四月……。世間一般では新学期と呼ばれる時期、それは高校生である私も例外ではない。だが所詮学年が1つ上がり2年生になるということ。
ただそれだけのはずだったのに……
「ユ~ウご飯できたから一緒に食べよう」
なぜ、このバカと一緒に暮らさなきゃいけないんだ
事の発端は1週間前突然両親の海外転勤が決まったのが原因だ。私は学校もあるためここに残るつもりだったが、ここで1つの問題が発生してしまった。
家がないのだ……
今までは会社の社宅に住んでいたため転勤と同時に我が家は自然消滅……。しかも、時期は新学期目前。周辺のアパート・マンションはすでに満室。
そんな途方に暮れていたとき母さ……いや、あの悪魔がとんでもないことを言い出した。
「じゃあ、明久君の家に住まはしてもらえば」
「は?」
「明久君の家なら学校にも近いし、あの子になら安心してあなたを預けられるし」
「ちょ、待って何勝手に話を「はい決定」」
そんな訳で私達の奇妙な同居生活が始まってしまったのだが、住めば都という言葉があるように住んでしまえばどうってことない。むしろ快適だ。
家は広いし、何より飯がうまい。女としては恥ずかしい限りだが私の数倍はうまい。……明久のくせに。
「ご飯冷めるよ」
「今いくよ~」
こんなやる気のない声を出しながら私はリビングに向かった。
「相変わらず料理だけはうまいなぁ」
ご飯ん・味噌汁に卵焼きや漬物。シンプルだがどれも一味工夫がしてあってうまい。これが経験の差というものだろうか。
「料理だけって……それじゃあ他に何もできないみたいじゃないか!」
「出来ないだろ?」
真実は時として残酷なものなのだよ。
そんな軽口をたたきながら私達はそれぞれ食器の片づけと登校の準備をしていた。
「じゃ、私は先に行くね」
バックを持ち玄関のドアノブに手をかけると後方より焦り気味の声が飛んでくる。
「待ってよ、せっかくだから一緒に行こうよ」
……なるほど、君はこの状況について何も理解してないということだね。
「明久、私たちが一緒に暮らしていることは秘密にしなきゃいけないんだ」
「え?なんで」
答えは至極簡単だ。
「お互い命は惜しいだろ?」
「!!」
明久の顔が見る見るうちに青白く染まっていく、こいつなりに何か考えているようだ。
「確かに……学校のみんなに知られたら僕の命は……」
やっと理解してくれたようだな。私だってこのことが瑞希とか美波に知られたら……命の保証はないな。
「じゃ、行ってきま……じゃないな、明久」
体を90度回転させ幼馴染の顔を正面から見る。
「ん?どうしたの」
いつも通りのアホ顔が目の前に広がる。それだけのことなのにとても気持ちが落ち着いてしまう。
「今年1年よろしくな」
言い終えると同時に私は玄関を飛び出した。
よろしければコメントの方もよろしくお願いします。