私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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 ちょっと強引に話を進めますね。



十話

 

〈太宰治〉

 

「さて、残るはお前だけだにゃ」

 

 目の前の羽川翼、否ーーー猫は舌なめずりをして、私を見る。縦に割れたその瞳孔からは、ヒトらしい感情は読み取れない。

 

「まぁまぁ美しいお嬢さん。私の異能力を知らないのかい?」

 

 異能力、『人間失格』。異能力を無効化する、唯一無二の異能力。

 

 見る限り彼女の異能力が発動する条件は、対象に素手で触れること。であるならば、私にとっては脅威を感じる相手ではない。

 

「まぁ、知っていようがいまいがどちら、でも………」

 

 無言で髪に隠れた背中のバッグから取り出された麻袋とロープを見て言葉を止めた。

 

「グハッ!!?」

 

 気づいたら視界を覆われ、そして担がれどこかに運ばれていた。そして数秒後には雑に地面に転がされる。

 

「痛タタっ。ちょっと乱暴すぎやしないかな?」

 

「ふむ、その声は太宰か」

 

「えっ、社長?」

 

 まさかこんな形で社長と合流することになるとは思ってなかったので、少し狼狽える。

 

(何故、社長が私の近くにいる?まさかこの人も捕らえられたのか?)

 

 いや、その可能性は低い。何せ様々な暴力や異能力が蔓延る横浜を守る組織の一つの長。何なら異能力者とも張り合える実力を持つ猛者だ。

 

「動くな。すぐに外す」

 

 キンッと音がしたと思ったら、ロープも麻袋も斬れていた。社長とは別に気配があるのを感じながら立ち上がると、社長の隣には一人の女性の姿があった。

 

「君は………」

 

〈sideout〉

 

 

 

 

 

 ーーー時は少し遡る。

 

 

 

 

 

〈side福沢諭吉〉

 

 場所は羽川殿が育った家。対峙するは何者かの異能力であろう赤き虎。付近に怪しい気配はないことから、この虎が敦のように異能力者が変化したものか、あるいは遠隔で操作できる類のものか。炎に関する異能力なのは見れば分かる。

 

 何にせよ刀一本で戦うには苦しい相手だがやるしかない。

 

 抜刀した刀を生物にとっての急所、眼球に向け横薙に振るう。そして左側に回り込みながら首を斬ろうと刀を振るった。

 

「何っ!?」

 

 ーーー刃が届いていない。先ほど抵抗も少なく切り裂いた筈の眼球には、よく見れば傷の一つも入っていない。

 

「しかも、これはっ!?」

 

 刀を握る両手が熱い。まるで本当に炎で直に炙られているような感覚を覚える。無論、その程度で刀を手放すようなことはしないが。

 

 後ろに飛び退き前足の攻撃を避ける。

 

(敦を残すべきだったか………?いや、それよりも。直接刀を当てても無意味だというのなら)

 

 懐から万年筆を取り出しそのまま投擲。必殺の威力を秘める凶器となったそれは、しかし虎に届くことはない。

 

「駄目か」

 

 さて、どうするものかと考えたその刹那。何かがとてつもないスピードで窓を突き破り、燃え盛る家の中に入ってきた。

 

 もしや新手かと身構えるが、その必要はなかった。

 

「何故、ここに貴殿が」

 

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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