Crescent Moon tears   作:アイリスさん

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故郷は4度舞台となる

 

 

部屋で寛いでいるフェイトは、すずかの話に思わず聞き返す。出張任務らしいのだが、場所が特殊だった。

 

「出張任務?海鳴に?」

 

「うん、フェイトちゃん。聖王教会からの依頼で、ロストロギアの回収任務。はやてちゃんと話したんだけど、みんなで行こうって」

 

そう。今回ロストロギアが出現したのは、海鳴市。忙しくて中々帰省出来ない事もあり、たまには全員で、という事らしい。

 

「そっか。私も、久しぶりにアルフと会いたいし、いいね」

 

そう言って笑顔を見せるフェイトは、ソファに座り、すずかを抱き寄せ、その脇に座らせる。すずかはまるで親猫に甘える子猫のようにフェイトに身体をすり寄せて甘えながら話す。

 

「でも、もしまたレリックだったら」

 

不安の色を覗かせるすずかを、フェイトは少し強く抱き締める。

 

「大丈夫。その時はまた、みんなで頑張ればいいんだし。今度は全員で行くし。心配ないよ」

 

「うん、そうだよね」と言って、すずかは瞳を閉じてフェイトに身を預けた。そこへ運悪く、はやてから通信が入る。

 

《すずかちゃん、海鳴の件なんやけど、現地での移動手段とか、宿泊地とか‥‥‥って、タイミング悪かったかぁ》

 

「うっ、うわっ!はやて、いつの間に!?」

 

焦るフェイトを他所に、その仲を見せつけるようにフェイトにくっついたままのすずか。はやてはそれを見てやれやれ、と額に手を当て、溜め息をつく。

 

《すずかちゃんって、最近‥‥‥いや、何でもあらへんわ。それで、どないしようか?》

 

「ん~、結構人数居るから、一回家に寄ってバスとか借りよっか?現地本部は‥‥‥私かアリサちゃんの家の別荘とかは?」

 

《助かるわ。流石セレブは違うわ》

 

◆◇◆◇◆

 

「家デカッ!」

 

「庭も広いよ、ティア!」

 

はしゃいでいるスバルを他所に、ティアナは驚いていた。すずかがシルバーのエースというのは有名な話なので、知ってはいた。しかし、資産家の令嬢、というのは、こうして実際に屋敷を見て、初めて知った。魔法の才能があって、美人で、スタイルも良くて、性格も良くて、キャリアもあって、おまけに金持ち。人間はどうしてこうも不公平なのかと神様を恨みたい気分である。

 

「部隊長、ご令嬢だったんですね」

 

「そんなにいいものではないよ?自由も制限されるし、それに、凄いのは私じゃなくて両親だし」

 

ティアナに謙遜して答えるすずか。傲慢でないのも先程の項目にプラスである。

 

「お帰りなさいませ、すずか御嬢様」

 

そんなやり取りをしていて時間を食っている間に、ファリンが迎えに来ていた。さも当然のように、「うん、ただいま」と返しているすずかを見て、格差を痛感するティアナ。

 

「例の件ですが、バスを一台と、別荘の用意は整っておりますので。食料も準備してありますが、足りないようでしたらご連絡を」

 

報告をくれたファリンに「うん、ありがとう」と言って、すずかは家の中へ入っていく。

月村家に一台車を借りたはやてが、ティアナとスバルを乗せて先に別荘へと走っていく。

 

97管理外世界。現地惑星名称、地球。その島国、日本、海鳴市。聖王教会の依頼を受けて、機動六課の面々は3班に分かれ現地入り。

はやて、すずかの課長、部隊長コンビは、ティアナ、スバルと共に仮設本部として別荘を貸してくれる月村家へ。

なのは、フェイト、エリオ、キャロは六課後見人であるリンディのいるハラオウン家へ挨拶。残りのメンバーは現地本部で準備である。

 

ギンガとフィアッセはというと、海鳴公園にいた。なのはにとって、思い出が沢山詰まった場所。ここに来れば、何か思い出すかも知れない、とのなのはのアドバイスである。

 

「綺麗な場所ね」

 

「そうですね、ギンガさん」

 

フィアッセは、既視感を覚えていた。思い出せないが、見たことがある気がする。この風景には、妙に懐かしさを感じる。

 

と、フィアッセの脳裏にイメージが流れ込んで来る。

 

 

 

 

『ねえ、ーーー。覚えてる?あのときの事』

 

『うん、フェイトちゃん。覚えてるよ。ここでリボン、交換したんだよね』

 

海鳴公園の海沿いを、自分と、自分の乗った車椅子を、押して歩く人物‥‥‥フェイト‥‥‥?

 

『もう随分経ったけど、ここは今も変わらないね、ーーー』

 

 

 

 

フィアッセはハッと我に返る。波が寄せて堤防に当たる音と、カモメの鳴き声が耳に入る。

 

(今のって‥‥‥やっぱり私、フェイトさんと知り合いだった‥‥‥?)

 

頭の中の靄は晴れない。まるでジグソーパズルのように、繋がらない記憶の断片。

 

迎えに来たバスの中で、今迄に出てきた記憶のピースを思い返しながら、フィアッセは夢へと落ちていった。

 

◆◇◆◇◆

 

(先ずは部屋を割当てちゃおっかな。二人一組、かなぁ)

 

すずかは悩んでいた。別荘につき、他のメンバーはそれぞれ割当てられた仕事をしている(食事当番とか、ロストロギア用のサーチャー散布とか、機材のセッティングとか)。

他のメンバーに指示を出した後、別荘の持ち主であるすずかは部屋割り担当。六課と同じにするか、それもと今回は変更するか。

 

(私とフェイトちゃんは同じ部屋として、他は、えっと‥‥‥)

 

普段ならやらないが、ここは部隊長権限を利用してフェイトと一緒に、などと考えていたすずかの考えを見越していたのか、はやてから通信が入った。

 

《すずかちゃん、部屋割り出来たんか?言うとくけど、すずかちゃんとフェイトちゃんは部屋別々にしてな?》

 

「どうしてっ!?」

 

 

少し頬を膨れさせたすずかに、はやてが諭すように話す。

 

《任務に支障があったら困るやろ?まぁ、今夜は自重してくれる言うんやったら、フェイトちゃんとでもええよ?》

 

「する!自重するから!」

 

はやては大きな溜め息をつき、天を仰いで答えた。

 

《分かったわ。ええよ。その代わり、出来んかったら1日荷物持ちと食事当番やで?》

 

◆◇◆◇◆

 

「出来たんですか?マリーさん」

 

「試作デバイスver.2.2、だよ」

 

戦艦クラウディアのブリッジ。マリエル技官と話す、アリサ・バニングス通信主任。マリエルの手には、カードホルダー型のストレージデバイス。

 

「理論上は使える筈なんだけど、カードは今、すずかちゃんが全部持ってるし‥‥‥」

 

「六課に行ってくればいいんじゃないですか?クロノには私が話しておきますよ」

 

スノーホワイトの『カードロードシステム』。そのシステム搭載の試作デバイス。後にフィアッセの剱となり、彼女を導いていくデバイス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




60回はレイジングハートのないフィアッセさんに朗報、の回。

サウンドステージ回来ました。作者のなのはSSの原点です。

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