私は“樋口一葉”   作:紅ヶ霞 夢涯

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 評価バーと言いましたか?あれに色が、しかも黄色が付いてて驚きました。

 有り難う御座います。




第6話 原作開始のその前に

(な~にが「追って指示を出す」だ。格好つけやがってあの先輩は。だったら最初から携帯で済ませっての)

 

 何だか先輩が来たときと同じような憤りを感じながら、パソコンを抱えて仕事部屋に入る。

 

 しかし彼は本当に何をしに来たのだろう?

 

 先輩が(うち)に来てしたことなんて。

 

 ①仕事を持ってきた。

 

 ②一緒に朝ご飯を食べた。

 

 ③仕事の内容を話した。

 

 ④私が調べた情報を持って帰った。

 

 これくらいだ。

 

 ……まさかとは思うけど、仕事ついでにご飯を食べに来ただけだったりする?

 

 ただ朝ご飯を食べるために、仕事と口実を作って一人の部下の所まで足を運んで、それを部下に悟らせることなく満足して帰る。

 

(ん~~。それはそれであり、かな?)

 

 有り得ないことだけど。

 

『オーナーは随分とあの人間に肩入れしているのね』

 

 どこか小馬鹿にしたような声と共にブオンと音を立て、机に置いたパソコンの薄暗い画面に女性の姿が浮かび上がる。

 

 悪役じみた整った顔。燃えるようなオレンジ色の長い髪をなびかせ、髪と同色の瞳。

 

 身に纏っているのは服などではなく機械であり、彼女の姿はサイボーグのそれだった。

 

 ()はメトーデ。

 

 BEATLESSという創作世界において、最強の性能を誇る機械だ。

 

 メトーデを生み出したのは若気の至りというか、言ってしまえば黒歴史以外の何ものでもない。が、その知能、性能は本物だ。BEATLESS(オリジナル)のメトーデに勝るとも劣らないと自負している。

 

 ……彼女自身の身体(からだ)がないのは考え物だが。

 

「肩入れって…。それはそうでしょう。彼は私の上司ですよ?」

 

『上司?ふふっ。本当にそれだけなの?』

 

 メトーデは機械、というかAI《エーアイ》なのだが、話し掛けたときの反応や言動は人間と大差ない。

 

「そんなことより例のアレ(・・)は?」

 

『実戦に使用可能よ』

 

「さすがですね」

 

 アレ(・・)とは、BEATLESSでメトーデが使用するデバイス、Liberated Flameのこと。

 

「なら人喰い虎、中島敦に対して使います。用意しておいて下さい」

 

 画面上のメトーデは返事もせずに静かに姿を消した。

 

「樋口」

 

 それと同時にドアを僅かに開けた鏡花ちゃんが顔を覗かせる。

 

(可っっっ愛い~~~!ドアの隙間から顔を覗かせるなんて鏡花ちゃん貴女は天才か!いや天使だ!!これはまた愛らしい!あと芥川先輩が帰ったからかな?表情が少し緩い!!改めてグッジョブ先輩!)

 

「どうしました、鏡花」

 

「やることない」

 

「……………なるほど」

 

 つまりは暇ですか鏡花ちゃん。

 

 鏡花ちゃんも私も、昨日の今日で仕事は入っていない。

 

 私は連絡が入り次第、原作通りなら武装探偵社に行くことになるのだろうが、少なくともそれまでやることなどない。

 

「……よし。寝ましょう」

 

 こういうときは寝るに限る。

 

 鏡花ちゃんの手を握って仕事部屋から寝室に移動した。

 

(やばっ。鏡花ちゃんの手ぇ柔らかっ!その上すべすべしてて気持ちいいんですけど)

 

「寝るの?」

 

 鏡花ちゃんは可愛らしく小首を傾げる。

 

 もうそれだけでご飯三杯いけそうだった。

 

「鏡花、覚えていたらいいですよ。やることがない、またはやれることがないというのは、自分が何をすればいいのか分からない状態です。そんなときは目を閉じるなり深呼吸するなりして、一度落ち着くことが重要です」

 

 まぁさすがに眠る必要はありませんが。

 

 最後にそう付け加えて横になる。

 

(………まぁ嘘八百だけど別にいいよね)

 

 当然私と手を繋いでいた鏡花ちゃんも一緒の布団に横になった。

 

「………………」

 

 鏡花ちゃんは何を思ってか、無言で私の胸元まで近寄ってくる。

 

「………………」

 

 私も黙って彼女を抱き寄せ、優しく髪を撫でてやる。

 

 少しの間そうしていると、鏡花ちゃんは穏やかに寝息を立て始めた。

 

 鏡花ちゃんは可愛い。それはもはや言うまでもないことで、できることならいつまでもこうして一緒に暮らしていたい。

 

(けどな~。鏡花ちゃんのためを思うなら原作通りにした方がいいんだよね、きっと。それに鏡花ちゃんを変な方向で溺愛してる幹部とかもいるし)

 

 幹部の方はどうでもいい。

 

 そんなことより鏡花ちゃんは、致命的なまでにマフィアに向いてない。それは原作だけでなく、今までの鏡花ちゃんを見て思ったことだ。

 

 しかし彼女の異能は芥川先輩と同じく殺戮向き。

 

 誰か、あるいは何かを守るために使うこともできなくはないのだろうが、少なくともマフィアに居る限りは無理。

 

(……けど武装探偵社には奴が居る)

 

 中島敦。文豪ストレイドッグスにおける主人公。

 

 そして敦が主人公なら、鏡花ちゃんは間違いなくヒロインだ。むしろ鏡花ちゃん以外にヒロインはいない。

 

(つまりは将来的に敦と鏡花ちゃんがイチャイチャすることになるんだよね?それは気に入らない。大いに気に入らないけど、それでも鏡花ちゃんは救われる)

 

 私は私の感情を優先するよりも、鏡花ちゃんを助けたい。そう思っている。

 

 だってこんなにいい娘が救われないなんて、そんなの嘘だろう。

 

 ーーーうん。決めた。

 

(鏡花ちゃんは原作通りに武装探偵社に。荒事に巻き込まれるのは変わらないだろうけど、マフィアよりマシだよ)

 

 だが万が一にも、原作以外で鏡花ちゃんを泣かすようなことを武装探偵社がしたなら。

 

(……………殺す)

 

 原作なんてほとんど知らないけど。

 




 なぜメトーデかと言うと、BEATLESSの中で見た目からして悪役っぽいからです。

 

黒の時代編を書く?書かない?(マジで何も考えてません)

  • 書く(幕間終了後、黒の時代)
  • 書かない(幕間終了後、三社鼎立)
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