ハイスクールD×D ~ボンゴレファミリー来る!~ 作:ムンメイ
番外編その一です。
イッセー達が気になっていたであろうリボーンについて書いていきます。
年齢については……僕のイメージですので、「ほーん」程度に流してやってください。
ツナ達から講義を受けた数日後のこと。
俺ーーー兵藤一誠はどうしても気になって仕方がないことがある。
それは……
「ん?なんだイッセー」
部室の壁を改造したアジトの中でコーヒーを嗜んでいるこのお子さま、リボーンについてだ。
年齢は五歳で、ツナの家庭教師をしているということは聞いているのだが……。
「なあ、リボーンってツナの家庭教師なんだろ?」
「まあな」
「なんでお前みたいなお子さまが家庭教師なんてやってるんだ?」
部室にいた他の皆も俺の質問に興味があったのか、俺とリボーンの会話に混ざってきた。
「たしかに、それは僕も気になってたんだ」
「そうですわね、悪魔や妖怪というわけでもなさそうですし、五歳の小さな子どもにしては大人びている部分が多々ありますし」
「ただ者じゃないのは雰囲気でわかるのだけれど……」
「……謎です」
うーん、やっぱり皆気になってるよね。
「……お前達、あんまり俺をガキ扱いすんなよ」
アジトから出てきて文句を言うリボーン。
いやいや、それは無理があるってもんですよ。
「どこからどう見たって幼稚園児じゃん、お前は行かなくていいのかよ?」
リボーンの横にしゃがみ込み、ほっぺたをつんつんとつつく俺。
が、リボーンは俺の手を掴むと……一気にひねりあげた!
「いでででででっ!」
「ガキ扱いすんなって言ってんだろ」
「わ、わかった!わかったからギブギブギブ!」
そう言うとようやく俺を解放するリボーン。
あー痛かった……
俺の様子を苦笑混じりに見ているツナ達ボンゴレファミリー(今いるのはツナ、獄寺、クロームちゃん、山本だ)は、リボーンの正体?をもちろん知ってるんだよな。
「教えてあげたら?リボーン」
「ふーむ、そうだな……」
ツナの提案に考え込むリボーン。
な、なんか訊いちゃマズイ事情でもあったかな?
「あ、いや、なんか話しづらいことがあるなら俺はーーー」
いいや、と、言おうとしたのだが。
「まあ、お前達にならいいぞ」
え、いいの?
「ただし、今から話すことはオカ研の部員以外には他言無用だからな」
「わ、わかった」
急に会話の雰囲気が変わる。
やっぱり訊いちゃマズかったんじゃ……。
「その前に朱乃、コーヒーのおかわりをくれ。飲みながら聞かせてやる」
コーヒーが大好きな五歳児でした。
~○~
「まず始めに話さなきゃなんねーのは、これは俺の本当の姿じゃねーってことだ」
コーヒーを啜りながら語り始めるリボーン。
本当の姿?
「俺の他にあと六人、ある呪いを受けてな。俺達は赤ん坊にされちまったんだ。一人だけ赤ん坊になることとは別の呪いだったんだけどな、今はもう全員呪いは解かれたんだ」
「呪い……ってそんな変な呪いがあるんですか?」
俺は横にいた朱乃さんにこっそり聞いてみた。
「いいえ、私も初めて聞きます。おそらく、彼らマフィアの世界独特のものではないでしょうか」
朱乃さんが知らないのか。
ってことは、朱乃さんの言う通り悪魔的なものではないのかもな。
「俺が提げてるこのおしゃぶりがその名残だ」
そう言っておしゃぶりを見せてくれる。
「これは俺達が呪いを受けた時につけられたものでな、呪いが解かれるまで外すことはできなかったんだ」
呪いのおしゃぶり……
おしゃぶりを見るリボーンは、どことなくやるせなさそうに見えた。
「それで、あなた達はどうして赤ん坊に変えられてしまったの?」
部長が続きを促す。
「俺は呪いを受ける前は殺し屋の仕事をしていてな、どんな依頼も次々に成功させる超凄腕のヒットマンだったんだ」
えー……そりゃマフィアがいるんだし、殺し屋がいるってのもわからなくはないけど……
いきなり話が突拍子もない方へ行ってしまった気がするのは俺だけ?
