私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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 今回は芥川先輩にデバイスのことを説明します。しかし、少し中途半端に終わるかもしれません。

 


第13話 説明回です

「で、先輩。この後はどうするんですか?」

 

 横浜の市内を、路地裏の近くに用意しておいた車で走る。

 

 当然車を運転しているのは私で、先輩は助手席に座っている。

 

 ひょっとして先輩は車の運転ができない人?

 

(やつがれ)は『また伺う』と言った。近いうちに、早ければ明日にでも黒蜥蜴を向かわせる」

 

(原作だと意気揚々と殴り込みした広津さんたちが、探偵社の皆さんにフルボッコされた話だよね。ご愁傷様です)

 

「それで樋口。お前は何処に向かっている?」

 

「………すぐに着きます」

 

 そう言ってから五分後。私は行きつけのデパートの地下にある駐車場に車を止めた。

 

「ここは?」

 

「私の行きつけのデパートです。いつもここで生活品を買い揃えていますが、まぁそんなことはどうでもいいでしょう」

 

 マフィアの私が行きつけという時点で、このデパートが真っ当な店ではないのはお察しだが、そんなことを言うためにここへ来たわけじゃないし、先輩も他に聞きたいことがある筈。

 

 車のエンジンを切り、シートベルトも外して、楽な姿勢で先輩に体を向けた。

 

 すると先輩は何を警戒しているのか、これ見よがしに黒外套を蠢かした。

 

「では、樋口。先刻見せたお前の異能について聞かせて貰おう」

 

 ま、そりゃそこからだろう。

  

 私は先輩にメトーデのことも、デバイスLiberated Flameのことも話してない。その上、先ほど「異能のようなもの」だと言ってしまったので、この勘違いは必然だ。

 

「火を扱う異能だというのは理解した。しかし貴様はいつ異能を発現した?如何にして異能を制御する術を身に付けた?全て嘘偽りなく答えよ」

 

「異能ではありません」

 

「何?」

 

「私のこれは、異能ではありません」

 

 私は端的に事実を告げた。

 

 

 

 

 

 

<side芥川龍之介>

 

「異能ではない、だと?」

 

「はい」

 

 そう言う樋口に嘘を吐いている気配はない。

 

 だが、異能でないとすれば何なのか。

 

 そう思ったとき、樋口がおもむろに手袋のようにはめていたものを外して、僕に突き出してきた。不思議に思いながらもそれを受け取る。

 

 受け取った瞬間それを危うく落としかけた。

 

 見た目からは想像できないほどの重量があったのだ。

 

「これは…………?」

 

「Liberated Flameという科学兵器です」

 

 樋口は着ているスーツを脱ぎ、ズボンの裾を上げた。そして履いている膝丈まであるブーツから足を出した。樋口はその下にあるものを僕に見せた。

 

 樋口の両腕と両脚は、先ほど手渡されたものと同じ素材の機械で覆われている。スーツ越しだと分からなかったが、よく見れば体の各部に不自然な膨らみがあった。

 

「Liberated Flameは、観測が極めて難しい粒子を散布させ、それを媒介にして狙った位置に莫大なエネルギーを伝達させることができます」

 

「……あくまでも異能でなく科学だというか」

 

 僕が疑うように言えば、樋口は腕を伸ばしてカーナビの画面に触れた。

 

 直後、あまりにも緻密な設計図が表示された。

 

 ………正直に言って、僕にはとても理解できるものではなかった。

 

「つまり樋口。貴様は異能に準ずる力を手に入れた、ということだな?」

 

「最低限ですけどね。肝心の威力に難ありです。こんなもの異能力なんてとても言えません」

 これは改良必須ですね。

 

 などと言いながら、樋口は機械で覆われた自身の腕を撫でた。

 

「………一体何を目指しているのだ」

 

 思わず吐いた溜め息とともに呆れた声が出て、そして脱力した。

 

「……まぁ、いい」 

 

 樋口とて人。嘘も隠し事もあるのだろう。

 

 本来、そのような者を信じることなどできるわけがないのだが。

 

 

 

 樋口を疑うというのも、何故かできそうになかった。

 

 

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)

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