Crescent Moon tears   作:アイリスさん

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運命は動き出す

 

 

「待って、シャーリー。今の所、少し戻って。内燃機関の所」

 

時空管理局首都中央地上本部。フェイトとシャーリーは、先日のリニアレール事件で回収したガジェットの残骸データを見ていた。その一場面で、フェイトがあるものを見つけた。シャーリーが画像を戻し、それを確認する。

 

「これ宝石‥‥‥?エネルギー結晶か何かですかね?」

 

モニターの基幹部分には、菱形の宝石が付いている。それにはシリアルナンバーが付いている。シリアルⅩⅨ。フェイトは懐かしそうにそれを眺める。

 

「ジュエルシード‥‥‥すずかが初めて私を助けてくれた時の‥‥‥‥‥‥私とすずかが出会う切欠になったロストロギアだよ。シャーリー、この部分を拡大して。何か書いてある」

 

(アハハ‥‥‥フェイトさんてば、やっぱりすずかさんの事だけなのね)

 

シャーリーは苦笑いを浮かべながらも、モニターを拡大する。右上の部分にプレートが付いている。

 

「これ、名前‥‥‥?じぇい…‥る‥‥‥スカリエッティ!?スカリエッティって、まさか」

 

シャーリーとフェイトの表情が真剣なものに変わる。確かに少し前に、ジュエルシードが貸し出し先の展示場へと運ぶ途中盗まれた、という報告はあったが、まさかスカリエッティが関与しているとは。

 

「まだスカリエッティって決まった訳じゃない。その名を語ってるだけかも知れないし。どっちにしても知ってるんだ‥‥‥私やすずか達がこの件に関わってるって」

 

フェイトはモニターを睨む。もし本当にこれがスカリエッティの仕業だとしたら、8年前のなのは撃墜事件も、もしかしたら‥‥‥。

 

◆◇◆◇◆

 

《うん。分かったよ、フェイトちゃん。私もすぐに隊舎に戻るね》

 

《それじゃ、すずか》

 

すずかはフェイトとの通信を終えると、目の前の墓に手を合わせた。

 

(クイントさん。スカリエッティは、きっと逮捕してみせます。だから、見ていてください)

 

すずかは風に髪を靡かせながら、エルセアの共同墓地を後にする。クイント・ナカジマに、事件の解決を誓って。

 

◆◇◆◇◆

 

「そうよ、フィアッセ。もっと集中して」

 

「‥‥‥はい」

 

桜色に輝く室内。ギンガの指導のもと、リンカーコアに意識を集中させるフィアッセ。

 

(やっぱり、この子、なのはさんなのね)

 

ギンガは複雑な表情を浮かべていた。フィアッセのリンカーコアが産み出す魔力は、凄まじいの一言。今は車椅子生活で脆弱な身体ではあるものの、キチンと鍛えればフィアッセの身体だってこの魔力にも押し負けない筈。

桜色の魔力を肌で感じながら、ギンガは二人のなのはの事を思う。

 

(並行世界、か)

 

どちらのなのはも、魔法の才能に関しては言うまでもない。けれど、フィアッセは、車椅子。今のこの子の身体では、恐らく砲撃の1つもままならないだろう。

 

「ギンガさん?」

 

不思議そうに首を傾げて聞いてきたフィアッセに、ギンガは心情を悟られないよう再び笑顔を作って話した。

 

「いい感じよ、フィアッセ。その調子」

 

‥‥‥と、フィアッセがハッとしてギンガを見る。

何かに気付いたのか、それとも思い出したのか。「何か思い出したの?」という言葉をギンガが言い終わる前に、フィアッセの足元に桜色の魔法陣が展開され、フィアッセは言葉を紡ぎ始めた。

 

「『リリカル、マジカル。 福音たる輝き、この手に来たれ。導きのもと、鳴り響け』」

 

フィアッセの左の掌上に、桜色の光球が1つ現れる。呆気に取られているギンガを他所に、フィアッセは不意に飲み終えた空き缶を手に取ると、窓の外に放り投げた。

 

