辛い。とても辛いです。
速く話を進めなければ………
異能力!?
潤一郎さんから溢れる光を見て後ろに下がった。
「よくもナオミを傷つけたね!?」
彼はナオミちゃんを横に抱いて立ち上がり、憤怒の表情で私を見る。
そして己の異能力の名を叫ぶ。
「異能力!ーーー『細雪』!!」
一見季節はずれの雪が降り出しただけで、他には何の変化もない。
だからこそ彼の異能力は恐ろしい。
「……敦君、奥に下がっているんだ」
「へ…」
「こいつは僕が、ーーーーーー殺す!!」
その言葉に嘘は無かった。
彼は本当に、本気で私を殺そうとしている。
「っ!」
再び潤一郎さんに銃口を向けて引き金を引いた。
しかし直撃する筈の銃弾は全て
「僕の『細雪』は、雪の降る空間全てをスクリーンに変える。僕の姿の上に背後の風景を上書きした。もうお前に僕の姿は見えない!!」
(これほど暗殺向けの異能なんて中々見ないね。いいなぁ~。
焦りはない。
姿が見えない。なるほど、確かに凄まじい異能だ。こと暗殺において、潤一郎さんの右に出る人はそういないだろう。その点では鏡花ちゃんよりも上だ。
(まぁ、
姿が見えずとも実体がなくなるわけではない。撃てば弾は当たる。
とはいえ、原作のようにマシンガンを振り回すわけにもいかない。
(そんなことして敦に当たったりして、芥川先輩に怒られたくないしね)
奥にいる敦に弾が当たらないように気を使いつつ、マシンガンから銃弾を吐き出させる。
しかし。
「ーーー大外れ」
「かはっ!?」
背後から首を絞められ、持ち上げられた。
「死んで、しまえ……!」
思わずマシンガンを離し、首に手を添えてしまう。
しかし反射的な行動をしたのはそこまで。
(本気で殺しにきたね、潤一郎さん。本当にナオミちゃんが大事なんだ)
それはどうでもいい。
両手を掲げデバイスを起動する。
「貴方、が……。死ね!」
起動した瞬間に体の各部に設置しておいた機械から、視認できないほど小さく細かい粒子が、潤一郎さんに向けて放出されるのがサングラスに映る。
そしてーーーーーー。
「ぐあぁぁあ゛あ゛!!?」
潤一郎さんの腕を炎が包んだ。
首から彼の両手が放されたので、これ幸いと潤一郎さんから離れる。
(首、痛いなぁ。潤一郎さん容赦なさすぎ。まぁLiberated Flameに問題はないってことが分かったし、よしとしますか……ってあれ?)
気づけばいつの間にやら視界の端に映っていた、見覚えのありすぎる
「ーーー死を畏れよ。殺しを畏れよ。死を望むもの、等しく死に望まるるが故に」
芥川先輩は私の隣まで来て立ち止まり、恐怖に顔を染めている敦に朗々とした声を上げる。
「お初にお目にかかる。
(本人を目の前にして「小娘」呼ばわりとか、ホント失礼な上司だなこの人)
立ち上がって先輩に体を向ける。
「あの先輩、ここは私が……ちょ、先輩!?」
原作ならビンタされるところ、急にぐいっと引き寄せられ耳元で囁かれる。
(貴様の異能、後ほど詳しく聞かせて貰う)
(あっ……、はい)
なるほど。確かに私のLiberated Flameは、一見しただけだと異能力に見える。
まぁ仮にも
私が納得していると先輩は一歩前に出た。
「下がっていろ。人虎は生け捕りとの命だ」
「人虎は生け捕り?アンタ達は一体…」
まだ地面に手足をついたままだが、どうやら敦は喋れるくらいには落ち着いたようだ。
「元より僕の目的は貴様一人なのだ、人虎。そこに転がるお仲間は、言わば貴様の巻き添え」
「僕のせいで、皆が…」
「然り。それが貴様の業だ、人虎。貴様は生きているだけで周囲の人間を損なう」
(何かやけに饒舌だなぁ、今日の先輩。良いことでもあったのかな?)
私だけシリアスな空気から浮いているようだが、そんなことは気にしない。
「僕の業…」
「異能力、ーーー『羅生門』」
先輩の黒外套が翻り、一つの黒刃となって敦から僅かに離れた地面を抉った。
「勿論、今のはわざと外した。だが、僕の『羅生門』は悪食。あらゆるものを喰らう。生け捕りが目的だが抵抗するならば、次はお前の足を奪う」
再び敦は恐怖で動きが止まる。
「敦、君……。逃げろ、敦君」
敦に逃げろと言う潤一郎さんと、その隣で必死に息をするナオミちゃん。
二人ともまだ息があった。
それを見た敦の顔色が変わり、雄叫びを上げながら先輩向けて駆け出した。
「玉砕か。つまらぬ!」
「っ!」
敦は先輩の足元向けて飛び込み、そのまま地面に落ちていた
私のマシンガンだった。
敦は照準を先輩に合わせ引き金を引く。
(ふぅん。少しはやるみたいだね。先輩の『羅生門』を避けた動きも悪くなかったし……)
チラリと彼の手元を見る。
(反動で銃身が跳ね上がるのをしっかり抑えてる。頭に血が上って暴走したかと思ったけど、意外と冷静)
ま、マシンガン程度で私の先輩がやられるわけがないのだが。
先輩は自分の背後に回った敦に振り向くこともしない。言ってしまえば棒立ちだ。
だというのに、弾は一つたりとも先輩の体に
ーーー空間断絶
それが先輩を銃弾から守ったものの正体。
己に向けられるあらゆる攻撃と己の間にある
それは防御という点において一つの頂点だろう。
「ーーーそして僕、約束は守る」
言った直後に、先輩の『羅生門』が敦の右足を切り落とした。
路地裏に響く敦の声。
彼は切り落とされた右足を抱えてうずくまる。
当然のことだが、彼の出血は止まらない。
「出血死されても面倒ですね。先輩、少し失礼します」
軽く右手を掲げLiberated Flameを使い、敦の傷口を焼き塞ぐ。
「やはり、火を扱う異能か」
「まぁ、そんなものだと思ってくれて構いません」
説明するのも面倒なので一先ず肯定しておく。詳しい説明は後でいいだろう。
ドンッ
突如響いた音に先輩も私もバッと顔を上げた。
そこには両手足で壁に張り付く敦の姿が。
ーーーーーーーーーーーー否
黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)
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書く(幕間終了後、黒の時代)
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書かない(幕間終了後、三社鼎立)