過度な反応はいけませんよ?
第1話 ~目覚めの時
『……して、………を覚まして。』
暗闇の中から声が聞こえる。
『……目を覚ましてください、………ユートマ。』
その声は俺に向かってユートマと言う。……ユートマ? …それが俺の名前なのか?
………ああ、……俺の名前だ。
…そう自覚すると暗闇の中から光がうっすらと現れて、それは俺の方へと迫ってきて…そして………、
唐突に覚醒した俺はベッドから起き上がる。…俺がいる場所は何処だろうか? 疑問に思いながらもベッドから床へと降りる。…頭に靄がかかっていてよく分からない、分からないが俺はユートマでパンツ一丁の状態であることは分かる。…何故にパンツ一丁?
そのことを考えようとした時に、ちょうど俺の横にあった台座が光り出した。…何事かと視線を向ければ、俺に向かって何かが現れる。…何かというか、…本当に何だコレは? 目のような模様の長方形型のナニカ。それをジッと見詰めていたら、
『それはシーカーストーン…。リンクの物より劣る物ですが…、永き眠りから覚めた貴方を導くものです…。』
という声を聞いた。
…シーカーストーン? …俺はコレを知っているような? …疑問だらけではあるが、そのシーカーストーンに手を伸ばす。…手に持ってみれば意外に軽い、しっかりとした造りをしているからもう少し重いかと思った。…とにかくこのシーカーストーン、何故か懐かしいし手に馴染むんだよね。
シーカーストーンを手の中で玩びながら周囲を見回してみれば、…壁の方にコイツがあった台座と似たような物があると気付いた。ソレに近付いてみると、……やっぱり似ている。何か仕掛けがあるかも、そう思って調べてみようとした時に、
『シーカーストーンをかざすのです…、それは貴方の道を開くもの…。』
またあの声だ。…言われなくとも何となく分かっていたさ、コイツを使って何かをするってことを。まぁとりあえず、コイツをかざせばいいわけね。謎の声の言う通りにしてみれば……、
『シーカーストーンを確認しました、…ロックを解除します。』
そんな機械的な声と音、その後に壁が…扉が開いたのだった。…先に進めってことだな?
…先へ進むと、俺がいた場所と同じような造りの部屋へと出た。中心にあるベッドも俺と同じだな、…近付いてみれば、
「………!!?」
めっちゃ驚いた。…だって魔物が、白い…ボコブリン? でいいんだよな? とりあえず、そんなヤツが眠っていたのだから。大丈夫なのか? 素直にそう思ったんだが、何故だろう…コイツを見ていると涙が込み上げてくる。懐かしいというか…、本当に嬉しいと心がそう言っているんだよ。
ベッドで眠るボコブリンを見ていると、
『貴方の相棒であるコブ太です…、彼を目覚めさせてください…。』
その言葉を聞いた瞬間、俺は自分でも驚く速さでシーカーストーンを脇にある台座にかざした。こうすればベッドで眠るボコブリン、…コブ太が目覚めると思ったから。
…結果は正解で、ベッドを覆っていたガラスのような物は光となって消え…、
「……ゴブ、………ゴブブ?」
眠っていたボコブリンが欠伸をしてから起き上がった。それを見ていた俺は感極まって…、
「…コブ太、……コブ太!!」
白いボコブリンである彼を、コブ太という名の彼を、頭の中の靄から彼のことを思い出し、…そのまま抱き締めてしまった。彼…コブ太はキョトンとしていたが、何かを思い出したのか、
「……コブコブ!!」
と言って、俺のことを抱き締め返してくれた。
次話は外へ出ます。