「ある日俺はチェッカーフェイスと名乗る男から仕事の依頼を受けたんだ。ある場所に行ってほしいってな。言われた通りの場所に行くと、そこには俺と同じように集められた六人の仲間がいたんだ」
「イタリア軍特殊部隊のエース、ラル・ミルチ。死神に嫌われた不死身のスタントマン、スカル。幻術を操る超能力者、バイパー。未来を見通す力を持つ巫女、ルーチェ。あらゆる拳法を使いこなす武術の達人、風。ダ・ヴィンチの再来と謳われた天才科学者、ヴェルデ。どいつもこいつも癖は強いがかなり腕の立つやつらでな、俺はその六人と仕事を受けることにしたんだ」
「そして最初のミッションを依頼された。報酬は最高ランク。もちろん俺達は難なくクリアしたんだ。すると更に高い報酬で次のミッションが用意されていた。そうやって次々とミッションをクリアしていき、最後のミッションとして宝を探しに山へ登ることになった」
「だが、それはチェッカーフェイスの罠だった。山頂付近に辿り着いた時、俺達七人は謎の光を浴びて呪いを受けたんだ」
なんかよくわかんないけど……それってチェッカーフェイスって奴に騙されたってことだよな……。
「こうして俺達は赤ん坊にされちまったんだ。世界最強の赤ん坊『
ふぅ、と一息つくリボーン。
「でも、その呪いは解けたんだろ?」
「ああ、ツナ達のお陰でな」
「いやいや、皆が一緒に戦ってくれたからできたんだよ。俺の力だけじゃ絶対に無理だったし」
ツナが謙遜するように両手を振って否定する。
何か呪いを解くのに一悶着あったようだ。
「呪いを解かれた俺達は、その時点からまた成長を始めたんだ。だから今俺は五歳ってことになってるな」
呪いが解けても元の姿には戻れなかったのか……それは複雑だろうな。
「ちなみに……一人だけ違う呪いを受けたって言ってたけど、その人はどんな呪いだったんだ?」
「ああ、ルーチェだけは赤ん坊にならなかったんだ。その代わり……」
リボーンが突然言葉を切った。
だけど、一瞬俯いた後、俺達を見てハッキリとこう言った。
「長く生きることができなくなっちまったんだ。『短命』。これがルーチェにかけられた呪いだ」
……その一言にどんな気持ちが込められているのか、全部はわからない。
でも、並々ならぬものがあることだけは感じられた。
「ルーチェにかけられた呪いは子どもや孫にまで及んでいたんだ。ユニって子なんだけどな……もちろん、今は俺達と同じように呪いはなくなっているから、長生きできるようになってるぞ」
ルーチェの孫……ってことは、そのルーチェっていう人とその娘さんはもう……。
「ざっとだが、俺の秘密はこんなもんだ」
「……一つ訊いていいかしら?」
重たくなった空気を切り換えるように、部長がリボーンのおしゃぶりを指して訊ねる。
「そのおしゃぶりはどういう意味があるの?ただの飾り、ではないわよね」
「これは遥か昔、地球上の生命のバランスを保ち、正しい進化を促してきた七つの宝玉を加工して出来たものでな。他のアルコバレーノもこれと色違いのおしゃぶりを提げてたんだ」
「チェッカーフェイスは今の人類が誕生する前から存在する人間で、その宝玉に炎を灯し守ってきた種族の生き残りだったんだ。ところが……仲間がこの世を去り、宝玉を機能させられなくなった奴らは、俺達新しい人類の力を使って宝玉を機能させた」
「それがこのおしゃぶりだ。七つの宝玉を分割して創ったおしゃぶりは常に炎を灯すために脱着不可とし、『アルコバレーノ』というおしゃぶりを守るための人柱が造りだされたんだ。それがさっきも話した呪いのことだ」
世界中の生命のバランスを保つ宝玉?
