俺ってヤツは………。
ーユートマー
この『始まりの台地』から脱出する為にはパラセールが必要、しかしそれは俺の手元にはない。…ないが作り方は知っている、ならば作るか…と考えていると、
「この台地には、パラセールを作るのに必要な素材は手に入らぬぞ? …使い捨てならば可能であるとは思うが、…それはお主のプライドが許さんじゃろ。」
老人がそう言ってきた。…使い捨てならば可能か、………この老人の言うようにそれはダメだな。脱出は出来るけど壊れるんじゃ意味がない、丈夫で長く使える物こそが至上。…俺の気持ちを代弁するとはやるな老人、名乗っていないのに俺の名を知っているだけはある。
…となるとどうするか、このままでは脱出出来ない。このままこの台地に残る、…それはダメだと思う。俺とコブ太にはやらねばならないことがある、謎の声が言っていたリンク…なる人物の為に。パラセールでの脱出以外に方法があるか、そこを模索せねばならぬだろう。う~む…、さて……。
俺が考え込むと老人が、
「…そういえば、ある所に眠るお宝の話がある。…星天の夜、始まりの台地の頂きに光と闇が集う時、求むる翼が甦る。…そんな話をわしは聞いた、…お主はこのお宝の話をどう思う?」
どう思うって…興味はある、…だってお宝だぜ? 内容の意味はまだ分からんけど、この台地を探索すれば答えは見付かる筈。…話の流れ的に空飛ぶ道具がお宝か? 何にせよ、こんな話を聞かされちゃあテンションが上がる。
脱出の前にお宝探し、脱出のヒントにもなるかもしれない。何も記憶にない俺だけど、このお宝探しをすれば思い出すものもあるかもしれない。それ以上にドキドキするんだよな、…もしかしたらこの俺の過去はトレジャーハンターだったのかもしれない。俺の雰囲気に同調したのか、コブ太も飛び跳ねてやる気十分だ。コブ太もやる気だし、…まずはお宝探しで決定だな!
やる気十分な俺達に、またしても老人が口を開く。
「…ふぉっふぉっふぉっ、やる気十分のようじゃな? 目標があることは良いことじゃ、…なれどユートマよ。分かっているとは思うが、まずはこの台地を自身で知ることが先決。食料や住居の確保も重要じゃぞ? …それに魔物もおる。そこのボコブリンと同族の魔物が棲み着いておる、……大丈夫かの?」
お宝探しをするのにこの台地を調べるのは当然のこと、この地を知らなければお宝探しは出来ないからな。この地を調べる流れで、食料・住居の確保も視野に入れていた。魔物がいることも当然織り込み済み、コブ太と同族でも敵ならば容赦はしない。情によって躊躇うことはない、コブ太と他ボコブリンは別モノである。
そのことを熱弁する俺、同じく頷いて同調するコブ太。それを黙って聞いていた老人は、
「ふぉっふぉっふぉっ、記憶がなくともお主はお主か。サバイバルをしとれば色々と思い出すじゃろう、お主…ユートマなる者はそういう男じゃ。ふぉっふぉっふぉっ…!」
何ともご機嫌だ、何故にこうもご機嫌なのか? 不思議である。…この反応は俺の記憶にないこと、忘れているであろうこと全てを知っているとみた。…しかし聞いてはいけない気がする、自分自分で思い出さなければならない。…そんな気がするのは何故? …本当に不思議だ。
何はともあれ、俺達のやるべきことは決まった。まずはこの台地を知り、拠点を築いて生活をする場所を確保する。その中で戦うことを学び、老人の言葉を頼りにお宝探し。最終目標はこの『始まりの台地』からの脱出、更なる外の世界にへと飛び立つことだ。そして…、俺とコブ太の記憶を探す。俺達の心の中にある景色を探すんだ、そうすれば…全てを思い出すことが出来ると思う。
のんびり。