Crescent Moon tears   作:アイリスさん

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少女の決意

「間違いないの?アリサちゃん」

 

「間違いないわよ。すずかのアドレスしか入ってない携帯持ってたらしいし、額に宝石が付いた大型犬だって言ってるし」

 

またしてもアースラ内、アリサの部屋。周りを警戒してヒソヒソと話す二人。

 

事の発端は、アリサへの電話だった。不意に鮫島からアリサの携帯へと入った連絡。大怪我をして倒れている大型犬を見つけた、と言う。携帯電話を持っていたため、確認してみたらすずかの連絡先が入っていたので、アリサに確認の電話を入れた、というわけ。

 

「問題はどうやってロリコンに見付からずに会うか、ね」

 

アリサの言う通り。良く事情も分からないのに、アルフが怪我しているからと言って管理局に保護を頼んだりしたら、その場で逮捕、なんて事にもなりかねない。それに、フェイトが一緒でないのも気になる所。もし、重大事件に巻き込まれていたりしたら‥‥‥。

 

フェイトの身を案ずるすずかとアリサ。そんな二人の部屋に、なのはがドアを開けて入ってくる。

 

「すずかちゃん、アリサちゃん。ジュエルシードが見付かったって!」

 

「それだわ!なのは。すずかも連れてきなさい!」

 

「ふぇっ?」

 

いきなり過ぎて理解できないなのはに、アリサとすずかは事のあらましを説明する。

 

「そっか。アルフさん心配だもんね。すずかちゃん、アルフさんの事よろしくね」

 

「うん。なのはちゃんも、ジュエルシードの封印確りね」

 

なのは、すずかの二人はジュエルシードの封印という名目で、しかし別々の目的のためにゲートに向かう。

ゲートには既にユーノがいた。何時もよりも沈痛な面持ちで。

 

「なのは、すずか。フェイトについてなんだけど」

 

「ふぇっ?どうしたの?ユーノ君」

 

ユーノの話の内容に、なのはとすずかは驚愕した。アースラクルーに気付かれないよう念話で語られたその話は、ユーノがクロノとエイミィの話を立ち聞きしてしまった所から始まった。

 

ヒュードラ事件とプロジェクトFATE。フェイトはそのプロジェクトによって産み出された、と。

 

《そんな!じゃあアリシアちゃんのクローンって事なの!?》

 

《そういう事になるね。すずか、その、大丈夫?》

 

《大丈夫。‥‥‥アリシアちゃん‥‥‥》

 

すずかの瞳がうっすらと濡れている。世界は違うのかも知れないが、親友と死に別れるという事がどれだけ辛い事か。なのははそんなすずかの手を優しく握る。

 

《すずかちゃん‥‥‥》

 

 

すずかはふと今までの事を振り返った。すずかのいた世界のアリシアは、左利き。フェイトは右利き。此方の世界のフェイトも、右利き。フェイトの性格も似ている。アリシアもどちらの世界もそれほど変わらなかったのだとしたら。それじゃあ、まさか。プレシアの、フェイトに対する虐待の理由は、アリシアじゃないから‥‥‥?アリシアに、似ていないから‥‥‥?まさか、それが理由‥‥‥?プレシアに対する怒りが込み上げる、すずか。

 

(待ってて、フェイトちゃん。私がきっと‥‥‥)

 

◆◇◆◇◆

 

「リリカル、マジカル!ジュエルシード、シリアルⅨ、封印!」

 

レイジングハートから放たれる桜色の光と共に、封印されるジュエルシード。これでフェイトの封印したものと合わせて15個目。あと6つ。

 

《お疲れ様、みんな。って、二人とも、すずかちゃんは?》

 

封印を終えて、いざ三人を回収するという段階で、エイミィはすずかが居ない事に気付いた。

 

ユーノをチラチラと見てアタフタするなのはと、気まずそうなユーノ。

 

「えっと、エイミィさん。さっきすずかちゃんと喧嘩しちゃって、その‥‥‥」

 

《なのはちゃん?》

 

やがてまるでエイミィに尋問されているかのような空気に耐えられなくなったなのはは、早々と自白した。

 

「ふぇぇぇ、エイミィさん、ごめんなさい!」

 

その様子をモニターで眺めていたアリサは、額に手を当てて溜め息をついた。

 

「やっぱなのはに嘘つかせるのは無理があったわね」

 

「どういう事か説明してくれ、アリサ」

 

クロノはその隣でアリサを睨む。恐らくフェイトに会いに行ったんだろうとおおよその検討を付けてはいたが。

再びハァ、と溜め息をつき、「分かった、分かったわよ」と悪態をつきながらもアリサは話し始めた。

 

◆◇◆◇◆

 

「全く君達は!管理局を何だと思ってるんだ!」

 

怒りながらも、アリサ、なのはと並んで歩くクロノ。向かう先は、バニングス邸。

 

「だって、普通お堅いお役所仕事だと思うじゃない!逮捕は保留するなんて考えられる訳ないでしょ!」

 

「僕らだって慈悲はある!彼女達の境遇を考えたら情状酌量の余地だって充分にあるんだ!もっと早く教えてくれたらこんな怒鳴る必要もないんだ!」

 

「そんなの言ってくれなきゃ分からないわよ!そもそもアンタ達が行動遅いからユーノやなのはやすずかが苦労してるんでしょ!責任転換もいいとこだわ!」

 

さっきから怒鳴りあっているクロノとアリサに、なのはが「あのー、アリサちゃん?クロノ君?」と仲裁に入るも、二人とも聞く耳を持たない。

 

終いには「この暴言女!」「うるさい変態ロリコン!」とただの罵り合いになっている。現時点では、とてもではないが、この二人が将来、殆どの犯罪者が恐れる名コンビになるとは思えない程の仲の悪さ。

 

そうしている間に、バニングス邸に着く一行。久々に戻ったアリサに、使用人である鮫島もホッとした表情を見せた。しかし。

 

「来てないの?本当に?」

 

「はい、お嬢様。すずか様は本日はいらしておりません」

 

その言葉にポカンとしているアリサと、何やら腕を組んで考えているクロノ。兎も角、傷だらけで眠っているアルフを保護し、アースラへと連れていく一行。その後ろ姿を見送りながら、鮫島は心の中で謝っていた。

 

(申し訳ありません、アリサお嬢様。すずか様から『来なかったと言って』と固くお願いされた次第ですので)

 

そう、すずかはちゃんとアルフに会った。会ってアルフと話した上で、単独行動を選択したのだ。「くれぐれも気を付けておくれよ」というアルフと別れ、向かった先は勿論ーーーーー

 




短め回。クロノとエイミィの超高性能コンビは、早々にプロジェクトFATEにたどり着きました。

アリサのなかではクロノ=ロリコン。

時の庭園ではすずかに主人公補整が掛かりますので、予めご了承下さい。

因みに次回はヒロインフェイトちゃん回となっております。王子さまのすずかの出番は有りません。
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