ハイスクールD×D ~ボンゴレファミリー来る!~   作:ムンメイ

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皆さん、大変……大変お待たせしました。

諸々の都合でなかなか書けず、遅くなってしまいました。

これからちょこちょこ書いていくつもりです。

改めてよろしくお願いします!






Life.12 レーティングゲーム来る!

 

レーティングゲーム当日。

 

 

俺ーーー兵藤一誠は部員の皆と共に部室に集まっていた。

 

 

時刻は深夜の十一時四十分頃。

 

 

ゲーム開始は零時ちょうどだから、残り二十分というところだ。

 

 

皆それぞれ、リラックスできる方法で待機している。

 

 

……一人だけ、「きょっくげーーーーーん!!」と雄叫びをあげている人もいるけれど……。

 

 

ま、まああれでリラックスできるっていうなら、それもいいのかもしれない。

 

 

俺はアーシアと一緒にソファーに座り、静かに時間を待っていた。

 

 

開始十分前になった頃、部室の魔方陣が光だしグレイフィアさんが現れた。

 

 

 

「皆さん、準備はお済みになられましたか?開始十分前です」

 

 

 

グレイフィアさんが確認すると、皆が立ち上がる。

 

 

 

「開始時間になりましたら、ここの魔方陣から戦闘フィールドへ転送されます。そこではどんなに派手なことをしても構いません。思う存分にどうぞ」

 

 

 

ははぁ、戦闘用のフィールドか。

 

 

たしかに、そんなものでもなければ至るところを破壊してしまいそうだし……何をしても害のない、もっと言えば人間界に影響のない場所は必要だよな。

 

 

それからもグレイフィアさんの説明は続くが……

 

 

な、なんと!部長のお兄さまが魔王さまだということが発覚した!

 

 

大事な試合前にそんな衝撃の事実が発覚しようとは……

 

 

木場がこそっと説明をしてくれた。

 

 

 

「以前、三竦みの話をしただろう?その中で今一番力を持っていないのは、実は悪魔なんだ。先の大戦で先代魔王さまは致命傷を受け、すでに亡くなられていてね。今の魔王さま方は亡くなられた魔王さまの名を受け継ぎ、悪魔達をまとめているんだ。結構危ない状況なんだけど、現魔王さまが先代魔王さまに負けず劣らずでどうにか保っているんだよ」

 

 

 

……そんなことになっていたのか。

 

 

ってことは、書物なんかに出てくる魔王さまはもういないってことだろ?

 

 

かなりショックだ。

 

 

 

「じゃあ、部長のお兄さんが選ばれたのは……?」

 

 

 

「最上級悪魔として、だね。サーゼクス・ルシファーーーー『紅髪の魔王(クリムゾン・サタン)』、それが部長のお兄さまであり、最強の魔王さまだよ」

 

 

 

ーーーサーゼクス・ルシファー。

 

 

『グレモリー』ではなく『ルシファー』か。

 

 

だから妹の部長が家を継がなければならないんだな。

 

 

お兄さんはもうグレモリーの悪魔ではないってことなのかね。

 

 

それにしても、やっぱり部長はすげぇ。

 

 

身内まで桁外れなんだもんな……。

 

 

 

「それでは最後に……沢田綱吉さま、笹川了平さま、クローム髑髏さま」

 

 

 

グレイフィアさんがツナ達の方へ歩み寄り、懐から何かを取り出した。

 

 

……あれは、カードか?

 

 

 

「これは悪魔ではないあなた方のために、特別に用意されたものです。このカードを持っていれば、それぞれのカードに描かれている駒の特性を得ることができます」

 

 

 

説明をしながら三人へカードを配るグレイフィアさん。

 

 

覗き込んでみると、トランプくらいの大きさの紅いカードだ。

 

 

中心にグレモリーの紋様があり、その紋様の中にはそれぞれ騎士(ナイト)戦車(ルーク)僧侶(ビショップ)の駒の絵が描かれている。

 

 

 

「ゲーム開始の合図と共に効果が表れます。ポケットへ入れていただければ問題ありません」

 

 

 

なるほどな、それなら邪魔にならずに済みそうだ。

 

 

悪魔の技術ってのもすごいもんだな。

 

 

