ハイスクールD×D ~ボンゴレファミリー来る!~ 作:ムンメイ
打倒ライザーに向けて特訓開始です。
さて、助っ人は誰にしようか……ギャスパーの枠も助っ人ととして誰かをいれる予定です。
ライザーは足りない眷属の分と言いましたので、参加できないギャスパーの分も含めてのこととして進めていきます。
翌日。
俺は大量の荷物を背負って山を登っていた。
昨日のライザーとの一件で十日の猶予を得られた俺達は、来るゲームに向けて特訓をしに山へ来たんだ。
もちろん俺だけじゃなく、部員総出だぜ。
と言っても、ツナ達は一緒にいないんだが……部長曰く、先に目的地まで行っていて特訓の準備をしているらしい。
「もうそろそろ着くわよ。ほら、イッセー。あと少し頑張りなさい」
「はいー……」
檄を飛ばしてくれる部長。
俺はなんとか返事をするが……重いよ!
何が入っているのかわからないけど、とにかく重い。
しかも部長と朱乃さんの荷物まで持っているから……押し潰されないように必死ですよ。
「……お先に」
ひーひーと死物狂いな俺の横を、涼しい顔をして通りすぎる小猫ちゃん。
俺と同じように大量の荷物を持っているのに、なんでもなさそうに登ってるな。
「……うおぉぉぉぉぉ!」
こんなところで後輩女子に負けてられん!
全身に力を入れて一気に山道を駆け登っていく!
……小さなプライドで死にそうになった頃、ようやく目的地にたどり着いたのだった。
ー○●○ー
山の中腹辺りにある木造の大きな別荘。
グレモリー家の数ある別荘の内の一つで、普段は人目につかないよう魔力で隠しているらしいが、今日は使用するので姿を現していた。
早速着替え、別荘の玄関前に集合する俺達。
そこには既にジャージ姿のツナ達がスタンバイしており、俺達を待っていた。
「やっと来たか。待ちくたびれたぞ」
同じくジャージ姿のリボーンが、山本の肩の上から声をかけてきた。
今日いるのはツナ、獄寺、山本、クロームちゃん、笹川先輩、リボーンだ。
六人とも俺達の特訓に付き合ってくれるらしい。
雲雀先輩は、気が向いたら現れる……かも、ということだ。
「さて、それじゃあ始めましょうか」
ツナが皆を見渡して言う。
よし、絶対強くなってやる!
最低でも一発は殴ってやらないとな。
俺だってバカにされたまま引き下がってなんかいられないぜ。
「事前にリアスと朱乃を交えて特訓方法は決めてあるからな、その内容に沿ってツナが全体を仕切るぞ」
おお、ツナが仕切り役か!
「安心しろ、ツナがヘボい時は俺が制裁を加えてやる」
そ、それは安心していいのか……。
リボーンのトレーニングメニューが尋常じゃないのは俺が身をもって体験してるからな……俺としてはツナの方が安心できるんだが。
「イッセー、お前は後でたっぷりしごいてやるから覚悟しろよ」
ひいい!
俺が顔を引きつらせているのを見られちゃったよ!
「ええ、よろしくお願いするわ」
部長ー!
煽らないでくださいー!
……俺、本当に死ぬかもしれない。
「え、えーと、それじゃあ特訓内容を一人ずつ言っていきますね」
ツナはスルーを決め込むようだ。
ひでぇ、ひでぇよ。
「まずは部長」
「ええ」
「部長は基本的な体力作りをしてください。バランスが良く、全体的にまとまってはいますが、体力面で不安が残ります。そこをカバーするようなトレーニングをしていきましょう」
「わかったわ」
「あとは
「ええ、そのつもりよ。この十日間で出来る限りの知識を叩き込むわ」
なるほど、部長は強いから基本的なトレーニングだけで十分ってことかな。
あとはレーティングゲームにおいて圧倒的に経験が不足している王としての役割。
部長にとってもこれが初めてのゲームだから、そこは仕方がない。
だから、この特訓の間になるべく覚えていくつもりのようだ。
「次に、朱乃さんは魔力攻撃が得意ですよね?」
「はい、そうですわ」
「
「お恥ずかしいながら……その通りです」
「そこで朱乃さんには、部長と一緒に基礎体力を向上させつつ、防御魔法を習得してもらいます」
「防御魔法……たしかに、今まであまり熱心に覚えようとはしてきませんでしわ」
「無理に相性の悪い力を使えるようにするよりも、今使えている力で足りないスピードを補うようにしましょう。つまり、いっそのこと速さを捨てて防御力を上げようということですね」
「それなら
魔力の雷はたしかに凄まじいの一言。
だけど、それ以外に何か秀でているかと言われると……正直な話、俺ではすぐに答えは出ない。
ツナはそこを改善するように朱乃さんに指示を出したんだ。
「木場くんは山本についてもらい、とにかく経験を積んでもらいます。同じ剣士として互いに互いを高め合ってください。体力的にも現状はあまり問題はなさそうですし、なるべく色々な方法で戦ってください。その方が、いざという時の機転にも繋がると思うので」
「わかった。よろしくね、山本くん」
「ああ、こっちこそよろしく頼むな。ビシバシやるから、そのつもりでかかってこいよな!」
木場はとにかく実践練習。
しかも山本とのマンツーマンか……いつも明るい山本の指導って、一体どうなるんだろうか?
