実力派エリートの弟   作:唯一無二の緑刀使い

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この辺りの話は早く終らせたかったので展開が駆け足になってしまいました。




空閑遊真②

学校にモールモッドが出現し、市街地でモールモッドが暴れた翌日。

 

朝食を終えた悠一は自室の段ボールの山から好物のぼんち揚を2袋引っ張り出してきた。そしてその内の1袋を悠紀に向かって放り投げ、かなりのドヤ顔で言った。

 

「お前も行くだろ?」

 

悠一はそのままぼんち揚片手に分かってる分かってると言うように頷いている。

 

「え、どこに?」

 

しかし、悠紀には伝わっていなかったようだ。

 

「あれっ、言ってなかったっけ?イレギュラー門の原因を知る人物に会いに行くんだよ。多分お前も知り合いだと思うけど」

 

「も?」

 

「メガネ君の知り合いがイレギュラー門の原因を知ってるんだよ」

 

「メガネ君ってもしかして三雲のこと?」

 

「そうそう」

 

「オッケー、じゃあついて行くよ」

 

ぼんち揚の袋を開けて手を突っ込んでいる悠紀の脳裏にはネイバーの少年空閑遊真の姿が浮かんでいた。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

修の家付近。

 

「あのメガネボーイがネイバーとつながってんの?マジで?」

 

「その可能性が高い」

 

「へ~、見かけによらないねぇ~」

 

三輪隊の三輪と米屋の目線は家から出てきた修に向かっていた。

 

「ってことはそのネイバー人型?俺人型ネイバー初めてだからテンション上がってきた!」

 

「もしそうなら面倒な相手だぞ。気を抜くなよ陽介」

 

三輪がそこまで言ったところでその後ろに忍び寄る影が二つ。

 

「ぼんち揚食う?」

 

「っ!?」

 

「うおっ!?迅さん……と悠紀か」

 

驚く二人を気にせずに悠一は懐から一枚の紙を取り出した。そしてそれを二人に見えるように差し出した。

 

「お前ら今日の午後から仕事あるから基地戻っとけよ。これ命令書ね」

 

ボーダー本部司令の城戸のサインが入った命令書を渡すと悠一は修が歩いていった方向に歩き出した。それに悠紀もついていった。

 

「このタイミング……なんか読まれてるっぽいな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ、メガネ君」

 

「あ、おはようございます。迅も一緒だったのか……え、迅ってもしかして」

 

「そうそう、こいつは俺の弟だ」

 

悠一は悠紀の頭に手を置いて言った。

 

「兄さんと区別しにくいから俺のことは悠紀で良いよ。俺も修って呼ばせてもらうけど」

 

「ああ、分かった」

 

「よし、話が纏まったところで、早速だけどこの先にイレギュラー門の原因を知る人物がいる」

 

という訳では向かった先には悠紀が思った通り遊真がいた。しかし、ただいただけではなく、手には門を発生させるために改造された“ラッド”という小型のトリオン兵を持っていた。

イレギュラー門の発生を止めるにはこのラッドを全て駆除するしかないが、その数は数千にも及び、遊真は全て倒すのは難しいと言ったがそこからは早かった。

 

悠一はそのラッドを本部まで持ち帰り、開発室長である鬼怒田に渡すことで全隊員のレーダーに映るようにした。更にメディア対策室長である根付は市民に対して緊急放送でラッドを発見した場合はボーダーに連絡するように促した。

それからは悠一の指揮の下、C級隊員まで動員したラッドの一斉駆除が昼夜を徹して行われた。

 

 

『反応は全て消えた。ラッドはこれで最後のはずだ』

レプリカがそう言うと、悠一は全隊員に向けて作戦完了の旨を発信し、無事イレギュラー門騒ぎは解決された。

 

市街地に発生していたイレギュラー門の原因を突き止めるというボーダー隊員ならば表彰ものの結果を残した遊真はその手柄を修にツケる事にした。

修は自分は何もしていないという理由で断ろうとしたが、遊真と悠一の説得で渋々その手柄を受ける事にした。

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

ラッド騒ぎの数日後。

本部ではいつも通りの日常が過ぎていた。

ベンチに座り談笑する者、一人静かに過ごす者、ランク戦に勤しむ者など様々だ。中には非番のA級隊員もいる。

 

「あ、悠紀先輩!迅さんは?」

 

緑川である。本人を前にしていきなり違う人物の話をするのはどうかと思うが悠紀は気にしていないようだった。

 

「今兄さんはいないよ」

 

「そっか~、じゃあ、ランク戦しようよ。いずみん先輩もよねやん先輩もいないし」

 

現在出水はネイバーフット遠征、米屋は人型ネイバーと接触している可能性がある修の監視で本部にはいないのだ。

 

「いいよ。丁度実験相手探してたし」

 

「え、実験って……」

 

「良いから良いから」

 

悠紀はいい笑顔で個人ランク戦のブースに入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

トリオンで作られた空間に転送された悠紀の格好は概ねいつもと変わらないが一つ違う点があった。手に握っているのが弧月ではなくスコーピオンでもない。かと言ってアサルトライフルでもない。

 

「そんなの使うの珍しいね」

 

いつもなら転送完了後すぐに襲いかかる緑川だったが、今日は珍しく体より先に口を動かした。

 

「言ったでしょ?実験だって。それに……」

 

「それに?」

 

ここぞというところでもったいぶる悠紀に緑川は早く言えという視線を向けた。そしてそれに答えるように少し間を空けた後、悠紀は口を開いた。

 

