私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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 時系列的には人虎である中島敦が探偵社に雇われた辺りで、そのつもりで書いてます。


第4話 原作に向けて、行動開始です

 

 私と先輩の分の食器を鏡花ちゃんに片付けてもらい、それらを鏡花ちゃんに洗ってもらうことにする。

 

 ただ彼女は身長が足りないので足場を用意し、着物の袖をまくり上げて食器を洗い出した。

 

(鏡花ちゃんの肌綺麗すぎでしょう!今までろくにお肌の手入れなんてしてない筈なのにあんな綺麗なら……鏡花ちゃんが自分の肌を手入れし始めたら、一体全体どれくらい可愛くなってしまうの!?ぐへ、へへへ……)

 

「先輩、私は今から人虎の行方を調べますけど、それに使える時間はどれほどありますか?」

 

 仕事部屋から持ってきたノートパソコンを起動させる。

 

 させたところで、ふと思った。

 

(あれ?これって樋口一葉(わたし)の仕事?こういうのは普通それ担当の人がいると思うんだけど……。私がやる必要ある?)

 

 今更気付いたところで遅かった。

 

 芥川先輩の部下とはいえ、所詮はポートマフィアの一構成員でしかない私は、やれと言われればやるしかないのだ。

 

「手早く済ませよ。人虎の居場所を特定してそれで終わるわけではない」

 

「では30分ほどいただきます」

 

 なら短時間で終わらせて自分の有能さをアピールしよう。

 

(これまでもそうだったけど、私が原作にいる彼女(・・)だからって未来が保証されてるわけじゃないし。いつ不要だ無能だとか言われて殺されたとしても、全然おかしくないんだよね~)

 

 そしてそれを回避するには!

 

 上司の前でいい仕事してアピールする!これしかない!

 

 実際ミスしたことがないとは言えないが、今もこうして生きているのだから、効果がないわけではない筈だ。

 

 しかし流石にたった30分でできるとは到底思えないのだろう。

 

 先輩は疑わしそうな表情を浮かべている。

 

 この無駄に広い横浜でたった一人の人物を30分だけで見つける。

 

 うん。普通はそんなこと絶対に無理だ。無理ったら無理だ。

 

 だが私は、ほとんど原作を知らないとはいえ、それでも本来(・・)の樋口一葉が知り得ないことを知っている。

 

 これからやることを例えるなら、数学の問題の答えを見てから数式を作り上げるようなものだ。容易いことこの上ない。

 

 システムを起こしてキーボードを叩く。

 

 横浜中の監視カメラなどへのハッキング。人虎ーーー中島敦ーーーがいたという孤児院の情報と、そこから追い出された後の彼の行動、そして市内で虎を見たという目撃情報をネットの海から探し出す。

 

 それと平行して先輩に渡すための資料作りも行う。

 

 だが。

 

「やはり一筋縄にはいきませんね」

 

 とはいえ探っているのは異能者の情報。

 

 当然異能特務課による何かしらの妨害があるのだろう。さっきから当たり障りのない情報ばかりを拾っている。

 

(あぁもうっ!面倒くさい!私が「人虎は探偵社にいます」って言うのは簡単なのにその理由が集まらない。根拠のない情報なんて価値ないしこのままダラダラとしても意味ないし………よし!)

 

 タンッとエンターキーを押し、一時的に自動でコンピューターを動かす。

 

 その間に私は仕事部屋に行き、あるデータ(・・・・・)を入れてあるUSBを手にパソコンの前まで戻る。

 

 そこで壁際に立っている芥川先輩を視界に入れると、先ほどまでは持っていなかった紙の束を食い入るように見ていた。

 

 ………………先輩が持っているのは部屋の片隅に置いてあるコピー機から次々に出される、たった今調べた横浜中から集めた情報をオートで吐き出しただけのものなのだが。

 

(しまった~~っっ!!パソコンとコピー機の連動切るの忘れてた!多分先輩は中途半端に人虎について書かれてたのを見たんだな!それでそっちを手に取ってしまった、と

 

「あの、ですね。先輩?それは今調べ上げただけのものなので……。これから纏める方を見てくれたら……」

 

(あ、ダメだこれ。聞いてない)

 

 人の話を無視する先輩を放置して、持ってきたUSBをパソコンに差し込みそこに保存しているデータを使用する。

 

 ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ

 

 数瞬あとには画面に浮かぶcompleteの文字。

 

(よっしゃ!!)

 

 内心ガッツポーズを取る。

 

 目的を達したことにより、多数開いていた画面が自動的に閉じていき、最後に一つのウィンドウが残る。

 

 それの内容をチェックしてからコピー機にデータを伝送した。

 

 コピー機から出た紙を取って先輩に渡しに行く。

 

「芥川先輩、終わりました。人虎についての報告書です。現在人虎が身を置いているのは武装探偵社だと思われます」

 

「何?」

 

 紙束を私に押し付けて、先輩は私が差し出した計二枚の報告書を手にした瞬間、驚愕の表情を浮かべた。

 

(……え?私何かした?)

 





 次回は別視点で書こうと思っているので、かなり間があくと思われます。

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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