スケールがデカすぎて何が何だか……。
「呪いが解けたということは、今はもうそのおしゃぶりは機能していないということよね?」
部長が更に問う。
「ああ、ツナが色々と考えてくれてな。今は別の場所で半永久的に機能させてもらってんだ」
なるほどね、人柱になることとは別の方法で炎を灯しているから、リボーン達は呪いを解かれたって訳か。
「……何だかすごい話だな」
「まあ、嘘みたいな話だけどな。それでも事実だぞ」
「嘘だなんて思わないさ。ただ、辛いこと訊いちゃってごめん」
俺は素直に謝った。
何でもないように話してくれたリボーンだけど、やっぱり思い出したくないこともあったのだろう。
いつもと変わらない無表情だったけれど、どこか辛く見えたのは俺の気のせいじゃないと思う。
そのくらいは付き合いの短い俺でもわかった。
「もう終わったことだ、気にすんな」
「うん……」
「それで、俺がツナの家庭教師を始めた理由なんだけどな」
リボーンが気を利かせて話題を最初の疑問に持っていってくれた。
「ボンゴレ
「俺は嫌だったんだけど……成り行きでそういうことになっちゃって」
ツナも合わせて話に乗ってくる。
え、嫌だったの?
「最初は『いきなり押しかけてきた赤ん坊に家庭教師なんて』って思ったんだ。でも色々なことを通して一緒に過ごしていくうちに、だんだん悪くないって思うようになったんだ」
「しぶとかったぞ。ツナが中一の時から家庭教師をしているんだけどな、今年に入るまでずっと『ボスなんか継ぎたくない』の一点張りだったんだ」
それはまた随分と長いこと抵抗してたんだな……。
「じゃあなんでツナはボスを継ぐ気になったんだ?」
「リボーンが周りの人をどんどんその気にさせていって、俺もその空気に耐えられなくなって……つい」
あー、外堀から着実に埋めていったわけね。
逃げ道をなくしたわけだ。
「お前達は初代ファミリーからも認められてたんだ、時間の問題だったろ」
……ん?
待て待て、今明らかにおかしかったよな?
「えーと……今『初代ファミリー』って……」
木場が突っ込む。
そりゃそうだ、誰だって今のはおかしいと思うよ!
「ああ。こいつらは『初代ファミリーの再来』と謳われるほど、何もかもがそっくりでな。ボンゴレを正しく導くことができる七人だと言われているんだ」
「いえ、それは十分すごいことだと思うわ。偉大なる先人に例えられ、周囲に認められるというのは並大抵のことではないでしょう。ないでしょうけど……今はその「初代からも認められた」というところがすごく気になるのだけれど」
部長は額に手を当てて必死に考えているようだ。
まさか……幽霊になって今もどこからか見ている、とか!?
「それは……」
ツナが説明をしようとしてくれた時だった。
ぐぅ~。
今のは、腹の音?
「ん、腹が減っちまったな。時間も時間だし、そろそろ帰って飯にするか」
そう言うとリボーンはいそいそと帰り支度を始め、部室を出ていこうとする。
今帰るの!?
すげー気になるんですけど!
「何やってんだお前達、早く帰るぞ」
本当に帰る気だ!
せめて、せめてその話だけでも!
「今の話はまた今度してやる。ボンゴレリングも関わることだしな」
リング?
リングってあの、炎を灯せるマフィアのリングのことか?
「じゃーな、ツナ達も早くこいよ」
あ、帰っちまった……。
部長はうずうずして今すぐにでも聞きたそうだし、小猫ちゃんなんて連れ戻そうとしてるし!
「まあまあ。部長も小猫ちゃんも、たしかに今日はもう遅いですし、またいずれ訊けばよろしいのでは?」
が、朱乃さんが止めに入る。
「……そうね、たしかにその通りだわ」
部長と小猫ちゃんは落ち着いたのか、大人しくソファーに戻ってくれた。
「えっと、俺達も帰ります。お仕事頑張ってくださいね」
ツナ達も帰るようだ。
リボーンを待たせたら後が怖いって、思いっきり顔に出てるぞ?
「ええ、今日はありがとう。リボーンにもよろしく伝えておいてちょうだい」
「はい、それじゃまた明日」
ふぅ、色々すごい話が聞けたな。
リボーンの過去、ツナの過去。
まだまだ色々なことがありそうだし、訊けば教えてくれるかな?
とりあえずは『初代ファミリー』とのことについて訊こう、そう心に決めて、今夜の仕事の準備を進める俺だった。