ハイスクールD×D ~ボンゴレファミリー来る!~   作:ムンメイ

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原作二つを両手に忙しく書いてます……。

なるべく一つの章を六話程度にしたいな。


Life.2 救援来る!

『チョット、ハヤクオキナサイヨ!オキナイナラ……キ、キススルワヨ!』

 

 

……ツンデレボイスで俺ーーー兵藤一誠を起こしてくれる目覚まし時計。だが、本来の役目を果たしてくれてはいない。

 

なぜなら……

 

 

「はぁ……」

 

 

俺は既に目が覚めていた。

 

昨日はよく眠れなかったんだよね……、しかもここ数日ずっと。

 

理由は最近見るようになった悪夢。

 

俺の彼女、夕麻ちゃんに殺される夢……。

 

でもそれはあくまで夢だ。だって俺はこうして生きているわけだし。

 

 

「イッセー!イッセー、起きてるいるなら早く降りてきなさい!」

 

 

「今行くよ!」

 

 

一階から二階にある俺の部屋へ母さんが声をかけてくる。

 

俺は急いで支度をし、出掛ける準備をする。

 

 

「行ってきまーす!」

 

 

朝から最悪な気分だけど……学校には行かないとな。

 

 

 

ー○●○ー

 

 

 

あぁ……なんかだるいなぁ……。

 

ここ数日、毎朝こんな感じだ。

 

以前はそんなことはなかったのに、朝日が、というよりも太陽の光が苦手になってしまった。

 

肌をチリチリ焼くようなというか……朝は起きられなくなるし、その度に母さんが叩き起こしに来るし、とにかくキツイんだ。

 

まあ、今日は悪夢のせいで眠れなかったんだけどさ。

 

逆に夜だとすごく元気が湧いてくる。これも今までになかったことだ。

 

むしろ夜更かしは苦手な方で、いつもなら日付が変わる頃には眠くて仕方がなかったのに、今では全然眠くならない。

 

体も軽くなるような、そんな気がする。

 

試しに一度、夜中に町を走ってみたところ……めちゃくちゃ速い!

 

自分の体じゃないみたいに速く走れるようになっている!しかもスタミナも切れないし……。

 

うーん……やっぱり俺は、夕麻ちゃんとのデートの日から何かが変わってしまったように思えてならなかった。

 

 

 

ー○●○ー

 

 

 

「お前ら、本当に覚えていないのか?」

 

 

「だから何度もそう言っているだろ。そんな子は知らん」

 

 

「第一、お前に彼女ができただなんて俺達が知ったら、黙っているはずがないだろう?」

 

 

それはそうかもしれないが……。

 

昼休み。俺は松田と元浜、それとこの間転校してきたツナ達三人の六人で弁当を食べていた。

 

なんとなく話のタネで夕麻ちゃんのことを振ってみた俺だが、松田と元浜はこの反応なわけで……。

 

ツナ達が知らないのは仕方がない。紹介なんてしていないし、そもそも夕麻ちゃんのことをちゃんと話したのも今日が初めてだしな。

 

 

「ねえ、イッセー。その夕麻ちゃんってどんな子なの?」

 

 

ツナが聞いてくる。山本も興味があるのか、こちらの話を促すように俺を見る。

 

獄寺はどうでもよさそうにしているが……。

 

俺は夕麻ちゃんのことを改めて説明した。自分で話していても、やっぱり夢の中の話ではないと思える。

 

だけど松田と元浜は知らないという顔をするばかりだった。

 

 

「へぇ、そんなかわいい子が彼女なんだ……イッセーはすごいなぁ」

 

 

「やるじゃねーか、イッセー!」

 

 

説明を終えると、二人とも感心したように感想を言ってくれる。が、どこかぎこちないような……。

 

先程までは興味なさそうに話を聞いていた獄寺も、顔をこちらに向けて真剣に話を聞いていたみたいだし、離れた席から視線を感じたので見てみれば、クロームちゃんもこちらの話を聞いていたのか、こちらを見ていた。

 

視線が合うとすぐにそっぽを向いてしまったが……な、なんなんだ?