三人はしばらくカードを眺めていたが、胸ポケットへ仕舞った。

 

 

 

「そろそろ時間です。皆さま、魔方陣の方へ」

 

 

 

グレイフィアさんに促され、俺達は魔方陣に集結する。

 

 

 

「一度転移すると、終了まで魔方陣での転移はできません。ご注意ください」

 

 

 

なるほど、帰ってくる時は勝負が決着した時ってことだな。

 

 

魔方陣がグレモリーの紋様から見知らぬものへと変わり、輝き始める。

 

 

たぶん、ゲーム用の紋様なんだろうな。

 

 

さて、いよいよゲームスタートだ。

 

 

気合い入れていくぜ!

 

 

 

ー○●○ー

 

 

 

あれ?たしかに転移したと思ったんだが……部室のままだぞ?

 

 

もしかして失敗か?

 

 

アーシアやツナ達も不思議そうにキョロキョロと辺りを見回していたのだが……。

 

 

 

『皆さま、この度グレモリー家、フェニックス家のレーティングゲームの審判(アービター)役を担うことになりました、グレモリー家の使用人グレイフィアでございます』

 

 

 

おお、校内放送だ。

 

 

転移の光が止んだ時にグレイフィアさんの姿が見えなかったが、どうやらグレイフィアさんだけ別の場所へ転移したようだ。

 

 

 

『さっそくですが、今回のゲームのルールを説明させていただきます。今回のバトルフィールドはライザーさまのご提案により、リアスさまの学び舎である駒王学園のレプリカをご用意しました』

 

 

 

なるほど、だから転移を失敗したと思ったんだ。

 

 

それにしてもこんなデカイもののレプリカを用意できるなんて……改めて悪魔の力ってのは凄まじいもんだと感じるぜ!

 

 

 

『両陣営、転移された先が本陣でございます。リアスさまの本陣が旧校舎のオカルト研究部の部室。ライザーさまの本陣は新校舎の生徒会室。兵士(ポーン)の方はプロモーションをする際、相手の本陣周囲まで赴いてください』

 

 

 

兵士……って、俺か!

 

 

うーむ、相手の陣営近くまで行かないといけないのか。

 

 

しかし兵士の性質上、絶対にプロモーションをした方が有利だ。

 

 

何せ最強の駒である女王(クイーン)になれるんだからな、狙わない手はないぜ。

 

 

ん?ってことは、逆に相手の兵士がこちらまで来てしまったら……それはマズイ!

 

 

なんとしてでも防がないと!

 

 

 

「全員、この通信機器を耳につけてください」

 

 

 

朱乃さんがイヤホンマイクタイプの通信機器を配る。

 

 

それを耳につけながら部長が言う。

 

 

 

「戦場ではこれで味方同士やり取りするわ」

 

 

 

これで離れた場所から命令を受けたりするのか。

 

 

大事なアイテムだ、壊さないようにしないとな。

 

 

俺や皆が受け取ったイヤホンを着けるが……ツナだけは受け取らず、それどころか既にヘッドホン?を装着していた。

 

 

 

「ツナ、それは……?」

 

 

 

「ああ、これはね、ある補助機能付きのヘッドセットなんだ」

 

 

 

「実は今回の戦いに備えて、事前にリボーンが用意してくれたのよ。ツナのヘッドセットは以前から使っていたものらしいけど、それに合わせて私達用の通信機器を作ってくれたわ」

 

 

 

へー!リボーンのやつそんな便利なものも作れるのか!

 

 

あいつ本当にただ者じゃないな……

 

 

 

「作ってくれたのはボンゴレの技術者らしいけどね」

 

 

 

あら……そうなのか。

 

 

 

「私のイヤホンが親機、皆のは子機よ。ツナだけはそのヘッドセットでないとダメみたいだけど……。それから、通信をスタートしたら一斉に周波数を変動させるから、盗聴の心配もないそうよ。更に戦闘用だから簡単には壊れない優れものらしいわ」

 

 

 

お、思ったよりハイテクな機械だった……。

 

 

でも、壊れる心配がいらないってのはありがたいな。

 

 

これで心置きなく暴れてやれるぜ!

