ハイスクールD×D ~ボンゴレファミリー来る!~ 作:ムンメイ
ようやくアーシア登場です!
長かった……
が、その前に。
最初は死ぬ気の炎などの説明から入ります。
イッセーも待ちわびてましたし、先に話をしないとですね。
あの会談から数日後。
俺ーーー兵藤一誠は、オカ研(オカルト研究部の略。長いから縮めたぜ!)の部室でツナの話に聞き入っていた。
あの日は結局時間切れということで、『死ぬ気の炎』とやらの話は聞けなかったんだが……。
今日はあの会談にいたほぼ全員の予定が合うとのことで、皆ツナから話を聞いているんだ。
あ。
ほぼっていうのは、一人いないからなんだけど……あの怖そうな先輩、雲雀恭弥さん。
なんでも「群れるのは嫌い」だそうで。
ツナ達曰く、「あの手の会談に姿を見せるだけ随分マシ」になったそうだ。
どんだけ人が嫌いなんだよ……。
それともう一つ。
実は俺、オカ研に入部したんだ。
悪魔に転生した俺は、リアス先輩ーーー部長(そう呼べと言われたんだ。他の人も名前呼びにしたぜ。)の下僕として生きていかねばならなくなったらしい。
それが悪魔のルールだそうだ。
それに、俺は部長のある一言でこの人についていくと決めたんだ。
それは……自分だけのハーレムを作れるということ!
詳しくは省くが、どうやら転生した下僕悪魔でも、主の元で経験を重ねて成り上がりさえすれば、自分の眷属ーーーつまり、ハーレムを作れるというのだ!
こんな話を聞いて燃えなければ男じゃない!
と、こういう経緯があって、俺もオカ研のメンバー入りを果たした。
ちなみに。
ツナと獄寺、クロームちゃんも入部したんだ。
家庭教師のことや協力体制のこととかで、その方が色々と都合がいいらしい。
他の人は別の部活に入ったり、いつの間にかいなくなっていたり、そもそも高校生じゃなかったり……。
うん、色々だ。
リボーンも顔を出せる時は出すと言っていたな。
なにせ部室の壁を改装して、自分のアジトを作っているくらいだしな!
ま、まあその話はまたいずれ。
今はともかく、俺の聞きたかった『死ぬ気の炎』についてだ。
「ーーーということで、死ぬ気の炎は全部で七種類あります」
「つまり、まとめるとこうだな」
アシスタント的な役割の獄寺が、ホワイトボードにまとめてくれる。
属性 色 特性
大空 橙 調和
嵐 赤 分解
雨 青 鎮静
雷 緑 硬化
晴 黄 活性
雲 紫 増殖
霧 藍 構築
なるほど、炎にはそれぞれ属性があって、それによって炎の色と特性も違ってくるんだな。
ツナの隣にいるリボーンが更に説明をする。
「死ぬ気の炎自体は大昔から存在していたんだけどな、その時は特に炎の名前なんてなかったんだ。定かではないが、今のような名前がついたのはボンゴレの初代ボス、ボンゴレ
「へー……でも、こうして見ると何かの天気みたいだな」
俺の意見に苦笑するオカ研の皆。
あれ、そんなに変だったか……?
が。
「お。いいところに目をつけたな、イッセー」
リボーンに褒められた!
授業でも褒められたことなかったのに、これはちょっと嬉しい!
「初代ボンゴレの中心メンバーは個性豊かでな、その特徴が炎の名前の由来にもなっているんだ」
机の上に飛び乗り、ホワイトボードを指すリボーン。
「Ⅰ世は、全てに染まりつつ、全て飲み込み包容する『大空』のようだったと言われていてな、ゆえにⅠ世が使っていた炎もそれに倣って、『大空の炎』と名付けられたんだ。そして、Ⅰ世の部下である六人の『守護者』が使っていた炎も、『大空』を染め上げる天候になぞらえられたんだ」
ほうほう、俺の意見はあながち間違いではなかったようだ。
「荒々しく吹き荒れる疾風、『嵐の炎』。全てを洗い流す恵みの村雨、『雨の炎』。激しい一撃を秘めた雷電、『雷の炎』。明るく大空を照らす日輪、『晴の炎』。何物にも捉われず我が道を行く浮雲、『雲の炎』。そして、実体の掴めぬ幻影、『霧の炎』」
ほ、本当に天気なんだな……。
「まあ、本当はもっとあるんだが、とりあえずこれだけ覚えていれば大丈夫だ」
え、まだあるのか?