 

 

「ツナ、山本。さっきも言ったけど、これはイッセーの脳内彼女の話だからな」

 

 

「そうそう、俺達は夕麻ちゃんなんて紹介されてないからね」

 

 

松田と元浜はすぐさま横槍をいれてくる。

 

二人の反応は嘘を言っているようには思えないど……それに、俺の携帯に登録してあった夕麻ちゃんのアドレスまで消えてしまっている。転校生四人組といい、どうも腑に落ちないな。

 

ふと、窓の外を見る。

 

よく晴れた太陽の陽射しに、紅い髪が踊る。

 

一つの上の学年の先輩、リアス・グレモリー。

 

この駒王学園の二大お姉様の内の一人で、美しすぎるその美貌と優雅な立ち振舞いは、男子生徒だけではなく女子生徒にまで人気が高い。学園内のトップアイドルだ。

 

俺も何回か見かけたことはあるし、あわよくばお近づきになりたいと思っていたが……

 

今はあの美貌が怖いと感じている。

 

あの夢。あの時、俺があの公園で最後に見る紅と同じ色。

 

彼女がこちらを見上げる。

 

目を細め、口元は微笑んでいるようだ。

 

その時、俺は言い様のない感覚に陥った。

 

まるで圧倒的な強者に睨まれたような、そんな感覚。

 

俺を見ている……んだよな。でもなんでだ?彼女とはなんの接点もないのに。

 

夢の中の紅と彼女の紅い髪が重なって見えたとき、既に彼女はいなくなっていた。

 

 

 

ー○●○ー

 

 

 

夜の十時過ぎ、俺は松田の家から帰宅中だ。

 

松田と元浜は俺の元気がないのを見かねて、俺をエロDVD観賞会に誘ったんだ。

 

ツナ達は用事があるとかで先に帰ったぜ。

 

あの四人、いつも一緒に帰ってるみたいだけど、本当に仲がいいよな。

 

ツナ達と一緒に帰ろうかとも思ったんだけど、半ばやけくそ気味だったのもあったし、ここは二人の厚意に甘えることにした。

 

ま、まあ後半は「何故俺達には彼女がいないのか」という議題になり、三人で号泣してたんだけど……。

 

元浜と別れて数分、俺は先程から例の感覚を覚えていた。

 

夜になると力が湧いてくるって感覚。

 

 

やっぱり俺おかしくなってるな……。目も冴え渡っているし、街灯があるとはいえこんな暗い道でも昼間みたいによく見える。

 

でもなぁ……この感覚だけは気のせいじゃないだろう。

 

だってこの背筋が凍るような寒気は本物だから!

 

さっきからチクチクと刺さるような視線と……これは殺気、か?

 

そんなものを感じるのはあの夢以外では初めてだが、どうやら的外れではないようだ。

 

その視線の主は物陰から出てきていて、俺を睨んでいる!

 

だ、誰だ?

 

あんな黒いコートを着た男の知り合いなんていないぞ?

 

その男性はこちらに歩いてくる!

 

やっぱり俺?俺なの!?

 

 

「これはこれは……まさかこんな地方都市で貴様のような存在に会うとは」

 

 

……ん?な、何を言っている?まさか頭がイッちゃってる人?

 

マズイ、こんな人にこれ以上絡まれたらシャレにならない!

 

なんとか逃げなきゃ……そうだ!夜になると湧いてくるこの力!

 

この力でなんとか全力逃げるんだ!

 

ジリジリと後ずさりし、男性から距離を取る。

 

 

「なんだ、逃げ腰か?貴様の主は誰だ?こんな地方都市を縄張りにしている輩だ、よっぽど位の低いものか、それともただの物好きか……」

 

 

 

バッ!

 

 

 

俺はすぐさま逃げる!

 

なんなんだよ、訳わかんねえよ!

 

ひたすらに走る。走って走って、ただ闇雲に逃げた。

 

やっぱり速くなってる!これならいける!

 

途中で角を曲がったりしながら、とにかく逃げ続けた。

 

十五分程走っただろうか、俺は見知った場所に出た。

 

ーーー公園だ。

 

あの夢に出てくる公園。

 

走るのを止め、噴水の方へと歩いていく。

 

やっぱり……ここで間違いない。

 

ここを目指して走ったわけでもないのに……無意識にここに向かっていた?

 

 

 

ゾクッ!

 

 

 

 

背後に何者かの気配!

 

 

「俺が逃がすとでも思ったのか?これだから下級の存在は困る」

 

 

俺の前に現れたのはさっきの男!