「次は小猫ちゃんだね。小猫ちゃんは肉弾戦が得意みたいだから、お兄さんーーー笹川先輩とスパーリングをして、木場くんと同じように経験を積んでください」
「わかりました」
「以前はぐれ悪魔と戦った時、パンチ力はすごいものがあるけど、攻撃が素直すぎると思ったんだ。お兄さんはボクシングをやっているから、そういった戦いの駆け引きを学んでください」
「先輩、よろしくお願いします」
「おう、極限に任せておけ!」
小猫ちゃんも経験値を上げるトレーニングだ。
俺みたいな素人からしたら、小猫ちゃんの戦い方に何か改善するところがあるなんて思わなかったけど……
「アーシアさんは部長に魔力の使い方を習いつつ、
「は、はい!」
「体力強化は無理をせず、アーシアさんのペースでやりましょう。魔力については、攻撃方法というよりも操作の仕方を教わってください」
「操作、ですか?」
「たぶん……アーシアさんは自分から攻撃を加えることが極端に苦手だと思うんです。そこで、操作方法を勉強してもらうことで、神器の力に応用できないかなと」
「応用……」
「ただし、これは難航すると思います。俺達が魔力や神器に関して素人だということもあって、この十日間では習得できないかもしれません……ごめんね、きちんと教えてあげられなくて」
「気にしないでください。ツナさん達が一生懸命考えてくれたトレーニングですから、精一杯頑張ります!」
うん、アーシアが前線に立って攻撃している姿なんて想像できないし、実際にできないと思う。
そこで、魔力の潜在能力が高いアーシアにあえて操作方法だけを学んでもらうことで、神器の回復のオーラをどうにか操作しようってことだな。
おお、たしかにそれが実現すれば色々と便利かもしれない!
「最後にイッセー」
いよいよ俺の番か、どんなトレーニングになるのかな?
「イッセーは、皆に言ったトレーニングをほぼ全部やってもらおうと思っているんだ」
……ぜ、全部?
「あ、全部って言っても本当に同じ分だけやってもらうわけじゃなくて、イッセーは何が得意なのか、何ができるのか全然わからないから……最初は一通り皆と同じことをやってもらって、そこからイッセーに合ったトレーニングを改めてやっていこうってこと」
あ、そういうことね。
よかった、ツナまでスパルタになったのかと一瞬ビビったぞ……。
「部長と朱乃さん、アーシアさんの基礎トレーニングには俺とリボーン、木場くんと小猫ちゃんはさっきも言った二人、クロームは最初に木場くん、そのあと小猫ちゃんの方についてもらうから、それぞれよろしくお願いします」
皆の家庭教師も決まったな。
……ん?
と、いうことはだ。
「イッセーは獄寺くんが見てくれるから、頑張ってね」
やっぱり俺はここで死ぬんだ。
そう思わずにはいられなかった。
ー○●○ー
さて、皆それぞれ特訓を始めたわけだけど……俺ーーー沢田綱吉としてはイッセーが気になってしまっていて、どうにも落ち着かなかった。
先日、ライザーにハッキリ「お前は弱い」と突きつけられ、かなり落ち込んでいたイッセー。
今回の特訓も人一倍張り切っていたし、悪い方に転ばないといいけど……。
俺は一通りのトレーニングを終えた後、部長は王としての勉強、朱乃さんとアーシアさんは魔力の扱いについて話し始めたため、リボーンと一緒にイッセーの様子を見にいくことにした。
別荘から少し離れた岩場、そこにイッセーと獄寺くんがいる。
「お疲れー、特訓はどんな感じーーー」
「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
……。
うん、見なかったことにしよう。
そうだ、それがいい。
そのまま立ち去ろうとした時だ。
「ツナぁぁぁぁぁぁぁ!助けてくれぇぇぇぇぇぇ!!」
ああ……見つかっちゃったよ……。
思いっきりこっちを見て助けを呼んでるよね、あれ。
「……獄寺くん、程ほどにしてあげてね」
今まさに新たなダイナマイトを放り投げた獄寺くんは、俺を捉えるとすごい勢いでこっちに走ってきた。
「お疲れさまです、10代目!」
「お、お疲れさま。どう?イッセーの調子は」
「まあ、やり始めた頃に比べればだいぶしぶとくなりました。だけどまだまだですね」
やり始めた頃、つまりアーシアさんの事件があってすぐくらいだ。
