サトシに憑依したので冒険してみようと思う(改題) 作:エキバン
何番煎じかのサトシ転生です。
よろしくお願いします。
目を開けると、知らない天井だ……というのはよく漫画などでよく見るが、現在はまさにそんな状況だった。
部屋は暗く外も暗い。現在は夜中のようだ。
そして自分がベッドで眠っていたことを知り、起き上がり周りを見渡すと、そこは部屋だが見たことのない部屋だ。
「……なんだ、ここ?」
と呟いて驚く、自分の声が非常に高かったのだ。まるで子供のような……
ベッドから降りて、近くにある鏡を見ると、そこには少年がいた。
若返ったのかと思ったが子供のころの俺の顔ではない。
見たことのない……いや、どこかで見たことのある顔だ。
しかし、鏡を見ているのは俺なのに俺ではない人間がそれも自分より遥かに若い少年が映っている。
ベタだが頬をつねって痛みで現実かどうか確かめる。
痛い、すごく痛い。
つまり、これは―――
「転生とか、そういうことか?」
あまり驚かないのは、普段からそういう小説やアニメに慣れ親しんでいたからだろうか。
「しかし、転生したとして、俺が生きてた世界と似た世界なのか……?」
転生といえば中世ヨーロッパ世界というのは偏見だろうか?
それにしても、部屋の内装や着ている服は俺のいた世界でも慣れ親しんでいたものだ。
窓を開けて外を見ると立ち並ぶ家々、それらには車庫があり車もあった。
ここから見える森の向こうには大きな街らしきものも見える。
「どんな世界だ?」
部屋の電気を点けると周りを見渡す。
「……ポケモンのグッズ?」
最初に目についたのはポスターだ。そこには、フシギダネ、ヒトカゲ、ゼニガメがプリントしてある。
部屋を散策するといろいろあった。
カビゴンのクッション、ニョロモの鉛筆削り、ピッピの貯金箱、ズバットの飾り――
ベッドの傍らにはビリリダマがいた。
試しにそれを弄っていると真ん中からパカッと開きポッポが飛び出して「ポッポポッポ」と音がした。
円状の部分は時計だ。どうやらこれは目覚まし時計のようだ。
「ポケモンか懐かしいな……」
子供のころ、親にねだってポケモングッズをたくさん買ってもらった。
ゲームはもちろん、ピカチュウなどのぬいぐるみもだ。
ポケモントレーナーに本気でなりたいと思った時期もあった。
そう思い、ふと机の上を見ると何冊か本があった。
その題名を見て「は?」と呟いた。
『ポケモンの友』『強いトレーナーになるには』
という表紙だった。
思わず手に取り中身を確認する。
読み進めると現実ではありえないことが書いてあった。
『ポケモントレーナーは10歳で資格を得る』
『ポケモンはあらゆる場所に生息している』
『手持ちのポケモンを使い、相手のトレーナーと戦わせるのがポケモンバトル』
etc……
すると頭に何か電流のようなものが走る。
幼いころにテレビで見た場面。
そして、俺は慌てて部屋のドアを開けて外に出る。
ドアには『サトシ』と表札がかけられていた。
そして、鏡で見たあの顔は記憶にあるサトシと似ていた。
アニメの顔を三次元に置き換えたようなそんな顔だ。
俺はポケモンの主人公のサトシになってしまったのか……
思わぬ転生に俺は椅子に座って思案していた。
まさかサトシに転生してしまうとは……
しかもピカチュウもモンスターボールも無いとなると旅立つ前のようだな。
「それにしても……」
改めて鏡の中の今の自分であるサトシを見る。
サトシを見ると、本当に10歳なのか疑問だ。
もう2〜3歳ほど上なのではという見た目のような気がする。
さてと……サトシになったからにはこのままサトシとしてトレーナーになるしかないのだろうか。
しかし、ポケモンなんて久しぶりだし、ゲームで覚えていることが通用するのか?そもそも最初のポケモンのこともうろ覚えだというのに。
聞いた話では種類は700体を超えているという話だが……
そう考えていると、先ほどの本が目に入る。
『強いトレーナーになるには』
『ポケモンの友』
「ひとまずこれで勉強するか」
外は真っ暗で子供は寝る時間だろうが、目が冴えて眠る気にならない。眠くなるまで読むとしよう。
本に書いてあるポケモンについての内容はゲームで知っていたこととほぼ同じだった。
ポケモンのタイプの相性も覚えている通りだ。しかし、知らないタイプがいることに驚いた。
『あく』と『はがね』は知っているが『フェアリー』ってなんだ?本には『ドラゴン』に強いと書いてあるため強いタイプだとわかった。
バトルの指示の仕方やご飯の食べさせ方など、やはりゲームと現実では大きく違うとわかった。
ボタン1つでとはいかないよな。
けれど、これは本当に嬉しい転生だ。
子供のころはポケモンの世界に憧れていた。
こんな冒険がしたいと思っていた。
それができるチャンスを手に入れて本当に嬉しい。
最高の冒険のためにももっとたくさんのことを知らないとな。
そうして読み進めるうちに外が明るくなっていることに気づいた。何かの鳥のような鳴き声が聞こえた。
結局、眠くならなかったな。
トイレに行こうと思い、階段を降りた。
場所はわからないが、探せばすぐに見つかるだろう。
「あら、サトシ早いじゃない」
探索していると、髪を後ろで結んだ半袖シャツとスカートの女性が現れた。
そうか、この人はサトシの母親か。
アニメではわからなかったがすごい美人じゃないか。
……胸も大きい。服が盛り上がってるぜ。
「どうしたの、ぼーっとして?」
「え?あ、いやなんでもないよ、おか……ママ」
確かサトシは『ママ』と呼んでいたはず。
「そう、ならいいけど」
よし、正解!
「絶対に寝坊すると思ってたのに、早起きできるなんて偉いじゃない。まさか、今日が楽しみで寝てないんじゃないでしょうね?」
「いや、ちゃんと寝たよ。バッチリさ」
「なら、よし、朝ごはんできてるから食べなさい」
「はい」
サトシのママはそのままリビングまで歩いて行った。
ふむ、素晴らしい尻だぜ。
あれ?
今日が旅立ちの日だったのか!?
ここのサトシ君はなかなかスケベです(笑)
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