 

しかも……翼が生えている。黒い羽の翼だ。

 

本物か?コスプレにしてはどうやって動かしてるのかわからないし……。

 

すると男は、手をピストルのような形にして俺に向ける。

 

まるで俺を撃とうとしているようだが、そんなことよりもっと遠くへ逃げなきゃ!

 

だが、男に背を向けて逃げようとした俺の脚を、何かが貫いた。

 

(いって)ぇぇぇぇぇえぇええぇ!!

 

あまりの痛みに耐えられず、無様に転んでしまう。

 

傷口をみてみると……俺の両足にはビー玉大の穴が空いており、しかも傷口からは煙が上がっている!

 

な、なんだよこれ!なんでこんな煙が!?普通、傷口から煙なんて出ないだろ!?

 

男は手をピストルの形にしたままこちらに近づいてくる。

 

 

「光を喰らうのは初めてか?ふむ……先程からの慌てようといい、魔方陣を展開する素振りを見せないところといい、どうやら貴様は『はぐれ』のようだ。主も姿を見せないしな」

 

 

光!?それなら夢の中で土手っ腹に穴を空けられたよ!

 

脚の痛みは徐々に全身に広がっていき、なんとか体を動かすのがやっとだ。

 

男は俺の前で立ち止まる。

 

 

「痛かろう?光はお前らにとって猛毒に等しいからな」

 

 

猛毒?確かにその通りみたいだ。その証拠に全身を焼かれるような激痛が襲ってきてやがるからな!

 

 

「また逃げられると厄介なんでな、弱めた光で脚を撃たせてもらった。だが、もうそれもできまい。今度はトドメを刺させてもらおう」

 

そう言うと男は俺に向けていた手を開き、そこに眩いばかりの光の槍を作り出した。

 

そして俺に振りかぶる!

 

ヤバい、あんなの喰らったら流石に死ぬ!

 

混乱する思考の中で、俺はあの夢の続きも思い出していた。

 

紅の髪……。

 

あの紅が俺を助けてくれたら……いや、それはないか。

 

あれは夢の中の出来事。そう上手い話があるわけない。

 

でも……夢でもいい、助けてくれ!こんなところで死ぬなんてゴメンだ!

 

いよいよ終わりかと、覚悟を決めた時だった。

 

 

「イッセー!!」

 

 

聞き覚えのある声。俺を呼んだのか?

 

 

「イッセーから離れろ!」

 

 

まただ!俺は声の聞こえた方を探す!

 

目の前の男も、予想外だと言わんばかりに辺りを見回している。

 

空を見上げると……オレンジ色の、炎……か?

 

夜空を明るく照らしながら高速で近づいてくる!しかも空から!

 

と、飛んでいるのか?あれ?

 

炎は俺と男の間に、まるで男から俺を守るように着地する!

 

人だ!炎だと思っていたのは人だった!

 

その人は振り返り俺に問う。

 

 

「遅くなってすまない。大丈夫か?」

 

 

その人は額から炎を出し、その炎と同じオレンジ色の瞳をしている。

 

……って!

 

 

「ツナ!?」

 

 

そう!ツナだった!

 

な、なんか学校で見た時と随分雰囲気が違うが……間違いなく、その顔、声はツナだ!

 

 

「なんでツナがここに?っていうかその炎はなんだ!?なんで空を飛んできたんだ!?」

 

 

矢継ぎ早に聞き返す俺!

 

そりゃそうだ、訳わからないおっさんに絡まれたと思ったら殺されそうになって、それを訳わからない炎と一緒に飛んできた友達に助けられるし!

 

 

「俺のことは後でいい。そんなことより、イッセーは大丈夫なのか?」

 

 

俺の質問を軽く流すツナ。

 

 

「あ、ああ……脚と全身の痛み以外は……」

 

 

俺の答えを聞いたツナは一瞬ハッとした顔をし、俺の脚を見た。

 

未だ脚からは煙が立ち上ぼり、シュウシュウと音を立てている。

 

ツナは悔しそうに唇を噛むと、男に向き直り構えをとる!

 

 

「お前!俺の友達になんてことを!」

 

 

「ハッ!たかだか人間風情に、何も教えてやる義理はない!それに……貴様が俺に敵うとでも?」

 

 

奴はツナの登場に多少狼狽えていたみたいだが、すぐに気を取り直したようだ。

 

奴も光の槍をツナに構える。

 

 

「やってみなくちゃわからないぜ」

 

 

一触即発の空気が漂う。

 

……と、ツナと男が同時に飛び出した!次の瞬間!