流石にこれ以上いっぺんに覚えるのは辛かったから、正直助かったぜ。
「……ふむ、炎についてはざっとこんなところだな」
「あ!ちょっと待ってくれ!」
俺は慌ててリボーンを制止する。
肝心なところをまだ聞いていないぞ!
「この前、俺の傷を治してくれた笹川先輩の炎は晴の炎なんだよな?」
うん、たしか黄色い炎だったし、間違えていないはずだ。
「晴の炎の特性は、活性……っていうのはわかったんだけど、それがどうして傷が治ることになるんだよ?」
「ああ、それはな、晴の活性がお前の細胞に作用して、高速で再生を始めたからだ」
ん?というと?
「つまり、ゲームでいう回復魔法みたいなもんだ」
おお、今の説明はしっくり来た!
要するに晴の炎は、回復ができる炎ってことだな!
あれ、皆呆れた顔で俺を見てるが……回復魔法ってことは、そういうことだろ?
「ま、だいぶズレてるが今はそれくらいで大丈夫だろ。他のそれぞれの特性についても、ちゃんと教えるのは今度の修行の時だな」
修行かぁ、一体どんなことするだろ。
やっぱり山篭もりとか?
「それじゃ、今度こそこの話は終わりにするぞ」
机から降りるリボーン。
さて、ちょっと一休み入れますかね。
~○~
その後も、ボンゴレファミリーの歴史や歴代ボスのことなど色々教えてくれたぜ。
中でも一番驚いたのは、ツナが10代目のボスだってこと!
先日の話でほんの少し触れていたけど、改めて聞くとやっぱり驚かずにはいられなかったぜ。
人は見かけによらないもんだとつくづく思ったよ。
なんでも今は形だけのボスで、実権は先代ボスの9代目が握っているらしい。
理由は、まだツナが未成年の学生だから。
成人を迎えたら本格的に活動するんだってさ。
今はまだ俺達がイメージするような『マフィア』だそうだが、ツナが正式にボスを継いだら、今までのボンゴレをぶっ壊すそうだ。
……うん、なんか納得だな。
まだ付き合いは浅いけど、なんとなくわかる気がする。
「後は……そうだな、リングについて話そうか」
「そうだな、それがいいと思うぞ」
ツナとリボーンが相談しあって、どうやら最後の話を決めているようだ。
リング?指輪のことか?
「最初に説明をした死ぬ気の炎にも関わることだから、しっかり聞いていて下さいね」
おっし!最後の話みたいだし、しっかり覚えるぜ!
「俺達マフィアの世界では、指輪ーーーリングが重要視されています。元々リングは、マフィアの黎明期に暗黒時代を生き抜くため、先人達が闇の力との契約を交わした象徴だと信じられてきました」
闇の力……一気に中二病みたいな話になったぞ。
ところが他の皆は、そうは思わなかったようだ。
「その闇の力というのは、もしかして悪魔の力のことなのでしょうか?」
朱乃さんが訊ねる。
そ、そっか。契約って言ったらそっちを連想するよね。
皆悪魔だし……。
「いえ、詳しいことはわかっていません。もしかしたらその通りなのかもしれませんが……リングには未だ謎の部分が多いんです」
ツナは話を続ける。
「しかし、オメルターーー沈黙の掟に守られてきたマフィアのリングには、人知を越えた力が宿っていました」
力?さっき言っていた闇の力とか言うやつか?