 

 

 

『開始のお時間となりました。なお、このゲームの制限時間は人間界の夜明けまで。それでは、ゲームスタートです』

 

 

 

キーンコーンカーンコーン……。

 

 

 

グレイフィアさんの合図と共に鳴るチャイム。

 

 

遂に、俺達にとって初めてのレーティングゲームが始まる!

 

 

 

ー○●○ー

 

 

 

木々の間を縫うように低空を飛ぶ俺ーーー沢田綱吉は、部長の作戦を実行するべく校庭へと向かっていた。

 

 

途中までは木場くんと一緒に行動していたんだけれど、彼は彼の仕事があるので今は別行動だ。

 

 

しばらくして校庭の端にたどり着いた俺は、一旦物陰に隠れて待機。

 

 

さて、今回の作戦はこうだ。

 

 

まず始めに、俺達の最終目的は新校舎にいるライザーを倒すことだ。

 

 

そのためにはそこまでたどり着かなければならないのだが、旧校舎から新校舎までのルートは大まかに二つ。

 

 

一つは運動場を通って新校舎へ向かうルートと、もう一つは体育館を通って新校舎へ向かうルート。

 

 

部長は迷わず体育館側を選択した。ーーーが、それはあくまで囮だ。

 

 

体育館側の方が新校舎、旧校舎共に近くルートを確保しやすい上に、相手への牽制にもなる。

 

 

だがそれは相手も同じで、こちらと同じようにルートを確保する為、体育館を占拠しようと眷属を配置してくるだろう。

 

 

だからこそ最初に体育館を取るーーーというより、『破壊』する。

 

 

重要だからこそ相手もそこに来ると想定し、数人の囮を体育館へ向かわせ、相手とある程度交戦した所で味方は退避。

 

 

そこをすかさず体育館ごと撃破(テイク)する。

 

 

そして別動隊として運動場側の偵察に向かわせた他の部員達と合流し、そのまま新校舎へと突入する。

 

 

……という流れなのだが……俺は一人、校庭まで来ている。

 

 

何故かと言えばーーー

 

 

 

 

ドッゴォォォォォォォォオオォオォン!!!!

 

 

 

 

突然、凄まじい衝撃音が鳴り響く!

 

 

あの方向は……体育館だな。

 

 

 

『ライザー・フェニックスさまの戦車一名、兵士三名、リタイア』

 

 

 

グレイフィアさんのアナウンスだ。

 

 

なるほど、リタイアした場合はこのようにアナウンスが流れるようだ。

 

 

さて……そろそろ行くか。

 

 

俺はゆっくりと、まるで相手に見せつけるかのように校庭の中央まで歩き始めた。

 

 

 

~○~

 

 

 

うっひょぉぉぉぉ!

 

 

すっげー威力だな!本当に人のパンチで体育館が吹っ飛ぶとは!

 

 

 

「見たか!これぞ極限、晴の力だーーーー!!」

 

 

 

俺ーーー兵藤一誠の隣で吠えているのは、笹川先輩だ。

 

 

作戦通り外から体育館を全て吹き飛ばし、相手をまとめて四人もリタイアさせちまった!

 

 

当初は笹川先輩の役目を朱乃さんがやるはずだったんだ……朱乃さんにも強力な雷の一撃があるからね。

 

 

だけどその一撃を放った後は、しばらく魔力の回復を待たないといけないこと、笹川先輩がどうしてもやると言って騒いでいたこと……ま、まあこの二つの理由で、体育館の撃破は笹川先輩の役目となった。

 

 

で、朱乃さんはというと、俺達がいる体育館と木場が偵察に向かっている運動場の間で待機している。

 

 

どちらかに何かがあった場合すぐにサポートに回れるようにする為だ。

 

 

っとと、とは言え、まだ相手が潜んでいるかもしれない。

 

 

気を抜かないようにしないと。

 

 

 

「笹川先輩、まだ相手が近くにいるかもしれません。なるべく声は抑えて……」

 

 

 

「おっと、そうだったな。なにせ久しぶりに振るったのでな、思わず極限の雄叫びがこみ上げてしまった!」

 

 

 

俺と一緒に体育館での囮役をしていた小猫ちゃんに注意されるのだが、ワッハッハッ!と豪快に笑う先輩。

 

 

言った傍から声がデカイよ!

