サトシに憑依したので冒険してみようと思う(改題)   作:エキバン

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やはりアニポケのタイトルば「君に決めた」を入れたいですよね。

さてさて、サトシのポケモンは?


俺のポケモン、君に決めた

研究室に入り、3つのボールを前にしたところでここにいる全員が思っている疑問をシゲルが代表して聞いた。

 

「あのおじい様、今日旅立つのは4人なのですが、モンスターボールは3個しかありませんよ?」

 

疑問に答えてくれたのはシーゲル君だった。

ほう、なんだかんだで俺のことも数に入れてくれるんだなと彼への認識を変えていると

 

「はん、そんなの決まってるだろシゲル。サトシのポケモンはナシってことだよ」

 

あーもうこいつホントうるさい。

 

「もう、ナオキやめなよ」

 

リカも俺の味方をしてくれる。優しいなこの娘は、おじさん感動しちゃう。怒った顔も可愛いしね。

 

「うむ、確かにここにポケモンは3体しかいない。実はもう1体おるのじゃが……」

 

すると博士は別のモンスターボールを取り出した。

そのボールには黄色のギザギザマークが付いていた。

まさか……

 

博士がボールを開くと、そこからポケモンが現れる。

 

「ピカチュウ」

 

そいつは俺が元いた世界ではポケモンの代表ともいえる黄色の電気ねずみ。ピカチュウだ。

 

「それはピカチュウというポケモンじゃ」

 

ピカチュウはくりくりとした目で俺たちを見上げる。

 

「かっわいい〜」

 

最初に反応したのはリカだった。

リカはピカチュウに手を伸ばしたその時だ。

 

「ピカッ!」

 

「キャッ!?」

 

「リカ!?」

 

パリッという音と共にリカは尻もちをついた。

 

ピカチュウは微弱な電気で威嚇したのだろう。

するとピカチュウは飛び上がり、部屋を縦横無尽に走り回った。

 

「こ、こりゃ、大人しくせんか!!」

 

「うわっ、くそっこっちくんな!?」

 

「こ、ここは僕に任せたま、あばばばば……!」

 

暴れ回るピカチュウに四苦八苦する博士に、追い払おうとするナオキ。

そして、シゲルは捕まえようと触れたら電気を流されて倒れた。

 

「ピカ……」

 

「ひっ!」

 

ピカチュウはリカに狙いを定める。

これはマズイ!

 

電撃がリカを襲う。

気がつくとリカに向かって飛び出していた。

 

「キャアッ!」

 

無我夢中で走った俺はリカを抱えて電撃を回避した。

 

「大丈夫か!?」

 

「う、うん……」

 

抱きかかえられたリカはおずおずと俺を見上げる。

俺はリカを離して立たせる。

 

「どうにかしないとな」

 

あの暴れん坊を止める方法は1つ……

 

俺はピカチュウに向かって突進した。

 

「サトシ、ダメぇ!」

 

「おおおおおおおお!!」

 

ピカチュウは突進する俺を見据えると電撃を放つ。

俺はまともにそれを浴びた。

 

「ぐうう……」

 

痛い、きつい、痺れる……だけど……最初から当たるつもりだったからなんてことねえええええっ!!

 

俺はピカチュウの脇を通過すると、落ちてたそれを手にする。そして……

 

「戻れピカチュウ!」

 

ピカチュウはボールからの光を避けようとするも間に合わず、そのままモンスターボールに収まった。

 

「ふう、なんとかなったな」

 

「だ、大丈夫かサトシ君?」

 

博士は俺に近づいて心配してくれた。

 

「ええ、この通り。ピカチュウもこの通りです」

 

「うむ、すまない。本来はピカチュウを出したワシのやることなのじゃが」

 

「いえいえ、俺はトレーナーになるんですから、これくらいはなんてことないです」

 

そう言うと博士も笑ってくれた。

 

「クソが、なんだそいつは、ロクでもないポケモンだな!!」

 

ナオキが大声で悪態をつきながら歩いてくる。

 

「ふう、まあ、ポケモンは大きな力を持っているからね。危険なポケモンを扱えるようになるのもトレーナーの必須条件さ」

 

シゲルは焦げた体でクールに語る。滑稽。

 

「サトシ、大丈夫!?本当に大丈夫なの!?」

 