「それでも今まで普通の人間だったのに、ここまでなんとか耐えてるだけでもすごいことだよ」
「俺も早いとこボンゴレギアでやりたいですよ。あの代理戦争からここ最近まで大きな戦いもなくて、そろそろ勘を取り戻したいんです」
……そうだね、俺達もうかうかしていられない。
「それなら心配ないよ。部長に頼んで俺達だけの特訓時間を取ってもらっているから」
「おお、流石10代目!ありがとうございます!」
俺も少し勘が鈍っているからね、そこは皆で埋め合わせをしていかなきゃ。
「また俺が一から鍛えてやる。旧魔王に連なる者との戦闘も考えると、今のままじゃ不安だからな」
うっ……リボーンの修行……頭が痛い、気がする。
「とりあえず俺はクロームに幻術で分身を作ってもらって、ボムの確認からですね」
「うん、山本とお兄さんも獄寺くんと手合わせしたがっていたし、俺ともよろしく頼むよ」
「じゅ、10代目のお相手は流石に一人じゃキツいので……誰かと組んでやらせてください」
「いいよ、それなら前衛の二人をフォローするか、後衛のクロームを守りながらサポートし合う形がいいかも」
「はい!それから、10代目との連携も各自確認したいと言っていました」
「それは俺も思ったんだ。俺も山本やお兄さんが一緒の時はどちらかと言うとサポートに回る形になるけど、今まではあまりそういう連携はしてこなかったから……いい機会だし、その辺りも詰めようか」
などと獄寺くんと特訓内容を話し合っていた時だ。
「ツナ……助けて……」
ボロボロのイッセーが倒れている。
あ、そういえばイッセーの様子を見にきたんだっけ。
俺はすっかり目的を忘れて、獄寺くんと話し込んでしまっていた。
~○~
一日目も終わり、皆で夕飯だ。
「イッセー、さっきは本当にごめんね……」
「いいっていいって。もう終わったことだし気にすんなよ」
朗らかに笑ってくれるイッセー。
あのあと、結局そのまま立ち上がることができなかったイッセーは別荘に戻り、アーシアさんの回復を受けた。
リボーンは「アーシアの神器の練習にもなるし、一石二鳥だ」なんて言っていたけど、それは本来の目的とは違うからな、リボーン。
「イッセー、倒れる前に他の特訓にも付き合ったんでしょう?実際にやってみてどう思ったのかしら?」
部長が訊ねる。
イッセーは 先程の笑みから一転、険しい表情になる。
「俺が一番弱かったです」
そう言ったイッセーは心底悔しそうだ。
「剣は木場や山本みたいな才能はないし、肉弾戦は小猫ちゃんや笹川先輩に勝てない、魔力は米粒みたいなものができただけ……情けないです」
それを聞いて部長はふぅ……とため息をつく。
「それは当たり前よ。皆少なくとも、あなたより戦いの経験があるもの」
さらに落ち込んでしまうイッセー。
「でも逆に、それはあなたが可能性の塊だということでもあるのよ」
「可能性……ですか?」
「そうよ。まだ鍛練を始めたばかりで、そんなに簡単に上手くいくわけないじゃないの。あなたはこれからいくらでも強くなれる、私はそう信じているわ」
部長の言葉で何かに気づいたようだ。
だんだんやる気が満ちているのが俺にもわかった。
「そうだぞ、お前ら全員まだまだ育ち盛りなんだ。失敗したっていい、壁にぶつかってもいい。だがその度に強くなれ。お前達の一番の武器は、誰にも予測できない意外性と成長性だからな」
ニッと笑ったリボーンは、全員を見渡した。
そして最後に、イッセーに目を留める。
「イッセー、お前はさっき自分は弱いと言ったな」
「ああ」
「弱いと感じた上で、お前はどうしたいんだ?」
リボーンの問に少しだけ考えたあと、イッセーは真っ直ぐに答えた。
「強くなりたい。せめて、あいつをぶん殴れるぐらいの力がほしい」
「……そうか、わかった」
リボーンのやつ、まさか……。
「明日から俺が直々に鍛えてやる。他の奴との特訓はなしだ。最初から最後まで俺とマンツーマンで特訓だからな」
「……わかった。よろしくお願いします」
やっぱりそうなったか。
でも、これはなんとなくだけど予想していたんだ。
リボーンはイッセーを鍛えるって。
「それじゃあ、明日も今日と同じ場所に来い。そこで特訓だ」
「おう!」
さて、この特訓でイッセーはどうなるかな……?