私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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第20話 承諾

 

(面倒なことになっちゃったなぁ~)

 

 社長さんーーー福沢さんが頭を下げたからか、国木田さん達も私に向かって頭を下げている。

 

 まさか“蒼の使徒”の事件に、私がこんな形で巻き込まれるとは思っていなかった。が、しかし、探偵社(ここ)は鏡花ちゃんが、近い将来に働くことになるであろう職場だ。一度どんな感じか体験してみたいとは思っていたので、渡りに舟ではないが、都合がいい。

 

(ーーーでもあの二人とは会いたくないね)

 

 二人の内一人は言わずもがな、元・ポートマフィアの幹部であった太宰さん。彼とは一度、探偵社屋で樋口一葉として直接顔を合わせているので、バレても不思議じゃない。むしろバレないわけがない。

 

 そしてもう一人は、この武装探偵社を探偵社たらしめる人、江戸川乱歩さん。異能力としか思えない頭脳の持ち主なのである。彼は見るだけで凡百(あらゆる)ことを看破する。彼と直接会ったなら間違いなくバレるだろう。

 

(いや、多分私のことを人から聞くだけでも十分推理できるかな?何せ初対面でその人が目的地で死ぬことを断定したくらいだし。……て、いうか)

 

 未だに頭を下げたままの社長さんをじっと見る。

 

(まずこの人にバレてないとは思えないのだよねぇ?はたして本当にバレてないのか。あるいは変装だと気づいた上で言わないだけなのか)

 

 恐らくは後者だが、いや、今はそんなことよりも、この状況で断るというのが難しい。

 

 いくら横浜中の人命が掛かっていようが、これは武装探偵社の問題だ。それに私を巻き込むのが、不本意なことなのは予想できる。社長さんはそういう人なのだ。

 

(その社長さんがわざわざ羽川翼(わたし)に助力を乞う、てことは……)

 

 何か探偵社だけでは対処ができない事態が起きた。それくらいしか考えられない。

 

 それが何なのかは分からないが、私の脳裏に浮かぶのは、私にとっては最悪ともいえる可能性。

 

 原作からの乖離。あるいは私以外の前世を持つ存在の出現。

 

 前者ならまだいい。私みたいな存在がいる時点で、もはや原作とは別の世界だと私は思っている。しかし自惚れではないが、私はある程度のことならどうとでもできる。マフィアをそれなりにやっているのは伊達ではない。

 

 しかし後者だと、私でも探偵社でも対応できない可能性がある。私はなかったが、俗に言う神様転生をしている人なら、所謂特典なるものを所持しているかもしれない。

 

 “蒼の使徒”事件に巻き込まれない為の休暇だというのに本当に面倒だ。

 

「ーーー皆さん、顔を上げて下さい」

 

(だけどここで断るとかえって不自然だし。それに私以外に転生した人がいるなら会ってみたい)

 

「横浜に名を馳せる武装探偵社。その長である貴方が私にそこまでするなんて、思いもしませんでした」

 

 言って視線を彼らから外し、窓ガラスの向こうを眺める。

 

「ーーー横浜中の人命が掛かっている。そのことをちょっと良く分かってなかったみたいです」

 

 これは嘘じゃない。何せ私はマフィアなのだ。同じマフィアの仲間(具体的には芥川先輩や広津さんとか)や、探偵社の人達ならともかく、その他の人となると微妙なところ。

 

 視線を戻して少しだけ苦笑した。

 

「今回の件で、私は武装探偵社(あなた方)への協力を惜しみません。微力ながらお力添え致します」

 

「……(かたじけな)い」

 





 今後BEATLESSから誰か出すか、それとも物語シリーズから誰か出すか、全く別のところから出すか、めちゃくちゃ悩んでます。

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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