 

 

 

バシュッ!

 

 

 

何かが弾けるような音!

 

見れば男の手にあった光の槍は消えており、手から血が吹き出している。

 

 

「その子に触れないでちょうだい」

 

 

俺達の方へ歩いてくる女性。

 

紅の髪だ。離れていてもすぐに理解できた。

 

 

「紅い髪……グレモリーの者か……」

 

 

男は女性に憎々しげな目を向ける。

 

 

「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう、堕ちた天使さん。この子に手を出すなら、私達が容赦しないわよ」

 

 

「……ふふっ。そうか、その者はそちらの眷属か……まあいい、今日のことは詫びよう。だが、あまり下僕を放し飼いにしないことだ。私のような者が散歩がてらに狩ってしまうかもしれんぞ?」

 

 

「ご忠告痛み入るわ。この町は私の管轄なの。今度邪魔をしたら、その時は容赦しないわよ」

 

 

「そのセリフ、そっくり返させてもらおう。我が名はドーナシーク。再び見えないことを願おう」

 

 

そう言い残し、男は翼を羽ばたかせ夜の空へと消えていった。

 

……た、助かったのか?

 

 

「あ、あの!あのまま逃がしても良かったんですか?」

 

 

ツナがリアス先輩に問う。いつの間にか額の炎は消え、雰囲気も俺が知っているツナに戻っている。

 

 

「大丈夫よ、沢田君。あのまま戦闘を続けていたら、もっとややこしくなっていたもの」

 

 

お互い知っている仲なのか、二人で話をしている。

 

くそ!ツナの奴いつの間にあんな素敵なお姉様とお知り合いになったんだ!

 

悔しくてツナに文句を言おうと立ち上りかけたのだが、

 

 

「いてっ!」

 

 

俺は脚の痛みで上手く立ち上がれずに尻餅をついてしまった。

 

そ、そういえば俺、怪我してたんだっけ……

 

俺が尻餅をついた音が聞こえたのか、二人はこちらを見て近づいてくる。

 

 

「そ、そうだ!脚、怪我してるんだったよね!」

 

 

傷を見て慌てふためくツナ。

 

 

 

「お兄さん!早くこっちに!怪我を見てください!」

 

 

ツナが噴水の向こう側へ叫ぶ。

 

お兄さん?ツナに兄貴なんていたのか?

 

ぐっ!ヤバい……落ち着いてきたらまた痛みを感じてきた……。

 

 

「おおおおおお!!極限に任せろぉぉぉ!!」

 

 

……な、なんかめちゃくちゃ熱い声が聞こえてきたぞ。

 

しかも何か叫びながらどんどん近づいてくる!

 

 

「笹川了平、推・参!!」

 

 

知らない人きたぁぁぁ!え、誰この人!?

 

 

「お兄さん!お願いします!」

 

 

「おお!この前はとんだ失態だったが、今度こそ!極限に俺が治してやる!」

 

 

無駄に熱いその人が俺の側にしゃがみこむ。

 

 

「いくぞ!我流!」

 

 

すると、その人が左腕につけていたバングル?のようなものが突然輝きだし、遂には黄色い炎がバングルに灯る!

 

な、なんだよこれ!?どうなってんだ!?

 

というか俺これしか言っていない気がする!

 

 

「む、脚を撃たれたようだな……よし、いくぞ!」

 

 

「待って待って待って!ちょっと待って下さい!」

 

 

「なんだ、俺が治してやるから早く傷を見せろ」

 

 

いやいやいや、治すって言ってもどう見たってその黄色い炎を俺の傷に近づけようとしてるいるようにしか見えないんですけど!

 

まさか焼いて治療!?この現代社会にどんな古い知恵を持ってきてますか!?

 

 

「ええい、まどろっこしい!我流!」

 

 

ツナのお兄さん?がそう言うと、何かが俺を後ろから羽交い締めにする!

 

首筋に動物の毛のような感触を感じる。恐る恐る見上げて見ると……

 

カ、カンガルーゥゥゥゥゥゥゥゥ!?!?

 

なんで!?どこから出てきたの!?

 

 

「あらあら、少しとはいえ光の攻撃を受けたのに……あなたって随分頑丈なのね」

 

 

俺の横で可笑しそうに笑うリアス先輩!

