予め申し上げます。
芥川先輩はあまり喋りません。
来たのが空気読めない人物だろうという私の予想は、まぁ、当たったといえなくもないだろう。うん。
まさかそれが芥川先輩だとは思わなかったが。
「………一先ず上がって下さい。玄関先では目立ちます」
失礼だが実際、この現代日本で芥川先輩のような黒外套は目立つ。仮にも裏社会の人間なのだから、もう少し地味な格好をして、目立たないようにしてもらいたい。
「では中で話す」
ゴホッ、ゴホッ。
再び先輩が咳込みながらも、我が物顔で私の家に入ったのを見て、先輩に付いている尾行や監視の類がないかを確認してドアを閉める。
まぁ先輩を尾行なんてした人がいたなら、きっと今ごろ八つ裂きになっていることだろう。南無。
鍵を閉めて部屋の中に戻ると、鏡花ちゃんがパタパタと駆け寄ってくる。そして私の腰辺りにぎゅっとしがみついた。
(芥川先輩グッジョブ!!急に訪ねてきた無礼者!とかいきなり何事か!とか思ったけど、こんな可愛い鏡花ちゃん見たことない。これで帳消しにしてあげます!)
鏡花ちゃんの小動物のような可愛いらしい行動に庇護欲が刺激され、再び鼻血が出そうになるのをぐっと堪える。
「芥川先輩、すみませんが少し仕事の話は待ってもらえますか?私も鏡花も朝食がまだなんです」
頼んではみるが了承されるとは微塵も思わない。先輩が部下に対して優しくなるのは大分あと、原作において誘拐された後のことだ。
(こう頼んでも芥川先輩のことだからなぁ~。後にしろ!とか言うんだよ。てか仕事の話なら電話でいいじゃん。何のための携帯だっての。文明機器を活用しやがれコノヤロー)
「構わぬ。耳を傾けていればそれでよい」
………………あの冷酷非情な芥川龍之介が一体どういう風の吹き回しだろうか。
疑問に思わないでもないがこれで鏡花ちゃんに美味しい朝ご飯を食べさせてあげられるので、深くは聞かない。
芥川先輩の手前、鏡花ちゃんにあーんしてあげられないのは残念だが、それはまた今度にしよう。
「……先に食べる」
鏡花ちゃんは先輩が「構わぬ」と言った直後には自分の椅子に座って、湯豆腐に手をつけていた。
……そんなに湯豆腐食べたかったか鏡花ちゃん。
私も鏡花ちゃんと一緒に食べたいものだが、部下の自宅までその足で出向いた上司にお茶の一つも出さなければ失礼だろう。
と、いうわけで。
奥から椅子を一つ持ってきて先輩に座ってもらい、私と鏡花ちゃん。そして先輩と食卓を囲む。
私と鏡花ちゃんの前には、私が作り鏡花ちゃんが用意した朝食が。先輩の前には熱めのお茶と、本来なら鏡花ちゃんの分である湯豆腐と白米を入れた茶碗を一つずつ置いた。
時間帯的に不思議ではないが、朝ご飯くらい食べてから来なさいよこの先輩は。
おかげで鏡花ちゃんの湯豆腐と私の卵焼きが先輩の分になってしまった。
「で、先輩。昨日の今日で仕事って何かあったんですか?また先日のような馬鹿でも……」
私はまたポートマフィアの取引などに手を出した人でもいたのかと聞いた。
しかし先輩の返答は予想外のもの。
「いや、さる海外組織からの依頼。そして
「海外組織、ですか」
「そうだ」
私と芥川先輩が話している中、既に朝食を食べ終わった鏡花ちゃんは、いそいそと食器を流しに運んでいた。
(いや待って海外組織?それってもしかして……)
嫌な予感を感じている私に構わず、先輩は今回の仕事の内容を明かす。
「今回の任は
人虎。
昨今、横浜を騒がせているらしい人喰い虎。今回の仕事はそれの捕縛。
それはつまり原作が始まるということだった。
黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)
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書く(幕間終了後、黒の時代)
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書かない(幕間終了後、三社鼎立)