私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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 当たり前ですが、今回も鏡花ちゃん出せれてないです。

 辛い。とても辛いです。
 
 速く話を進めなければ………


第10話 潤一郎さん意外と怖い

 異能力!?

 

 潤一郎さんから溢れる光を見て後ろに下がった。

 

「よくもナオミを傷つけたね!?」

 

 彼はナオミちゃんを横に抱いて立ち上がり、憤怒の表情で私を見る。

 

 そして己の異能力の名を叫ぶ。

 

「異能力!ーーー『細雪』!!」

 

 一見季節はずれの雪が降り出しただけで、他には何の変化もない。

 

 だからこそ彼の異能力は恐ろしい。

 

「……敦君、奥に下がっているんだ」

 

「へ…」

 

「こいつは僕が、ーーーーーー殺す!!」

 

 その言葉に嘘は無かった。

 

 彼は本当に、本気で私を殺そうとしている。

 

「っ!」

 

 再び潤一郎さんに銃口を向けて引き金を引いた。

 

 しかし直撃する筈の銃弾は全てすり抜けた(・・・・・)

 

「僕の『細雪』は、雪の降る空間全てをスクリーンに変える。僕の姿の上に背後の風景を上書きした。もうお前に僕の姿は見えない!!」

 

(これほど暗殺向けの異能なんて中々見ないね。いいなぁ~。マフィア(うち)に一人くらい欲しいよ)

 

 焦りはない。

 

 姿が見えない。なるほど、確かに凄まじい異能だ。こと暗殺において、潤一郎さんの右に出る人はそういないだろう。その点では鏡花ちゃんよりも上だ。

 

(まぁ、それだけ(・・・・)なんだけどね)

 

 姿が見えずとも実体がなくなるわけではない。撃てば弾は当たる。

 

 とはいえ、原作のようにマシンガンを振り回すわけにもいかない。

 

(そんなことして敦に当たったりして、芥川先輩に怒られたくないしね)

 

 奥にいる敦に弾が当たらないように気を使いつつ、マシンガンから銃弾を吐き出させる。

 

 しかし。

 

「ーーー大外れ」

 

「かはっ!?」

 

 背後から首を絞められ、持ち上げられた。

 

「死んで、しまえ……!」

 

 思わずマシンガンを離し、首に手を添えてしまう。

 

 しかし反射的な行動をしたのはそこまで。

 

(本気で殺しにきたね、潤一郎さん。本当にナオミちゃんが大事なんだ)

 

 それはどうでもいい。

 

 両手を掲げデバイスを起動する。

 

「貴方、が……。死ね!」

 

 起動した瞬間に体の各部に設置しておいた機械から、視認できないほど小さく細かい粒子が、潤一郎さんに向けて放出されるのがサングラスに映る。

 

 そしてーーーーーー。

 

「ぐあぁぁあ゛あ゛!!?」

 

 潤一郎さんの腕を炎が包んだ。

 

 首から彼の両手が放されたので、これ幸いと潤一郎さんから離れる。

 

(首、痛いなぁ。潤一郎さん容赦なさすぎ。まぁLiberated Flameに問題はないってことが分かったし、よしとしますか……ってあれ?)

 

 気づけばいつの間にやら視界の端に映っていた、見覚えのありすぎる黒外套(・・・)

 

「ーーー死を畏れよ。殺しを畏れよ。死を望むもの、等しく死に望まるるが故に」

  

 芥川先輩は私の隣まで来て立ち止まり、恐怖に顔を染めている敦に朗々とした声を上げる。

 

「お初にお目にかかる。(やつがれ)は芥川。そこな小娘と同じポートマフィアの者、ゴホッ、ゴホッ」

 

(本人を目の前にして「小娘」呼ばわりとか、ホント失礼な上司だなこの人)

 

 立ち上がって先輩に体を向ける。

 

「あの先輩、ここは私が……ちょ、先輩!?」

 