「『ディバインシューター、シュート!』」

 

フィアッセは桜色の光球を空き缶に向かって放った。

 

◆◇◆◇◆

 

「『アクセル!』」

 

空中で缶を落とさないようにシューターを制御するフィアッセ。20回を越えた辺りから、シューターを加速させる。

 

「48‥‥‥49‥‥‥50!」

 

丁度50回空き缶に当てた所で、それを部屋の中へと打ち返す。戻ってきた空き缶は真っ直ぐゴミ箱へと飛んでいき、そのまま箱の中へと落ちた。

 

「フィアッセ‥‥‥貴女記憶が」

 

驚いているギンガに、フィアッセは少し恥ずかしそうに答える。

 

「いえ、えっと、そうじゃないんですけど。イメージが浮かんだっていうか。前にもこんなことあったなって。イメージの通りにやってみたら出来たんで、私もちょっとびっくりしてます」

 

フィアッセは魔法が使えたのが嬉しかったのか、笑顔でシューターを飛ばしている。ギンガはそれを、フィアッセが遠くに行ってしまいそうな気がして、少し寂しそうに見ていた。

 

 

その窓の外。休憩から戻る途中のエリオは、その桜色の光球を不思議そうに見ていた。

 

(なのはさんのシューター?いや、でもなのはさんは訓練場だし‥‥‥どうしてこんな所で?)

 

不思議に思っていたエリオが、ふと隊舎に目をやると、部屋の1つから桜色の光が見えた。

 

(あれ?あそこって‥‥‥フィアッセさんとギンガさん?フィアッセさんって、桜色の魔力光?なのはさんと、同じ‥‥‥?)

 

暫くボーッと見ていたエリオだったが、キャロに肩をトントン、と叩かれ、我に返る。

 

「エリオ君、どうしたの?」

 

「何でもないよ。訓練戻ろうか」

 

「うん!」

 

キャロは嬉しそうにエリオの手を引いて、訓練場へと走っていく。エリオはその間も、疑問が頭を巡る。

 

(僕と同じ‥‥‥?いや、でも魔力光が同じなんて)

 

◆◇◆◇◆

 

はやてはデスクに座り、頭を悩ませていた。

 

「考えうる最悪の展開になりそうや」

 

《すみません、主。目的の少女は、まだ》

 

モニター越しに謝るザフィーラを「仕方ないよ。元々、少ない情報量で探してもらってるんやし」と労い、モニターを切る。

 

「そうは言うてもなぁ。スカリエッティか。ヴィヴィオだけでも何とか保護せんと。こんな事になるんならヴィヴィオに色々聞いとくんやったなぁ」

 

《仕方ないさ。未来の事を知るのは良くない、とフローリアン姉妹だって言っていただろう?》

 

もう1つのモニターに映る、クロノ。そのクロノを一睨みするはやて。

 

「スカリエッティが相手なら、長期戦になりそうやな‥‥‥。それはそうと、クロノ君。もしアミタさんと今会ったらどないするんや?まさか浮気とか‥‥‥せぇへんよな?アミタさんとは裸まで見た仲やもんね?」

 

《君はそんなことばかり覚えているんだな、全く》

 

やれやれ、とモニター越しに呆れているクロノ。からかい甲斐のなさにはやては拗ねながら話す。

 

「全く、クロノ君は昔から鈍感やからなぁ。それでよくエイミィさんと一緒になれたなぁ」

 

《それで、とは失礼だな。そうそう、はやて。マリエル技官が近日中にそちらに合流するから、頼む。それから、新たな護衛任務だ。骨董品のオークション会場の》

 

モニターに詳細が示される。はやてはそれを確認し、一言呟いた。

 

「ホテル・アグスタ?」

 

《そうだ。はやて。今度開かれるオークションが、どうも臭い。レリックではないかも知れんが、スカリエッティの狙っているものが出るかも知れない》

 

 




「フィアッセはレベルが上がった!ディバインシューターをおぼえた!」


エリオ初セリフ。&フェイトちゃんの頭の中は何時でもすずか優先、回。

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