私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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十一話

 

 ゴウゴウと燃えている懐かしの我が家?に窓から飛び込んだ。

 

 だって明らかに虎はいるだろうしね?もしかしたら探偵社の誰かもいるかもしれないし、だとしたら彼らとの接触もできる。けど。

 

(思ってたより熱い)

 

 ポートマフィア歴がそれなりにあるとはいえ、特別な装備もなしに、というか裸で火事真っ只中の建物に突っ込むのは初めてだ。。今度同じようなことがあるときは、間違っても裸で突入するのは止めよう。

 

「何故、ここに貴殿が」

 

 両手の掌に火傷を負いながらも刀を握る社長さんを背中に庇い、私は虎と向き合った。

 

「下がって。ここのは全部燃やすんでしょうけど、それとこの人には関係なんてない筈でしょう」

 

『………………………………………』

 

 沈黙を残して、霞と消えるように虎の姿がなくなった。しかし炎はそのままなので、どうやら本当にこの家は焼き払うつもりらしい。だとすれば次はどこが狙われるか。

 

(それを考えるのは後でいっか)

 

「すみません。少し失礼します」

 

 無理に刀を手放させると掌がどうなるか分かったもんじゃないので、そのまま横抱きにして外へ飛び出した。途中で見かけた彼らの車の近くで降ろした。

 

「羽川殿、か?しかしその容貌は一体………それに、先ほどの虎を知っておられる様子だったが」

 

「ごめんなさい。詳しいことは言えないんですけど、福沢さんに頼みたいことがあるんです。………聞いてくれますか?」

 

「………私はたった今、貴殿に助けられた身。私にできることであるならば、貴殿の頼みを聞き入れよう」

 

「なら」

 

 いつの間にやら刀を鞘に収めた彼と向き合い告げる。

 

「今この時を以て私、羽川翼は武装探偵への依頼を破棄します。すぐにこの直江津町から去って下さい」

 

 勿論、私から言い出したことだしキャンセル料とかは払うことも伝える。これでサクッと「はい、分かりました」で終わると嬉しかったのだが、そう都合よい返事はなく福沢さんは思案するかのように黙ってしまう。

 

「国木田さん達を連れて来ます。どうか、それまでには決めて下さいね?」

 

 そして一塊に集まっていたところを、これ幸いと猫(ブラック羽川)を演じながら接触、もとい襲撃した。

 

 太宰さん以外を気絶させて太宰さんはいつぞや私が賢治君にやられたように、麻袋を被せてロープで縛ってから雑に運ぶ。そして敦君も同じようにして運び、鏡花ちゃんは体に負担を掛けないように気をつける。

 

(何だか久しぶりに鏡花ちゃん見るけど相変わらず綺麗だなぁ〜。まつ毛整ってるし肌荒れとかもないしでも体は細いな?ちゃんとご飯を食べてるのかね?)

 

 流石に鏡花ちゃんの状況を知るためだけに、探偵社に盗聴やら盗撮やら仕掛ける度胸はない。中島敦の部屋に仕掛けても本人にはバレないだろうが、多分鏡花ちゃんに気づかれる。

 

 途中で麻袋から抜け出していた太宰さんに顔を見られたようだが、まぁ特に問題はない。

 

(さて。ラストに国木田さん、と)

 

 俯向け倒れた国木田さんの首元に手を伸ばす。そして彼の襟元に触れた瞬間だった。

 

「にゃ?」

 

 鉄線が、私の右腕に巻き付く。

 

「………呆れるくらい、タフにゃ奴だにゃあ。大人しく寝とけば良いものを」

 

「生憎、とな………俺の手帳に、『本日依頼失敗』、の、文字はない」

 

 常人なら指先一つ動かせないどころか、気絶する程度に体力を奪った筈の国木田さんは、しかし鉄線銃を握りしめて立ち上がっていた。

 

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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