 

 

 

「と、もういいだろう。ご苦労だったな」

 

 

 

笹川先輩は俺達の隣に立っているーーーもう一人の笹川先輩に声をかけた。

 

 

 

「うむ、後は任せたぞ」

 

 

 

もう一人の笹川先輩はそれだけ言い残すと……霧となって消えてしまった。

 

 

そう、今まで囮役として俺と小猫ちゃんは体育館で戦闘していたのだが……『笹川先輩も一緒に』戦っていたのだ。

 

 

ただしこの笹川先輩はニセ者だ。

 

 

その正体はクロームちゃんの作った幻覚!

 

 

部長はあらかじめクロームちゃんの能力を聞いており、相手を騙す為の手段として俺達と一緒に行動させたんだ。

 

 

霧の炎で作られた笹川先輩は近くで見ても本物となんら変わりなく、ニセ者だと言われてもにわかに信じられない精度だ。

 

 

霧の炎の特性ーーー構築っていうのはこういう風に使うんだな。

 

 

有るものを無いもの、無いもの有るものとして相手を欺く技か……。

 

 

ちなみにクロームちゃんは部室で待機している。

 

 

今回のクロームちゃんの役割は、防御とサポートだ。

 

 

今のようにこちらの存在を誤認させたり、旧校舎周辺に霧の結界を張りめぐらせ、相手の侵入を防ぐ。

 

 

更に部室を丸ごと覆う結界も張り、こちらが新校舎にたどり着くまでの間を守ってくれている。

 

 

部長が新校舎へ乗り込む時には護衛として共に合流する手筈だ。

 

 

クロームちゃんなら幻術で相手を撹乱しながらこちらまでたどり着けるからね。

 

 

よし、とりあえず作戦の第一段階はクリアだ。

 

 

このまま木場と合流してーーー。

 

 

 

「いかん!離れろ!」

 

 

 

突然笹川先輩が叫び、俺達を突き飛ばす!

 

 

な、なんだ!?何がーーー。

 

 

 

 

ドォォォォォン!!

 

 

 

 

たった今立っていたところが大きく爆発する!

 

 

敵か!?全く気づかなかった……。

 

 

っ!笹川先輩は!?

 

 

俺達を助ける為に突き飛ばした先輩は、爆発の真ん中にいる!

 

 

未だ煙が立ちこめる中、先輩のシルエットが見え始めた。

 

 

 

「先輩……!」

 

 

 

小猫ちゃんが駆け寄ろうとした時、上空から聞きなれない声が聞こえる。

 

 

 

「撃破」

 

 

 

声がした方を見れば、フードを深く被った魔導師姿の女性が翼を広げて空に浮遊している。

 

 

あの人!たしかライザーの女王だったはずだ!

 

 

 

「ふふふ。獲物を狩る時、獲物が何かを成し遂げた瞬間が狩りやすい。多少の駒を犠牲にはしましたが、実力が未知数な相手を先に倒せたなら上々。特殊ルールで能力が向上しているとはいえ、人間の身でありながらあれほどの破壊力……これ以上何かをされる前に撃破できたのは収穫でしたわね」

 

 

 

愉快そうに笑い地上へと降りてくる魔導師。

 

 

そんな……先輩が……。

 

 

くそっ、俺達を庇って……!

 

 

俺と小猫ちゃんは魔導師に向かって拳を構える。

 

 

相手が格上だろうと関係ねぇ!助けてくれた先輩の分はきっちり返してやるぜ!

 

 

緊張を一気に高め、今にも相手に飛び出そうとした時だ。

 

 

 

「誰が、何だと?」

 

 

 

煙が晴れていくなかで、先ほど爆発があった場所から声が聞こえる!

 

 

まさか、笹川先輩!?

 

 

そこには……傷一つない笹川先輩の姿が!

 

 

その周りには、見たことのない魔方陣が先輩を囲うように展開されていた。

 

 

その姿に相手の女王は目を見開いて驚く。

 

 

 

「バ、バカな!?先ほどの攻撃は確実にあなたを捉えたはず!なのに何故ーーーっ!?」

 

 

 

相手の女王はそこまで疑問をぶつけると、何かに気づいたように上空を見上げた。

 

 

そしてすぐさま身を翻す!

