私と先輩が臨時の幹部会が開かれているビルディングに着いたのは、鴎外さんから連絡があった約三十分後だった。
「樋口」
静かに上へ向かうエレベーターの中で、芥川先輩に話しかけられた。
「何でしょうか?」
「それは何だ?」
先輩が指差したのは、私が手に持つアタッシュケース。中身は別に危険物というわけではな………いや良く考えたら危険物の部類なのかもしれない。
「恐らく首領の前で説明することになりますので……その時に」
「そうか」
黙った先輩から視線を外し、持ってきたアタッシュケースを握り直す。動きを止めたエレベーターから降りて、薄暗く長い廊下を歩いた。
そして両開きの扉の前で足を止める。私が身嗜みを軽く整え終えると、芥川先輩が扉を叩く。
「首領、芥川です。入ります」
「ーーーーーー入り給え」
部屋の中にいたのは三人の人物。
黒い帽子を被り同色のコートを肩に羽織る。成人男性にしてはやや小型なその人は五大幹部の一人、中原中也。異能力ーーーーーーーーーーーーーーー『汚れつちまつた悲しみに』。
そして彼の向かいに座っている豪華な和服に身を包んだ女性。側には閉じた唐傘を置いてあり、上品な仕草で口元を隠す。
中也さんと同じく五大幹部の一人、尾崎紅葉。異能力ーーーーーーーーーーーーーーー『金色夜叉』。
(さっきから凄い殺気が……)
こう、ヒシヒシといった感覚がして仕方ない。この部屋に入った瞬間から、彼女はまるで仇でも見るかのように私を睨んでいる。
……心当たりは正直ある。多分、いや間違いなく鏡花ちゃんのことだろうけども、まぁ一先ずは置いておくとしよう。
「よく来てくれたね、二人共」
そして最奥にて微笑を浮かべる、黒を基調とし赤い意匠のコートを着込み、白い手袋をした指を組み合わせ優雅に佇む男性。
ポートマフィアを束ねる首領ーーー森鴎外。異能力ーーーーーーーーーーーーーーー『ヰタ・セクスアリス』。
私と先輩は鴎外さんに促され、近くにある椅子に腰掛けた。すると彼は芥川先輩ではなく私を指差し口を開く。
「さて、話を始める前に。芥川君はともかく何故樋口君がこの場にいるのか、まずそれを説明しないといけないね」
「先日こいつが見せた炎………異能についてではないのですか?」
「ふむ、それもあるが……とりあえず彼女の立場をはっきりさせておこうか」
中也さんの発言にそう言って再び優雅な動作で指を組んだ鴎外さんは、僅かに口角を釣り上げたような気がした。
「樋口一葉はポートマフィアの次期幹部候補。私個人としては、すぐにでも相応の地位を与えたいと思っているのだよ」
それを聞いた芥川先輩は少なからず驚いているようだった。
今後アンケートやりたいと思います。内容は今後の主人公の立ち位置をどうするか?みたいな感じです。
黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)
-
書く(幕間終了後、黒の時代)
-
書かない(幕間終了後、三社鼎立)