ツナは言い終えると、懐から何かを取り出す。
指輪だ。
オレンジ色の荒削りな石が拵えてあるシンプルな作り。
ツナはそのリングをはめると、目を閉じる。
一体何をするのか俺達が見守っていると……一瞬リングが光ったと思った、次の瞬間!
ボウッ
なんと、リングにオレンジ色の炎が灯った!
皆も俺と同じように仰天している!
「これが、リングの力です」
す、すげぇ!マフィアってこんなことができるんだな!
「マフィアのリングは、このように死ぬ気の炎を灯し、リングの秘められた力を使うことが出来るんです」
ツナは炎を納めると、こう締め括った。
「今はまだできませんが、その内皆さんにも、今俺がやったようにリングを使って炎を灯してもらうことになります」
マジか!俺達にも、あんなことが出来るのか……?
「最初は基礎体力を作るためのトレーニングをしてもらい、頃合いを見て、皆さんにもリングをお渡ししますね」
おお!しかも専用のリングまでくれるのか!テンション上がってきたぜ!
「それでは、今日はこの辺で。ありがとうございました」
ペコリと頭を下げるツナ。
皆もツナ達にお礼を述べている。
今日はこれでお開きのようだ。
ああ、俺も早くリングをもらって炎を出してみたいぜ。
ー○●○ー
あれから一週間と少し。
部活も終わり帰宅中の俺。
はぁ……。
また失敗しちまったぜ……。
俺は悪魔として仕事を始めたのだが……昨日も契約を取ることができなかった。
悪魔の仕事というのは、欲のある人間が魔方陣ーーー俺ももらったあのチラシを手にとって願い込め、俺達悪魔を召喚し、悪魔はその人の願いを叶える代わりに代価をもらう、というものだ。
簡単に言えば、人間と契約を結ぶってことだな。
なんだけど……俺は未だに一つも契約を取れていなかった。
深夜にチャリンコを漕いでチラシ配りをしたり、召喚に応じて願いを聞いたりと、基本的なことはちゃんとやってるんだけどさ。
魔方陣で瞬間移動!……できなくてチャリを使ったり(部長曰く「前代未聞」)、契約が取れないのに人間からのアンケートは高評価だったり(これも「前代未聞」だそうだ)……。
俺の『成り上がりハーレム王計画』はなかなかに難しいようだった。
「はわう!」
ん?突然の声。
振り向くと、そこにはシスターが転がっていた。
転んだのか?
「……だ、大丈夫ッスか?」
シスターへ駆け寄り、立ち上がれるよう手を差し出した。
「あうぅ……す、すみません、ありがとうございますぅぅ」
シスターが俺を見上げ、手を取りながらお礼を言う。
ーーーっ。
俺は一瞬心を奪われた。
風に靡く金の髪。
グリーンの瞳があまりにも綺麗で、引き込まれそうだった。
……しばし、俺はその子に見入っていた。
「あ、あの……?」
「あっ。ご、ごめん。えっと……」
マズイ、言葉が続かない。
そりゃこんな美少女を真正面からみたら、俺なんかどうしたらいいかわからなくなっちまうよ!
ふいに彼女が肩にかけている旅行カバンが目に入る。
「旅行?」
シスターは首を横に振った。
「いえ、今日からこの町の教会に赴任することになりまして……あなたはこの町の方、なのですよね。これからよろしくお願いします」
ペコリと頭を下げるシスター。
「その……お恥ずかしい限りなのですが、道に迷っていたんです。言葉も通じないから聞くに聞けなくて……」
ってことは、この人は日本語が喋れないのか。
実は悪魔になった『特典』の一つに、全ての言葉がわかる、というのがある。
つまり、俺が耳にする言葉は全部日本語に聞こえるし、俺が話す言葉は聞く人にとって一番聞き慣れた言葉として聞こえる、というものだ。
早速役に立つとは思わなかったが、これはラッキーだったな。
「教会なら知っているかも」
「ほ、本当ですか!ありがとうございます!これも主のお導きですね!」
涙を浮かべて頬笑むシスター。
うん、やっぱりかわいいな、この子。
俺は美少女シスターを引き連れて、教会へ向かった。
~○~
「うわぁぁぁん!!」
教会へ向かう途中の公園。
小さい子どもが泣いている。
ま、大丈夫だろう。
見たところ転んだだけみたいだし、母親らしき人もいるしな。
しかし、シスターは突然立ち止まると公園の中へ歩いていき、子どもの傍へ近寄っていった。
そしておもむろに子どもが怪我をした箇所へ手をかざす。
次の瞬間、俺は驚いた。
シスターの手から淡い緑色の光が溢れ、怪我がみるみるうちに消え去っていく。
魔力なのか?
