私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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十三話

「警告に従わないなら、殺すことだって出来たんですよ?」

 

「いや、そんなことはしないだろう。そもそも気絶させたことも不本意だろう?」

 

「………そんなことは」

 

「どうだかな。さっき敦らを気絶させたのも、本当は不本意なのではないか?」

 

(せ、盛大に勘違いをしてらっしゃる)

 

 殺せないのは間違いないが、それは原作があるから。だから殺さないだけであって、今回みたいに実力行使で排除するくらいはいつでもできる。

 

 まぁ、あまり手荒な真似をしたくないのは事実だけども。それくらいの情はある。特に、鏡花ちゃんには。

 

「それで………どうしてこんな真似をした?俺は見ていないが、社長が遭遇したという赤い虎とやらに関係があるのか?」

 

 そう言う国木田さんには奪った体力を少しだけ返してある。全快させることもできなくはないが、それはそれで何か体に悪そうなので止めた。

 

「………どうして、今この町に来たんですか?」

 

 国木田さんの問いには答えず、私から質問を投げかける。

 

組合(ギルド)のことは、お前のことだから知っているな?」

 

「はい」

 

「なら、分かるだろう。探偵社は、お前を必要としている」

 

「いつもみたいに、依頼を出せば良かったじゃないですか」

 

「組合の長は言ってしまえば成金だ。お前が情報屋という立場である以上、金額次第ではお前が組合に抱え込まれる可能性もある」

 

 ………なるほど。一理あるとしか言えない。

 

 確かに情報屋の羽川翼は、どの組織に所属している訳でもない。ので、そうなる可能性は十分にある。お得意様が探偵社なだけであって、今までもその他の組織に情報を渡したこともあるし。

 

 それは探偵社も承知してる筈だが、今回は流石によろしくないということだろう。

 

 ………それでも。

 

「でも、やっぱり依頼を破棄させて下さい。もう、社長さんには伝えましたから」

 

「………そうか」

 

 至極残念そうに国木田さんはそう言うと、眼鏡を掛け直して手帳をポケットに仕舞い込む。

 

「お前がそこまで言うなら、俺からは何も言わん。いや、正直に言えば探偵社に入社して欲しいが………社長の判断に従うまでだ」

 

 それにしてもこの人は、私が猫ではなく羽川翼として接し始めてから、何というか油断?は違うな。気を抜いているような、そんな感じがするのは気のせいだろうか?それだけ信用されてるのだとしても、些か不用心が過ぎるだろうに。

 

「だがな、羽川。何かあるならば俺たちをーーー探偵社を頼れ。お前の能力が高いのは知っているが、だからといって全てを抱える必要はない。それを例えお前自身が望まなくても、お前の助けになりたい奴はいる」

 それに子供が大人を頼るのは当たり前だ。

 

「国木田さん………ありがとうございます」

 

 彼なりに、羽川翼を気遣ってくれてることは分かる。が、それはそれとして、私の内心を占めるのは「さっさと横浜帰って組合対策しろ」である。

 

「でも、ごめんなさい」

 

 だから私はまだ何か言おうとする国木田さんを、問答無用と言わんばかりに気絶させた。

 

「………さようなら」

 

 どんな結末を迎えるにしろ、きっと羽川翼は今日でいなくなる。

 

 そんな予感があったから、私は最後に別れの言葉を口にした。

 

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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