ーユートマー
暫くの間…抱き締め合った俺達、十分に互いを堪能してから身体を離した。そして互いにニヤリと笑ってから頷き合い、この部屋を調べることにする。
結果は宝箱が四つ、…俺の部屋にはなかったのに。まぁそれはいいとして開けてみる、コブ太と共に覗いてみれば…、
《リベラの服・リベラのズボン・リベラのチョッキ・リベラの半ズボン》
この四つが入っていた。緑を主としたこの服、それはとても懐かしく感じる物。………そういえばパンツ一丁だな、ついでにコブ太も。せっかく入手したんだからコレを着るか、リベラの服とズボンが俺でチョッキと半ズボンがコブ太だな。そんなわけでいそいそと服を着る俺達、いつまでもパンツ一丁はないだろう。
宝箱に入っていた服を互いに着てみたのだが、…互いにしっくりくる感じ。俺の長身にピッタリだしコブ太の方もよく似合っている、…これは俺達の物なのか? よく分からないけどそう思う。…とにかく服を着たわけで、これ以外はこの部屋には何もないし次へ行ってみよう。壁際にある台座へと向かい、シーカーストーンをかざせば扉が開く。……次も部屋か?
…しかし次の部屋には何もなかった。同じ造りではあるものの、俺達の部屋のようにベッドはない。隅々まで調べてみたがやはり何もない、意味のない部屋なのか? ……となればここにいる意味がない、見れば壁際には台座が。これは先へ進むしかないだろう、なぁ…コブ太。
扉を開けて進めば今度は通路らしい、乱雑に木箱が転がってはいるが進めないわけではなく、同じように台座がある壁際へ。手慣れたようにシーカーストーンをかざしてみれば…、
『貴方達はこのハイラルを照らす光の一つ…、今が旅立ちの時です…。』
その言葉と共に扉が開き、眩いばかりの光が飛び込んでくる。…光と一緒に風を感じ、何とも言えない生命の匂いがした。…大地の匂いと言うべきだろうか?
…俺達は通路の奥に見える外の様子をこの場から惚けて見る、そして……、
「…行くか、…コブ太!」
「…ゴブブ!」
互いに声を掛け合ってから駆け出し、外の世界へと向かう。期待と不安を感じながら、俺達は新たな一歩を今…踏み出す!!
光が溢れる外の世界へと飛び出せば、広がる空の青さに度肝を抜かれる。この身に受ける心地好い風、緑ある大地、そして香る生命の息吹。全てが圧倒的ではあるが、心の中にある違和感のせいでしっくりこない。
…ここは本当に何処なんだ? …俺の脳裏に焼き付いている景色とは違う。焼き付いてはいても何処なのかは分からない、分からないけれど求めている景色とは違う。俺が求めているのは、木々が生い茂る圧倒的な緑の光景。遠くより聞こえる瀑布の…水の音、小鳥達の囀り響く世界。…それが俺の求める世界、…俺の心にある世界なんだ。
この景色…光景に驚きはしたが何か違う、俺と同じなのだろう…コブ太も戸惑っているっぽい。コブ太の反応を見る限り、やはり相棒というだけあって求めているものが同じなのだろうか? まぁ似たような服を着た時点で同郷は間違いないだろう。
…よく分からぬまま目覚めて外へと出たわけで、何を考えようとも何も分からない。今の俺達に出来ることは生活環境を整えること、そうすれば何かを思い出すことが出来ると思う。
今はただ…この景色を見て、心の中にある懐かしき故郷? かどうかは謎だが、それに想いを馳せるのも悪くない。…俺とコブ太は暫し、…この景色を並んで見続けるのであった。
外へ出て景色を楽しんだ後、滑落死をした作者です(笑