リカは不安げな顔で俺の体に触れた。

 

「ああ、大丈夫だよ。心配ないよ」

 

「良かった……ごめんね。私がドジで……」

 

安堵した顔から落ち込んだ顔になるリカ。

表情がコロコロ変わって、多感な年頃なんだな。

 

「問題ない。言っただろ、トレーナーならこれくらいどうってことないって」

 

「……うん」

 

リカは笑ってくれた。うんうん、美少女は笑顔が一番だ。

 

「それで、博士、そのピカチュウですが」

 

「うむ、こいつも新人用なのだが、まあ、先ほどのように人間の言うことは聞かん、暴れて苦労させられとるのじゃ……やはりこいつはいかんな。もう1体は別に取り寄せるとしよう」

 

「その場合は……」

 

「うむ、届くまで旅立ちは延期ということになるじゃろうな」

 

やっぱりな。

 

「おじい様、残念ながらそのピカチュウと僕とでは相性は良くないようです。しかし、僕は一流のトレーナーになるべく一日も早く旅立ちたいのです。ですから、僕は待つことはできません」

 

「俺もだよ。留守番なんてごめんだね。そのねずみもごめんだがよ」

 

男子2人はノーピカチュウノー留守番の姿勢のようだ。

すると、リカがおずおずと前に出た。

 

「えと、私、ピカチュウに、しようかな。慣れてくれないなら、留守番でもいいよ」

 

申し出てくれる人がいるなら丸く収まる。けれど、それじゃあ俺が待った意味がなくなるし、誰にも留守番なんてさせたくない。

 

「俺、ピカチュウにします」

 

「え、サトシ?」

 

「リカ、さっき欲しいポケモンは決まったって言ってただろ。無理してピカチュウにしなくていいよ」

 

「でも……」

 

「それにさ、俺、あのピカチュウの元気に動く姿を見てたらピカチュウと旅してみたくなったんだ。だから頼む。ピカチュウ譲ってくれ」

 

それは嘘ではない。サトシといえばピカチュウとか言うつもりはないが、ピカチュウを見たとき、自分の中で何かが噛み合う気がした。

ピカチュウとなら何でもできるとか、頑張れるとかそんな漠然としたものだが、そう思った自分の気持ちを信じたいと思った。

 

俺は両手を合わせてリカを拝むように頼み込む。

 

「……うん、わかった」

 

リカは微笑んで了承してくれた。

 

「ありがとう!」

 

「じゃあ博士」

 

「良いのだな?」

 

真剣な顔で博士は俺に尋ねる。

 

「ええ」

 

俺はピカチュウのモンスターボールを受け取った。

 

「はん、お前がそんな問題児ポケモンをまともに扱えるわけないだろ……いや、違うな、問題児同士お似合いなのかもな!」

 

こいつはこんな時にも……あれこれいちゃもんをつけないと生きていけない体なのか?

 

「よし、それではシゲルたちも選ぶのじゃ」

 

「俺はヒトカゲだ!男は炎タイプだろ!」

 

ナオキはリカとシゲルを押しのけてヒトカゲのボールを手にした。

 

「おい、ナオキ……まったく。ああ、リカが先にどうぞ、レディファーストさ」

 

「ありがとうシゲル。私、フシギダネがいいなって思ってたんだ。いいかな?」

 

「どうぞ」

 

「うん」

 

リカは恐る恐るといった感じでボールを手に取る。

 

「じゃあ僕はゼニガメだな」

 

最後になったことにも嫌な顔一つしないシゲルは残ったボールを手に取った。

 

「最初からゼニガメが良かったのか?」

 

「確かに水タイプは強力なタイプだから欲しいと思っていたけど、誰を選んでも使いこなすつもりだったのさ」

 

あーさいですか。

こいつはいちいちカッコつけないと生きられないようですな。

 

「よし、決まったようじゃな。他にも皆に渡すものがある。モンスターボールとポケモン図鑑じゃ」

 

ポケモン図鑑、これをポケモンに向ければそのポケモンの情報が載っている電子辞書みたいな図鑑だったな。本物のポケモン図鑑マジかっけえ!俺は今本物の図鑑持ってるんだ。

 

「ありがとうございます!!」

 

