やはり鏡花ちゃんは素晴らしい。
まさかまさか、あの鏡花ちゃんが自分から誰かの手を握る日が来るなんて!!
私は今、とてつもない感動を感じているのです!
定期的に先輩へ画像を送りながら、リアルタイムで鏡花ちゃんを見る。
甚だ不本意だが、今回は敦を褒めてやろう。これが敦以外の探偵社員であったなら、鏡花ちゃんは即刻軍警にでも突き出されている。そして鏡花ちゃんの初デートなんてなかっただろう。
だから私はとても嬉しい。あんな鏡花ちゃんを見ることができて。もう死んでもいいかも。
鏡花ちゃんはゲーセンで敦と一緒にUFOキャッチャーで取った、兎のぬいぐるみをとても大事そうに抱えている。
………やっぱり美少女とぬいぐるみって最強の組み合わせだよね?異論反論などは一切認めません。
それからクレープを食べたりもしていた。敦がそれで自分の財布の中身に絶望していたが、鏡花ちゃんの為だ。甘んじて受け入れなさい。
つーか、湯豆腐以外をあんなに目を輝かせて食べる鏡花ちゃんなんて、私は初めて見たね。うん、可愛い。
よく世のカップルがする、あーんなどはしてなかったけど、それでも鏡花ちゃんは楽しそうだった。
現在彼女たちは観覧車に乗っている。敦は座っていて、鏡花ちゃんは窓に片手を触れて外を眺めている。
(レディーファーストという言葉を知らないの敦は?デートで女の子を立たせたままとか、マジ有り得ないんですけど)
流石に監視用のドローンを中に入れると、何かの拍子にバレるかもしれないので、それらは二人が乗ってるゴンドラの周囲に浮かせている。
敦が何か言ったのか、鏡花ちゃんは頬を若干だが紅く染めて、顔を地味に伏せていた。何それ可愛い。
「……芥川先輩。そろそろです」
叶うならばもう少し、ほんっとう~にもう少しだけ彼女と敦のデートを見ていたいが、残念なことにそうはいかない。
『そうか。……お前もそこから早々に離れておけ』
「了解しました」
通話を切って立ち上がった。
ノートパソコンをバッグに入れて、代わりに先ほどまでの映像を、サングラス型のデバイスに映し出す。
さっきまではかなり近い距離にドローンを配置していたが、これからすぐに荒事になるので、一つを残してそれ以外は回収する。
通りから外れ、いつものバッグとは別に持ってきておいた専用のアタッシュケースを開けば、そこへ自動でドローンが収納された。
こんな風にしたのは私だけど、うん。やっぱり便利です。
車に乗り込んでアタッシュケースを助手席に置く。掛けているサングラス(デバイス)を外し、運転席に座った。残したドローンからの映像は、車のモニターに送られるように設定した。
さて、とりあえずは港にでも向かおうか。このまま帰ってもいいのだけど、流石にそれは忍びない気がする。
「………………頑張れ、鏡花」
私は何となくそう呟いた。
<side泉鏡花>
ふと、いつか樋口が言ってたことを思い出した。
「覚えていたらいいですよ。
やることがない、またはやれることがないというのは、自分が何をすればいいのか分からない状態です。
そんなときは目を閉じるなり深呼吸するなりして、一度落ち着くことが重要です」
まぁさすがに眠る必要はありませんが。
あの人は冗談のようにそう言ってた。
(目を閉じて……深呼吸……)
深く息を吸って、ゆっくりと吐いた。
ーーー正直なところ、これが本当に私のしたいことなのかは、分からない。勢いに任せただけの愚考なのかもしれない。
(でも、きっとこれでいい……だって)
私がこうしたいと、彼を助けたいと。私はそう思ったのだから。
「……外の世界に触れて心が動いたか?鏡花」
「……その人を離して」
黒衣の青年の言葉に私はそう言って、真っ直ぐに銃口を向けた。
完璧に余談ではあるのだが。
その鏡花の様子をカメラ越しに眺めていたある人物は、普段の彼女とは違った凛々しいその表情に、思わず鼻血と涙を流したらしい。
そして
(カッコいい鏡花ちゃんも素晴らしい)
などと、思ったそうな。
黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)
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書く(幕間終了後、黒の時代)
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書かない(幕間終了後、三社鼎立)