いや、それは悪魔やそれに通じたものにしか使えないと部長から教わっている。
ふと俺の頭を過ぎるものがあった。
ーーー
特定の人間が持つ、規格外の力。
いつの間にか怪我は塞がっており、傷跡は一切残っていなかった。
すごいな、これも神器の力か……色々なものがあるんだな。
「はい、これで大丈夫」
シスターは子どもの頭を一撫ですると、俺へ顔を向ける。
「すみません。つい」
そう言って小さく笑う彼女。
近くで見ていた母親は頭を垂れると、子どもを連れてそそくさと去ってしまった。
「……今のは……」
「はい。治癒の力です。神様からの頂き物なんですよ」
頬笑む彼女だが、どこか寂しげだ。
会話は一旦そこで途切れ、再び教会を目指す。
公園から数分。
この町唯一の教会についた。
随分と古ぼけた教会で、俺の知る限りここが使われているなんて聞いたことはない。
でも灯りはついているし、ここで間違いないだろう。
「あ、ここです!良かったぁ」
広げていた地図と照らし合わせ、安心した様子の彼女。
やっぱりここだったか、良かった良かった。
「じゃあ俺はここで」
「あ、あの!ここまで連れてきていただいたお礼を……」
「いや、俺急いでるもんで」
「でも、それでは……」
急いでるなんて嘘だ。
でもここには長居をしたくないだよなぁ……。
だってここ教会だよ?
さっきから寒気がするし、拒否反応が止まらないよ!
部長にも「教会や神社には行ってはダメよ」と強く念押しをされたしね。
「俺は兵藤一誠。周りからはイッセーって呼ばれてるから、イッセーでいいよ。君は?」
「私はアーシア・アルジェントと言います!アーシアと呼んでください!」
「それじゃ、アーシア。また会えたらその時は」
「はい!必ずまたお会いしましょう!」
手を降って別れを告げる。
本当に、また会えたらいいな。
これが俺と彼女の数奇な運命、その出会いだった。
ー○●○ー
「二度と教会に近づいてはダメよ」
その日の夜。
俺は部室で部長に怒られていた。
表情もいつになく険しいし、相当お冠だ……。
「教会は私達悪魔にとって敵地。いつ光の槍が飛んできてもおかしくないわ。今回はあちらもあなたの厚意を素直に受け止めてくれたから良かったものの、下手をすれば両陣営の間で問題になっていたのよ?」
……そんなこと、考えも及ばなかった。
「教会の関係者にも関わってはダメよ。特に『
しょ、消滅……?
「無よ。何もなく、何も感じず、何もできない。それがどれほどのことかわかる?」
……わからない。
反応に困る俺を見て、部長はハッと気づいたように首を振った。
「ごめんなさい。熱くなりすぎたわ。でも、今後は気をつけてちょうだい」
「すみませんでした」
俺と部長の会話が終わった直後、朱乃さんが入室してくる。
「あらあら、お説教は済みました?」
いつも通りのニコニコ顔。
まさか聞かれていたのかな……うう、そう思うとなんだか恥ずかしいよ……。
「朱乃、どうしたの?」
「討伐の依頼が大公から届きました」
朱乃さんの話を聞いて、部長は少しだけ顔を曇らせた。