「うむ、サトシ君、そこまで喜んでくれて嬉しいぞ」

 

「はい、欲しかったですから!」

 

「やれやれ、そんなにはしゃぐなんて子供だねサートシ君は」

 

「残念ながら俺も君も子供なんだよ。コゲコゲシーゲル君」

 

シーゲル君はまたも悔しそうな顔をしていた。

 

 

リカ、シゲル、ナオキの3人はポケモンを出して親睦を深めていた。

 

「私リカっていうの、よろしくね、フシギダネ」

 

「ダネダネ!」

 

「ゼニガメ、僕が君を最強のポケモンにしてあげるよ」

 

「ゼニゼニ!」

 

「おいヒトカゲ、俺は最強になるんだ。手伝えよ」

 

「カゲカゲ!」

 

ふむふむ、動くポケモンはいいな。リアルな見た目だと怖くなるかと思ったが、みんな可愛いな。

それじゃあ俺もピカチュウを出そうか。

 

「おいサトシ!外でやれよ!問題児ポケモンと問題児トレーナーはあっちだ!」

 

「……珍しく最もなことを言ったね、ありがとう」

 

後ろから文句が飛んでくるが無視無視。

 

研究所の外に出た俺はモンスターボールからピカチュウを出した。

 

ピカチュウは不満顔で俺を見上げる。

 

「俺はサトシ。これから君のトレーナーになるんだ。よろしくなピカチュウ」

 

「ピカ……」

 

ピカチュウは低い声で俺を睨んで四つ脚の姿勢になる。低くなったその姿勢は戦闘体勢なのだろう。

頬がピリピリと帯電している。

 

ーーお前を痛い目に遭わせてやる

 

そんな意思が伝わってくる。

 

「やるならやれよ。だが俺はそんなんで引き下がらないぞ」

 

俺はピカチュウの目を見据えて一歩近づく。

一歩、また一歩……するとピカチュウは少しだけ後ずさった。

 

「ピ……」

 

「俺は君のトレーナーなんだ。いくら自分のポケモンが俺を嫌っていても諦めない。俺はトレーナーになるんだ。君を選んだのは、君と冒険がしたいからだ。それだけはわかってほしい」

 

言いたいことは言った。あとはどうとでもなれ。

俺は両手を広げる。

 

「来なよ。君の気が済むまでやってくれ」

 

俺はピカチュウを見る。ピカチュウも俺を見る。

 

ピカチュウの頬の帯電が止む。彼は二本脚の姿勢に戻るとバツの悪そうな顔でそっぽを向いた。

 

ひとまずなんとかなった……かな?

 

「サトシ!」

 

呼ばれて振り向くと、リカがフシギダネを抱いて歩いてきた。

 

「大丈夫?」

 

「ああ、大丈夫だよ。不用意に電撃攻撃はしてこない……はず」

 

「そ、そうなんだ」

 

俺もリカもピカチュウを見て苦笑いをした。

 

「リカは仲良くなれたのか?」

 

「うん、見て見て。フシギダネ可愛いでしょ〜」

 

「ああ、可愛いな」

 

「ダネダネ〜」

 

俺がフシギダネの頭を撫でると、(彼女?)は気持ち良さそうな顔をした。

しかし、俺の視線はリカがフシギダネを抱き上げたことによって形を変えた彼女の豊満な乳房に目がいっていた。

むうう……リカさん。あなた本当に10歳ですか?こんなの反則ですよ。

 

「おいサトシ!」

 

眼福を堪能していると嫌な声が聞こえる。

振り向くといてほしくないナオキがいた。

 

「せっかくポケモンが手に入ったんだ。しようぜ、ポケモンバトルをよ!」

 

ニヤリと顔を歪めて俺に鋭い視線を送るナオキ。

 

「俺がポケモンバトルのなんたるかを教えてやるよ!」

 

ポケモンバトルか……俺がこの世界に来て初めてのポケモンバトルになるんだな。

ピカチュウが言うことを聞いてくれるかはわからない。けれど、何もせずにそのままなら変わることはできない。

 

「……いいぜ、ポケモンバトル、受けて立つ!」




サトシの相棒はピカチュウになりました。
最強クラスのポケモンにしたいです。

誤字脱字、違和感のある表現があったらどうか指摘ください。

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