 

なんで笑ってるんですか!?この状況を見て何故そんなに落ち着いていらっしゃるのでしょうか!?

 

 

「いやぁぁぁぁ!止めてぇぇぇぇぇ!」

 

 

俺が動けないのを良いことに炎を近づけるお兄さん!

 

リアス先輩はそれを興味深く見守っていて、俺の話なんか聞いちゃいない!

 

遂に炎が俺の傷に触れる!

 

俺は熱さで叫びそうにーーー

 

 

……あ、あれ?熱くない?

 

それどころか何か痒い!傷の辺りがものすごく痒いぞ!

 

痒みに耐えていると、お兄さんが炎を離す。

 

そこには、さっき空けられた穴がきれいさっぱりなくなっている俺の脚!

 

 

「さあ、もう片足もだ」

 

 

今度は反対の脚に炎を近づける。

 

だけどやっぱり熱くなく、痒みに耐えれば元通りに治っている俺の脚!

 

驚いている俺をよそに、お兄さんは立ち上がると俺に言う。

 

 

「これで大丈夫だろう。立てるか?」

 

 

言われた通りに立ち上がって見ると、脚の痛みは傷と同様にキレイになくなっている!

 

す、すげえ!この人何をしたんだ?

 

まだ少し体の芯が痛むが、それにしてもさっき程ではない。

 

 

「よし、立てるのならば問題はないな」

 

 

「は、はい。ありがとうございます……」

 

 

「なーに!極限に気にするな!」

 

 

ハハハ!と豪快に笑うお兄さん。

 

 

「よ、良かったー……」

 

 

ツナはずっと心配そうに見ていたのだが、俺が立ち上がれるのを確認するとようやく安心したようだ。

 

 

「10代目!」

 

 

「ツナ!無事か!?」

 

 

「二人とも、待って……!」

 

 

こちらに向かって走ってくる影が三つ。

 

獄寺に山本、それにクロームちゃんもいる!

 

この三人はツナを追いかけてきたのか?必死にこちらへ走ってきて、今追いついたようだった。

 

 

「さて、それではそろそろお開きにしましょうか」

 

 

リアス先輩はそう言うと皆を見渡す。

 

 

「今日は色々と興味深いものを見せていただいたわ。沢田君、ありがとう」

 

 

「いえ、そんな!こちらこそ助けていただいてありがとうございました!」

 

 

ツナと会話をするリアス先輩。

 

ふとこちらを見る。

 

 

「あなたを危険な目に合わせてしまったわね。ごめんなさい、本当はこんなことになる前にきちんとお話をしたかったのだけれど……」

 

 

「いえいえ、俺は大丈夫っす!」

 

 

ちょっと強がってみせる俺。

 

これ以上情けない姿を見せるのは、少し嫌だったしな。

 

 

「今日のことは明日、また改めてお話しましょう。あなたのこれからに関わる大事なことですし、何も知らないままは嫌でしょう?」

 

 

「……教えてくれるんですか?」

 

 

「もちろんよ。明日の放課後、私の使いをあなたの教室に向かわせるわ」

 

 

使い?なんのことだ?

 

よくわからないが、明日になればわかるだろう。

 

 

「それから沢田君達も、一緒にお話しましょう。今日は途中になってしまったものね」

 

 

「はい、よろしくお願いします」

 

 

そう言って頭を下げるツナ。

 

途中っていうことは、ここにくる前に何か話し合いでもしていたのだろうか?

 

 

「それでは皆さん、お休みなさい」

 

 

リアス先輩は足元に赤い紋様を光らせると、その光の中に消えていった。

 

 

「それじゃ、俺達も帰ろうか」

 

 

ツナも皆にそう促した。

 

 

「今日は念のため、イッセーを家まで送っていくからね」

 

 

「え、いいのかよ?ツナは俺の家とは反対方向だろ?」

 

 

「うん。またさっきのような奴が襲ってこないとも限らないしさ」

 

 

た、たしかに……それは言えてるな。

 

 

「じゃ、じゃあお願いしてもいいか……?」

 

 

「もちろん!さあ、帰ろう」

 

 

今日一日であまりに色々なことが起こりすぎた。今日のことはとりあえず明日考えるとして、今は早く家に帰って寝たいぞ……。

 

未だ痛みが残る体に鞭打ち、俺達は家に帰っていった。


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