火に包まれ、廃墟と化した町並みの中に何人かの人影があった。その中の一人、藤丸立夏は、真っ白な立方体とお互い見つめあっていた。
『Mirror Cube Squareと申します。長ければ、MCSとお呼びください』
(うん、よろしくね、MCS
…気になってたんだけどさ、なんでいきなり抱きついてきたの?)
『あー…それはですね。その、こういうことをして許してくれるなら、いい人なのかなぁ…と思ったんです』
(いい人の基準おかしくない?)
『ですよね!?ほんと何考えてたんだろ私…』
「いやいやいや!そのおかげでMCSのかわいさに気付けたんだから!気にしない気にしない!
あっところでさ!攻撃されてたのに平気だったよね?MCSって強いんだね!」
『あ、それは私の能力で…』
『立夏君、ストップ』
念話なんだから喋る必要もないのに立夏が喋り始め、遂に我慢の限界が訪れたロマニが制止をかけた。自分達の世界に入るのはいいけど、知りたいことはこっちにも山ほどある。MCSに向かい合い、言葉を投げた。
『えっと…MCS、でいいのかな?色々と質問してもいいかな?』
『大丈夫です。私に答えられることなら、なんでも』
言質を取れた。早速色々聞くことにしよう。ちなみに、MCSは喋れないので、MCSの意思を立夏がロマニ達に伝えることでコミュニケーションを取っている。
『ありがとう、じゃあまずは』「あなたは何者なの!?」
口を開いたロマニにオルガが割り込んだ。ロマニが所長!?と悲痛に叫んだが、MCSが何者なのかはその場の全員が気になっていたことだ。ロマニに心の中で慰めをかけながら、MCSの言葉を待った。
『何者か…』
そう呟いて、MCSは黙り込んだ。言葉が見つからないのか、そこから何も言わないまま固まっている。
…
「ああもう、分かりました!質問を変えます、あなたがここに来る前にやっていたことを教えてちょうだい」
沈黙に耐えきれなくなったオルガが質問を変えた。
目の前の奇妙な立方体だって、英霊召喚によって現れたんだから一応は英霊のハズで、ならば英霊に至れるほどの偉業を成し遂げたのだ。その行為と結び付くような逸話から来歴を推測しようと質問をしたのだが、
『私は…よく、戦っていました。私のいた場所では皆戦うのが大好きで、私もよく戦っていました。』
「そう…それで、他には?」
戦い。ケルトとか、そこらだろうか。クーフーリンに視線で問いただすが、首を振ることで否定された。確かにこんなものがケルト神話にいた記述は知らない。もっと手がかりが欲しい。
『えっ、他ですか?散歩とか、友達と遊んだりとか…それくらいです』
「そ、そう…じゃあ!そのお友達の名前を教えてくれるかしら?」
オルガは困った。それではまるで、戦っていた以外は普通の人並みではないか。しかし、手がかりになりそうな言葉は出てきた。
友達だ。その中に一人でも歴史に名を残した人物がいれば、どこの出身の英霊なのかはとりあえず推定できる。
『はい。えっと、
有名な方は、クルエルティアさんに、マーシャルさんに、あとADSもですね。』
誰?
その場にいる誰も、挙がった名前に覚えはなかった。
まあ、当たり前ではある。何故なら、MCSも、その友達も、
___この世界の住人ではないのだから。
もちろん、カルデア一行にはそれを知るよしもない。
かといって嘘を言っているようでもないので、とりあえずは、改めて協力関係が結ばれることで落ち着いた。
誤字・脱字報告よろしくお願いします。
今回MCSが名前を挙げたキャラクターも、MCSと同じく神キャラのイメージが大きいと思われます。
ちなみにクルエルティアさんは、トリガーハートエグゼリカというゲームのキャラクターで、他2名はMUGENにて生まれたオリジナルキャラクターです。