私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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 生存報告も兼ねてシレッと投稿。お久しぶりです。
 あとついでに、アンケートもやります。


十二話

 

〈side国木田独歩〉

 

(太宰に触れなかったのだから、俺たち側の異能力を把握しているのは間違いない。しかし太宰はどこに連れて行かれた?警告とは、一体何のことだ?)

 

 予め『鉄線銃』と書いてあった手帳の頁を破り、袖の中で変化させる。それだけだというのに、今にも目の前が真っ暗になりそうになる。

 

 やはり触れた対象の体力を奪う異能力か。しかも身体能力が異常に高い。厄介過ぎる。せめて小僧………敦がいれば、まだやりようはあった。

 

 いつの間にか敦と鏡花もいなくなっていた数秒後、俺のすぐ傍にあの気配が現れた。焦る気持ちを抑え、さらに近づいてくるまで待つ。そして俺の首元に伸ばした腕に向けて、鉄線銃の引き金を引いた。

 

「………タフにゃ奴だにゃー。大人しく寝とけば良いものを」

 

「生憎、とな………俺の手帳に、『本日依頼失敗』の文字は、ない」

 

 崩れ落ちそうな体を壁を使って支える。

 

 普段ならここから拘束にでも動くのだが、それを出来る体力も手段もない。

 

 可能なのは口を動かすだけだ。

 

「警告だと、言ったな?一体何に対する、警告なのか………聞かせて貰おう」

 

「そんにゃこと聞くために、お前はわざわざ立つのか?まぁ気ににゃるなら、お前に言ってやる」

 

 腕に巻き付いた鉄線をそのままに猫は言う。

 

「ここに現れた虎とのケジメは俺とご主人でつける。お前ら探偵社は黙ってこの街から出て行け」

 

 虎。それは恐らく社長を襲撃したというものと同一だろう。だがそれと羽川にどんな関係がある?そしてケジメとは何だ?まだ彼女の過去で知らないことがあるのか、それとも知らない間に何かあったのかさえ分からない。

 

「断る」

 

 ぐるぐると巡る思考とは裏腹に、どうしてか否定の言葉は当たり前ののように出てきた。

 

「………俺の警告を聞くなら、それで終わる話にゃ。どうして断る?」

 

「俺は………俺たちは彼女から、正式に依頼をされた。お前が、羽川とどんな関係にあるかは………知らんが、彼女本人から言われない限り、手を引くことは………ない」

 

 忌々しそうに顔を歪めて猫は口を開く。

 

「それがご主人ーーー羽川翼の意志でもか?」

 

「当然だ。だからーーー」

 

 手の中の鉄線銃を握り直し俺は猫、否。()()()へ向けて言葉を吐き出した。

 

「羽川、言いたいことがあるなら、自分で言え。今喋っているのがお前、なのか………それとも自我を持つお前の異能力か、知らん。お前がこの町から、俺たちを追い出そうとする理由も、情けないことだが………まるで、分からん」

 

「………………………………………」

 

「だが、理由があるんだろう?」

 

 沈黙しているのは羽川かそれとも猫か。それすら分からないままに喋り続ける。

 

「ならちゃんと説明くらい、しろ。こんな物理的な説得など、らしくないにも程がある。それも出来ない程、武装探偵社は、信用ならないか?」

 

 しばらくの間、沈黙だけが俺たちの間に流れる。これで猫、あるいは羽川の気が変わらなければ、はっきり言って俺にやれることはない。

 

「酷いなぁ、国木田さんは」

 

 だが、やがて。縦に割れた瞳に悲しげな光が浮かぶ。

 

「納得させられるだけ理由があったら、私はこんなことしてないのに」

 

 今話しているのは羽川翼だと確信した瞬間に、思わず膝から崩れ落ちた。

 

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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