 

 

がーーー。

 

 

 

 

ビガガガガガガガガッッ!!!

 

 

 

 

激しい雷撃が女王を襲う!

 

 

この雷は……!

 

 

 

「獲物を狩る時は、獲物が何かを成し遂げた時が瞬間が狩りやすい、でしたわね?」

 

 

 

……雷の一撃を避けきれず、着ている服のあちこちをボロボロにさせた女王。

 

 

既に満身創痍で、今にもリタイアしそうな様子だ。

 

 

 

「すまない、姫島。おかげで助かった」

 

 

 

「いえいえ、これくらいお安いご用ですわ」

 

 

 

朱乃さん!

 

 

でも、なんでここに……?

 

 

 

「先程、そちらの女王さんが上空を飛んでいるところを目撃しました。恐らくこちらが格下とみて油断していたのでしょうが……おかげで笹川君を助けられましたし、かえって良かったですわ」

 

 

 

こちらの疑問を先に答えてくれる朱乃さん。

 

 

そうか!さっき先輩を囲んでいた魔方陣は、朱乃さんの防御魔法だったのか!

 

 

この前の特訓の成果だ!流石は我らが女王の朱乃さん!

 

 

 

「おのれ……よくも…………よくも!!」

 

 

 

……おいおい、嘘だろ?

 

 

振り返ってみると、相手の女王がヨロヨロと立ち上っていた。

 

 

あの人、あの一撃を喰らってもまだリタイアしないのか……!

 

 

 

「このユーベルーナ、ライザーさまの女王として負けるわけにはいかないのよ!」

 

 

 

相手の女王ーーーユーベルーナはおぼつかない手つきで懐を探ると、小さな小瓶を一つ取り出した。

 

 

そして蓋を外し、一気に飲み干した!

 

 

なんだ……?まだ何かあるってのか……?

 

 

 

「まさか……あれは……!」

 

 

 

朱乃さんが苦々しげに漏らす。

 

 

 

「あら、知っていたのね。そうよ、これは『フェニックスの涙』。どんな傷を受けようとも、これ一つあればたちまち治ってしまう……フェニックス家の誇る秘薬中の秘薬よ」

 

 

 

なに!?

 

 

ってことは、せっかく倒したと思っても何度も復活できるってことか!?

 

 

 

「そ、そんなのありかよ……!」

 

 

 

「あら、これはルール上許された行為よ?と言っても、試合で使える涙の数は二個までと決まっているけれど。それに、そちらにも『聖母の微笑(トワイライト・ヒーリング)』の神器(セイクリッド・ギア)があるのでしょう?卑怯とは言わないでくださいね」

 

 

 

再び余裕を見せるユーベルーナ。

 

 

ど、どうしたらいい!?

 

 

数の上ではこちらが有利だけど……これ以上この人の相手をすると次の作戦に支障が……!

 

 

朱乃さんに指示を仰ごうとした時だ。

 

 

 

「卑怯などと言わん。お前の持てる全てを懸けて俺に挑んでこい」

 

 

 

「笹川先輩……?」

 

 

 

「俺がやる。お前達は先に行け」

 

 

 

なんと笹川先輩が大胆不敵に宣戦布告をし、しかも一人で引き受けると言い放った!

 

 

 

「でも、それじゃ先輩が……!」

 

 

 

小猫ちゃんが引き留めようとするが、笹川先輩は頑として譲らなかった。

 

 

 

「お前達には果たすべき役目があるのだろう?ならばしっかりとその役目を全うしろ。己の本分を見失うな」

 

 

 

……っ!

 

 

たしかに、先輩の言う通りだ。

 

 

でも!

 

 

 

「なーに、俺は強い!簡単には負けはせん!」

 

 

 

俺達の心配を吹き飛ばすように笑う先輩。

 

 

 

「……わかりました。その代わり、私も一緒に戦わせてください」

 

 

 

小猫ちゃん!?

