ーーーーーー否。
傭兵たちが手に持つ銃器から、弾が吐き出されることはなかった。
倉庫の出入り口の方から私の頭上を弾丸が通り、私を取り囲んでいた数人の傭兵を貫いた。
「え?」
体を動かして後ろを見る。
そこには武装を整えた黒蜥蜴がいた。
何で?
原作で黒蜥蜴がここに駆けつけるのは、樋口一葉が芥川先輩を助けるために、がむしゃらに動いたからだ。
確かに私だって先輩を助けようと動いたけれど、がむしゃらにと自分で胸を張れるほどじゃない。
私は
それほどまでに必死じゃない。
「知らねえ顔は全員殺せ!!」
だというのに彼らはここにいて、立原君はかなり好戦的な表情を浮かべ力強くそう吠えている。
立原君の号令に従って、黒蜥蜴の構成員は敵に向けて銃弾を撃つ。
銀ちゃんは縦横無尽に倉庫内を駆け回って手当たり次第に傭兵たちをナイフで斬り伏せ、立原君も銀ちゃんと同じように、十人長に相応しい活躍ぶりだ。
そして百人長である広津さんは私の前に立ち、まるで私を守るかのように動いている。
「
自然とそんな言葉が出た。
「貴女は我々の上司だ」
ほとんど独り言でしかなかったそれに、広津さんは肩ごしに私へ向けて言った。
「上司の危機とあっては、動かぬわけにもいくまい」
まるでそれが当たり前だという風に。
「……全く。そんな理由で動いたんですか」
全然マフィアらしくないですね。
少しだけ可笑しく思って、笑う。
「不満かね?」
「まさか」
「貴方たちは最高の部下ですよ」
Liberated Flame、起動。
絡みついた網を炎で焼いて立ち上がる。
「流石にこの距離だと熱いですね」
「………この状況で“異能”に目覚める、か」
私が操る炎を見て、どこか嬉しそうにフッと口元を緩める広津さん。
まぁ、確かに
それでもこんな都合良く“異能”が発現するとか、普通に考えればあり得ないだろうに。
この状況で、案外広津さんは冷静じゃないのかもしれない。
しかし今ここには“異能”ならざる人智を超える力を知っているスノウドロップがいる。
視線を広津さんから重なったコンテナの上にいる彼女に移してみれば、薄く輝く緑の瞳を真っ直ぐ私に向けていた。
そして口を開く。
「Liberated Flame……。レイシア級hIEのType-004、メトーデのデバイス。それを持ってるってことは、貴女は私と同じなの?だとしたら随分と大胆な真似をしたのね」
そう言う彼女はどことなく嬉しそうだ。
「何を訳のわかんねぇこと言ってやがる!!」
依然として棒立ちのスノウドロップに、立原君が走りながら拳銃を撃つ。
間違いなく直撃コースだ。
キンッ
「は?」
しかし間違いなく直撃したものの、響いたのは金属同士を打ち合わせたような甲高い音。
スノウドロップは防御する素振りすらしなかった。
「ねぇ、貴女。確か、樋口一葉だったよね?貴女は私と
スノウドロップは平然と私に話しかけてくる。
まぁ私にとっても初めて出会った
………間違いない、のだが。
「そうね。こんな状況じゃなかったら、それも良かったかもしれないわね」
意識して口調をメトーデのものに近づける。
「でしょう?だから「でもね」………何」
「少しは考えてから喋りなさい、クソガキ。貴女は私の敵なのよ」
「………貴女はあんな人を助けるつもり?」
「当然でしょう」
胸を張る。それだけは私の気持ちだと、原作など関係はないと断言する。
芥川先輩はマフィアの中でも指折りで実力者だけど、無愛想で残酷な上に冷酷。しかも部下とのコミュニケーションをほとんどしない。
そんな上司としてどうなのかという人で、不満は多々あるけれど。
それでも。
「芥川先輩は私の、私たちの上司よ」
返して貰うわ。
再びLiberated Flameを起動する。
スーツ越しに朱いラインが浮かび上がった。
黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)
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書く(幕間終了後、黒の時代)
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書かない(幕間終了後、三社鼎立)