私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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 別視点って難しいですね。








第5話 僕(やつがれ)の部下

 

 (やつがれ)の名は芥川龍之介。

 

 ポートマフィアにおいて首領(ボス)直属の遊撃隊隊長を任されている。

 

 僕は今、部下の一人である樋口一葉に人虎について調べさせていた。

 

 ガーッ、ガーッ、ガーッ

 

 無機質な音を立ててコピー機が吐き出す紙を纏めて手に取る。

 

「これは……」

 

 そこに書かれている内容に思わず呟いていた。

 

 人虎の被害が起こった場所と、人虎と思われる中島敦という齢十八の男。

 

 見やすいように拡大された横浜の地図に、人虎とその小僧の動きが示されていた。

 

 最初の人喰い虎の被害が起こったのはとある孤児院。そして後間もなく中島敦はその孤児院から追い出される。

 

 その後も、まるで人虎が小僧を追っているかの如く、悉く小僧がいる場所で人虎による被害が起きている。

 

 人虎による被害とこの小僧の行動が奇妙なほどに合致していた。

 

(これが人虎と見て間違いない、か)

 

 素直に驚嘆する。

 

 僕は彼女、部下である樋口に何もヒントになるようなことは言っていない。だというのに樋口は「30分ほどいただきます」と言った。そのときは何を馬鹿なと思ったが、樋口がパソコンを起動させてから、まだ20分程度しか経っていない。

 

 さらに時計の長針がいくつか進んだ。

 

「芥川先輩、終わりました。人虎についての報告書です。現在人虎が身を置いているのは武装探偵社だと思われます」

 

「何?」

 

 耳を疑う。

 

 確かに今僕が見ているのは報告書とは言い難い、ただ人虎と中島敦という人虎と考えられる男の行動が合致してあるという事実が羅列されたものではあるが内容はそれ以上。

 

(それだけでも信じ難いというのにこの女は……)

 

「寄越せ」

 

 見ていた紙束を樋口に押し付け、たった二枚に纏められた報告書に目を通す。

 

 驚愕に顔が歪んだ。

 

『人虎・中島敦

 

 虎に変化する異能力者であり、一連の人虎による被害は全て異能が制御できていないが故のものと思われる。

 

 孤児院を追い出されて以降、明確な拠点を持たず横浜中を浮浪しながら、異能による被害を起こす。

 

 先日から、対象は横浜のさるビルに出入りしていること、そこに拠を構える武装探偵社に通っていることが確認されている』

 

 その下には人虎の顔写真と、探偵社員の大まかな情報が書かれていた。

 

 壁に掛けられた時計を見る。

 

 樋口の宣言より僅かに早かった。

 

「追って指示を出す。いつでも動けるよう準備をしておけ」

 

「分かりました」

 

 資料を手に部屋から出て、歩を進めながら樋口を主軸とした作戦を考える。

 

(一先ず樋口を使うか。樋口に偽の依頼を出させ人虎を誘い出す)

 

 それだけで上手くいくとは思わないが、まぁ樋口ならば問題ないだろう。

 

 ……樋口ならば問題ない(・・・・・・・・・)

 

「僕は一体いつから樋口にこれほど信を置くようになったのだったか……」

 

 一つ苦笑を浮かべその場を後にする。

 

 美味いの一言を、相も変わらず言えてないと思いながら。

 





 すまない。

 別視点にした瞬間、鏡花ちゃんの可愛さが書けない。

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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