それでは、どうぞです。
何故か倉庫の壁を破って現れたのは、ポートマフィアの最大戦力の一人であろう中也さん。
それを見た黒服の構成員たちが「あれって幹部の…」だの「どうしてここに?」だのざわつく。
いいから早く先輩を外に連れてけや。
「うわ、ホントに来た………」
中也さんに視線を向けて思わず呟いてしまった。それが聞こえたのか、彼にギロリと睨まれる。
「色々と言いてえこともあるが、一先ずは置いとく。後で説明しろ」
そう言う中也さんへの対応を広津さんに丸投げし、私は彼の異能によって潰れた死体に近づいた。
死体には花が咲いていた。彩り鮮やかな花びらが、まるで蛆虫のように集っていた。
一瞬の驚愕の後、納得する。
なるほど。スノウドロップのデバイスであれば、あるいはこういうことも可能ではあるかもしれない。
「へぇ?スノウドロップも、なかなか面白いことするじゃない」
さしずめ、人間をhIEの代わりにしたってところか。
スノウドロップを見れば彼女は自分を守らせるためか、周囲に死体を並べている。その全てが一度潰れたものだが、無理やり花で人の形を保たせていた。
幹部の中也さん相手には、焼け石に水ほどの効果もないだろうに。無駄なことをする。
そう思い中也さんの隣に移動した。
「中也さん。どうしたんですか?あれくらいの相手なんて、敵じゃないですよね?」
スノウドロップに直接的な戦闘能力がないことは、彼ならば分かっている筈だ。
しかし彼の顔は険しい。
まるでスノウドロップではない、何かを警戒しているような………。
唐突にスノウドロップから視線を外し、彼はに私たちに指示を出す。
「今すぐ芥川を連れて此処から離れろ!全員だ!!」
「いや急に何、を………」
ようやく私も気づいた。
「中也さん、一体何が!?」
「いいから速くしろ!来るぞ!!」
彼がそう言った直後に、倉庫内を炎が埋めた。
(メトーデ風を使います!)
『補助くらいはしなさいよ、オーナー』
メトーデが言い終わってすぐに、私の視界に数式が山ほど現れる。
これはLiberated Flameを使うのに必要な演算式。それを
私はBEATLESSでメトーデ、いや超高度AIのヒギンズがしたように、デバイスの能力を応用して風を起こした。
その風で自身と広津さんたちを覆って、突如として現れた炎から守る。
中也さん?自分で何とかしてるからいいや。
「初めて試したけど、案外上手くやれるものね」
ぶっつけ本番なんて二度としたくないが。
一言呟いて、炎の原因に視線を送った。
そこにいたのは一匹の虎だった。
文豪ストレイドッグスで虎といえば、中島敦に他ならない。が、あの巨大な虎は彼ではない。彼は炎を扱うなどできはしない。
では何か?
見間違いだと思いたい。しかし間違いなくあの虎に私は、私だけは見覚えがあった。
あの赤い虎は。
ーーーーーーーあれは
「速く倉庫から出ろ!急げ!!」
私たちの方を見もせずそう言ったに中也さんは、瞬時に虎へと駆け寄りその巨体へと蹴りを放った。
虎の喉元に蹴りが突き刺さる。さらに突き刺した片脚を軸にして、回し蹴りで虎を吹き飛ばした。
ここまで僅か数秒である。流石は幹部といったところ。
何が何だか分からないけど、あれは中也さんに任せていいか。
私はスノウドロップを見た。彼女は何が起きているか判断できないのか、跡形もなく燃え尽きた死体に何の反応もせずに立っている。
「またね?」
私にだけ視線を向けて手を振った。
「お断りよ」
そう言ってスノウドロップにLiberated Flameの炎を叩きつける。
しかし予想していたのか、彼女は危なげなくそれを躱した。それから人間離れした脚力で、あっという間にここからいなくなる。
『追わないの?オーナーならまだ追いつけるわ』
メトーデの言う通り、今なら追いつけるだろう。
しかし私を除いた全員が既に倉庫の外に出ているので、それをするのは流石にこう………………何か気まずい。
「次に会ったときが貴女の最後よ」
吐き捨てるようにそう言った。
倉庫の中にも外にも、既に虎の気配はない。どうやら中也さんが追い払ったらしい。
倉庫の外に出て、芥川先輩を中心にして固まっている広津さんたちの所に足を運ぶ。それから道を空けて貰い、右手のデバイスを外して先輩に近寄った。
彼の顔を覗き込んだら、普通に目を覚ましている。
「樋口、か……?」
「はい、先輩」
そりゃあ、まぁ。さすがにあれだけ騒がしくしたら起きるか。
私が彼の手を遠慮がちに握りしめると、意外なことに芥川先輩は握り返してきた。
思わず視線を合わせる。
「……世話をかけるな」
顔を背けながらもそう言う先輩に、どう返答すればいいか分からない。
そんな思いの外子供っぽい先輩の様子に、少し見惚れた。
(この人もこんな顔するんだ)
「仕事ですから」
結局こう応えて、笑った。
スノウドロップのことやあの虎のこと。そしてこれから襲い来るであろう
考えるべきことは山ほどある。
けれどき今はきっとこれでいい。
当たり前みたいにこの人の手を握れていれば。
一先ずこれでアニメの一期を完結といたします。
※ロクでなし魔術講師と禁忌教典でも書き始めてみました。よろしければそちらもお願いします。
黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)
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書く(幕間終了後、黒の時代)
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書かない(幕間終了後、三社鼎立)