 

 

いきなりの発言にびっくりする俺と朱乃さんだが、その瞳は決意に満ちていた。

 

 

 

「私だって役に立ちたいんです。お願いします……!」

 

 

 

少しの間困り顔で考え込む朱乃さんだが、小猫ちゃんの必死のお願いに遂に折れる。

 

 

 

「……わかりましたわ。では、私とイッセーくん、小猫ちゃんと笹川君の二手に別れましょう。私達は作戦の遂行、小猫ちゃん達はここであの方のお相手をしてください」

 

 

 

「仕方あるまい……いいか、塔城。しかと見ておけよ」

 

 

 

「はい……!」

 

 

 

ユーベルーナに聞かれぬよう、小さい声で話をまとめる三人。

 

 

皆覚悟を決めたんだよな。

 

 

それなら俺も、これ以上言うことは何もない。

 

 

 

「先輩、ここはお願いします!」

 

 

 

「ああ、任せておけ」

 

 

 

後は俺と朱乃さんがここから離脱するタイミングだが……ユーベルーナは今の俺達のやり取りを見て、どうやら笹川先輩が自分と戦うことになったらしいことは察したようだ。

 

 

それが可笑しかったのか、ユーベルーナは苦笑混じりに笹川先輩を見やる。

 

 

 

「あらあら、いいのかしら?先程はそちらの女王ーーー『雷の巫女』の防御魔法があったからこそ耐えることができたのではなくて?人間が私の炎に抗うなんてできるはずないわよ?」

 

 

 

「ほう。ならばお前の炎と俺の炎、どちらが上か……いざ、勝負!」

 

 

 

次の瞬間、笹川先輩が腕に装着していたバングルーーーボンゴレギアから黄色の炎が溢れ出した!

 

 

呪文のような紋様が二つ、交差して輪を作るように浮かび上がる。

 

 

それは炎の輝きと共鳴するように次第に大きく拡がっていきーーー。

 

 

 

 

ゴアッ!

 

 

 

 

 

地面を大きく抉るほどのエネルギー共に、姿の変わった笹川先輩が現れる!

 

 

頭にヘッドギアを装備し、両手にはボクシングで使うようなグローブを装着している。

 

 

その姿は正しくボクサーのそれだ。

 

 

 

「待たせたな。では、いくぞ!」

 

 

 

「そう……そんなに爆発したいなら、今度こそ確実に仕留めて上げるわ!」

 

 

 

一瞬の間。

 

 

 

 

ダッ!

 

 

 

 

先に動いたのはユーベルーナだ!

 

 

笹川先輩の正面から滑るように横側へ移動すると、すかさず魔方陣を展開する!

 

 

 

 

ドォォォォォォォォンッ!!

 

 

 

 

最初のものより大きな爆発!

 

 

しかし笹川先輩はその攻撃を読んでいたかのように躱し、素早くユーベルーナの懐に入りこむ!

 

 

 

「シッ!」

 

 

 

勢いそのままに相手のボディへとパンチを打つ!

 

 

 

 

バキィンッ!

 

 

 

 

小気味の良い音が響く。

 

 

よく見れば、相手は小型の防御魔方陣を展開し、先輩のパンチを受け止めている!

 

 

これを見たユーベルーナは、ニヤリと不敵な笑みをみせる。

 

 

 

「どうかしら?いかにあなたのパンチがすごくとも、これくらいの威力なら私の防御魔法でも容易く受けきることができるわ」

 

 

 

たしかに相手の言う通り……笹川先輩のパンチを持ってしても、あの魔方陣は壊せないのか……!

 

 

だが、先輩はまるでこの展開を待っていたかのようにユーベルーナへ切り返す。

 

 

 

「いや、これでいい!」

 

 

 

うぉぉぉぉぉぉぉ!と気合いを入れ、ボディを打った腕に力を込める!

 

 

徐々にユーベルーナの体が浮いていき……そして遂に、遥か上空へと打ち出された!

 

 

 

「今の内だ!早く行け!」

 

 

 

先輩、俺達が離れられるタイミングを作るためにわざと……ありがとうございます!このチャンス、決して無駄にはしません!

 

 

 

「行きましょう、イッセーくん!」

 

 

 

「はい!先輩、よろしくお願いします!」

 

 

 

朱乃さんと共にその場を駆け出す!

 

 

この場を引き受けてくれた先輩と小猫ちゃんの為にも……絶対勝つ!

 

 

 

 

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