「2丁拳銃ってなんか格好いいじゃん」

 

そう、悠紀が手に握っていたのは拳銃型のトリガーだ。しかも片手にではなく両手にだ。

 

「はぁ……ふざけてるんなら今回は勝たせてもらうよ」

 

「ふざけてないし負けるつもりもないよ」

 

チャキッと右手に持った拳銃の銃口を緑川に向けると、それを合図にして緑川は悠紀に向かって飛び出した。

悠紀が引き金を引くと、緑川はスピードを落とすことなく自身の体の正面にシールドを張った。これは射程を持たないアタッカーが自分の間合いに持ち込むための定石だ。

最近はシールドの性能が上がったため、弾丸のトリガーは防がれ易くなった。なのでアタッカーは自然と相手に近寄り易くなり、ガンナーからオールラウンダーに転向した者も少なくない。

 

緑川のような敏捷性の高い隊員なら弾丸を防ぎながらすぐに自分の間合いに持ち込めるだろう。ただしそれがただの弾丸なら、の話だが。

 

──ピキピキ

 

弾丸を受けた緑川のシールドから嫌な音が聞こえた。しかし、それを気にも留めず悠紀は連続で引き金を引く。

 

──パキン

 

何発かの弾丸を受けた緑川のシールドは崩れた。だが、当の緑川は少し擦った程度なのでスピードを落とさない。

追い打ちをかけるように悠紀は連続で更に引き金を引くが、シールドで受けるのはまずいと思ったのか緑川はグラスホッパーを器用に使って弾丸を避けた。

 

(この威力……まさか合成弾!?)

 

緑川の予想は正しい。ただの弾丸トリガー数発で破られるほど緑川のシールドは柔くない。悠紀が今使ったのはアステロイドとアステロイドを合成し、貫通力を高めたギムレットだ。

 

今度は左手に持った拳銃の銃口を緑川に向け、引き金を連続で引いた。緑川は合成弾を警戒して再びグラスホッパーを使って弾道から外れようとした。

すると、弾丸はカクッと折れ曲がり放射線状に広がった。そして広がった弾丸のうち数発が緑川を追うような弾道を描き、緑川が咄嗟に張ったシールドに命中し、爆発した。

 

「こっちも合成弾……!!」

 

爆発で発生した煙の中で緑川は呟いた。

その場に留まっていては悠紀の射撃の的になってしまうのですぐに移動しようとしたが、飛び出した先には悠紀が放った弾丸が待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ガンナーで合成弾とかバカじゃないの?』

 

「バカだって?兄さん大好き人間のお前に言われたくないんだけど」

 

『はあ?迅さんは関係ないじゃん!』

 

「俺は誰も試した事がないからどんな感じなのか気になっただけだし。それと兄さんは渡さないから」

 

『迅さんは悠紀先輩のものじゃないでしょ!』

 

「い~や、俺のものだ」

 

『あー、分かった分かった。じゃあ俺が勝ったら迅さん貰うから』

 

「俺に勝てるとでも?」

 

『今回は勝つよ。調子に乗ってられるのも今の内だから覚悟しとくんだね』

 

「へぇ、それは楽しみだなあ」

 

途中から可笑しな話になってきたが、緑川の言った事はあながち間違いではない。やろうと思えば誰でも出来るにも関わらず正隊員の中で合成弾をセットしたガンナーはいない。

そもそもガンナー用トリガーは元々あったシューター用トリガーを誰にでも扱えるように開発された物であり、発射する弾丸の設定は予め定められている。そのためシューターに比べてトリオン能力の差がもろに出る。合成弾も予め設定が定められているためトリオンの振り分けは出来ない。なので結果的にシューターよりも消費トリオンは多くなってしまう。

それを構わずに合成弾を使えば消費トリオンは他のガンナー、シューターと比べ物にならなくなり、すぐにトリオン切れになってしまう。

更にガンナー用トリガーは二種類の弾丸を設定出来るのだが、合成弾は一つでその二つの枠を使ってしまうため、その合成弾しか撃てない銃になってしまう。いくら合成弾とは言え一種類しかないと知られれば圧倒的に不利になる。

このような理由からガンナーで合成弾を使う正隊員はいない。そのため悠紀はバカと呼ばれても仕方ないのだ。

と言ってもアステロイドの代わりをギムレット、バイパーとメテオラの代わりをトマホークとして使えば弾丸の種類はカバー出来るし消費トリオンも悠紀のトリオン量があれば気にならない。悠紀だからこそ出来る事だが、一応ちゃんと考えているのでバカと呼ばれる筋合いはないのだった。

 

 

 

「お前はこれ一本で充分かな」

 

そう言って悠紀はちゃっかり装備していたスコーピオンを握り、緑川に視線を向けた。

もはや実験云々の事は忘れているらしい。

 

「そんな事言ってると足元を掬われるよ!」

 

 

 

結果を言っておくと緑川は“大好きな迅さん”を貰う事は出来なかった。サイドエフェクトもフルに活用して本気を出した悠紀に勝つのは難しかったようだ。

 




緑川とのランク戦でのトリガーセット

メイン
・ギムレット(アステロイド):拳銃
・─────(アステロイド):拳銃
・シールド
・スコーピオン

サブ
・トマホーク(バイパー):拳銃
・─────(メテオラ):拳銃
・シールド
・free

今回はこんな感じでした。
BBFで銃でも合成弾が使えるとの事なので一度やってみました。合成弾の銃を使うと本当にこうなるのかは分からないので完全なる独自解釈・独自設定です。


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