 原作ならビンタされるところ、急にぐいっと引き寄せられ耳元で囁かれる。

 

(貴様の異能、後ほど詳しく聞かせて貰う)

 

(あっ……、はい)

 

 なるほど。確かに私のLiberated Flameは、一見しただけだと異能力に見える。

 

 まぁ仮にもレッドボックス(メトーデ)を模したのだ。異能力に見えるくらいじゃないと話にならない。

 

 私が納得していると先輩は一歩前に出た。

 

「下がっていろ。人虎は生け捕りとの命だ」

 

「人虎は生け捕り?アンタ達は一体…」

 

 まだ地面に手足をついたままだが、どうやら敦は喋れるくらいには落ち着いたようだ。

 

「元より僕の目的は貴様一人なのだ、人虎。そこに転がるお仲間は、言わば貴様の巻き添え」

 

「僕のせいで、皆が…」

 

「然り。それが貴様の業だ、人虎。貴様は生きているだけで周囲の人間を損なう」

 

(何かやけに饒舌だなぁ、今日の先輩。良いことでもあったのかな?)

 

 私だけシリアスな空気から浮いているようだが、そんなことは気にしない。

 

「僕の業…」

 

「異能力、ーーー『羅生門』」

 

 先輩の黒外套が翻り、一つの黒刃となって敦から僅かに離れた地面を抉った。

 

「勿論、今のはわざと外した。だが、僕の『羅生門』は悪食。あらゆるものを喰らう。生け捕りが目的だが抵抗するならば、次はお前の足を奪う」

 

 再び敦は恐怖で動きが止まる。

 

「敦、君……。逃げろ、敦君」

 

 敦に逃げろと言う潤一郎さんと、その隣で必死に息をするナオミちゃん。

 

 二人ともまだ息があった。

 

 それを見た敦の顔色が変わり、雄叫びを上げながら先輩向けて駆け出した。

 

「玉砕か。つまらぬ!」

 

「っ!」

 

 敦は先輩の足元向けて飛び込み、そのまま地面に落ちていたあるもの(・・・・)を拾い上げた。

 

 私のマシンガンだった。

 

 敦は照準を先輩に合わせ引き金を引く。

 

(ふぅん。少しはやるみたいだね。先輩の『羅生門』を避けた動きも悪くなかったし……)

 

 チラリと彼の手元を見る。

 

(反動で銃身が跳ね上がるのをしっかり抑えてる。頭に血が上って暴走したかと思ったけど、意外と冷静)

 

 ま、マシンガン程度で私の先輩がやられるわけがないのだが。

 

 先輩は自分の背後に回った敦に振り向くこともしない。言ってしまえば棒立ちだ。

 

 だというのに、弾は一つたりとも先輩の体に届いていない(・・・・・・)

 

 ーーー空間断絶

 

 それが先輩を銃弾から守ったものの正体。

 

 己に向けられるあらゆる攻撃と己の間にある空間そのもの(・・・・・・)を『羅生門』で喰らう(・・・)ことで、自身を守る。

 

 それは防御という点において一つの頂点だろう。

 

「ーーーそして僕、約束は守る」

 

 言った直後に、先輩の『羅生門』が敦の右足を切り落とした。

 

 路地裏に響く敦の声。

 

 彼は切り落とされた右足を抱えてうずくまる。

 

 当然のことだが、彼の出血は止まらない。

 

「出血死されても面倒ですね。先輩、少し失礼します」

 

 軽く右手を掲げLiberated Flameを使い、敦の傷口を焼き塞ぐ。

 

「やはり、火を扱う異能か」

 

「まぁ、そんなものだと思ってくれて構いません」

 

 説明するのも面倒なので一先ず肯定しておく。詳しい説明は後でいいだろう。

 

 ドンッ

 

 突如響いた音に先輩も私もバッと顔を上げた。

 

 そこには両手足で壁に張り付く敦の姿が。

 

 ーーーーーーーーーーーー否

 

 人虎(・・)の姿があった。

 

 




 

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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