんの意志に従う。ただそれだけだよ」
それを聞いて三輪は悠紀を睨み付ける。
「怖い怖い。そんなに怒んないでよ」
悠紀のサイドエフェクトは気配を探知するだけではない。相手の感情も感じるのだ。細かい感情までは判別出来ないが、喜怒哀楽のように簡単な感情は直接頭に流れ込んでくるのだ。例えそれが自分に向けたものではないとしても。
「やるならさっさと始めようぜ」
出水は両手にトリオンキューブを展開した。メインとサブの両方のトリガーを使ったフルアタックの構えだ。
こちらは少し楽しんでいる節がある。
「早く片付けて太刀川さんに加勢しないといけないからな」
「させないけどね」
フルアタックをする間はシールドを使う事が出来ない。なので、悠紀は出水に向かって引き金を引いた。
悠紀が使っているのはアサルトライフルだ。引き金を引いて放つ弾丸の数は拳銃と比べ物にならない。更に引き金を引き続ければ間を置かずにいつまでも撃ち続ける事が出来る。これはシュータートリガーに勝っている点の一つだ。
アサルトライフルの弾幕をシールドなしで掻い潜るのは出水でも流石に無理があるだろう。よって、悠紀の放った弾丸は出水を蜂の巣にするかと思われたが、その弾丸はシールドに防がれた。
「ったく、俺がいなかったらどうするつもりだったんだ?」
出水の両手にあるトリオンキューブはそのままでシールドが張られている。後ろにいた米屋がシールドを張ったのだ。
「お前を信じてやったんだから感謝しろよ。──アステロイド!」
「いや、逆だろ!お前が感謝しろよ」
出水と米屋は軽口を叩いているが、出水の放ったアステロイドは確実に悠紀の元へ迫っていた。
出水ほどのシューターのフルアタックとなれば、並みのシールドなら簡単に突き破ってしまうだろう。しかし、悠紀のシールドは別格。そう簡単に破れるものではない。
悠紀は目の前にシールドを張り、出水の放ったアステロイドを防いだ。
「俺と陽介で前に出る。出水は援護しろ」
「了解~」
「いくぞ、陽介」
「よっしゃ」
三輪は弧月を抜き、米屋は自身のトレードマークである槍型の弧月を持ち直した。
そして二人同時に飛び出す。三輪は右から、米屋は左から挟むように自身の得物を振るった。