Fate/MugenOrder   作:ゴミ君

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専用対策とは、MUGENの神界隈で使われる技術です。倒すのが難しいキャラの名前を登録して、その相手が出てきたときに特定の行動をさせるようにしておくことで、そのキャラを倒すのに最適な行動をさせられます。

例えばMCSは攻撃を受ける度に回復していきますが、代わりに体力が自動的に減っていきます。
なので、MCSに専用対策をする場合はキャラクターに攻撃をさせない訳ですね。


『専用対策』

 自分に向けて飛ばされた欠片を、魔力放出によって吹き飛ばし、火球はかわすまでもなく高い対魔力で無効化され、盾による突撃は、剣の一撃で返り討ちにする。

 

 

 三体の英霊の連携を捌く。聖剣を放ってから十分ほど、アーサー王はここまで一度も自分から攻撃をしていない。マシュはカウンターを受けながらも繰り返し食らいつき、クーフーリンは順調に宝具を発動させるための魔力を練っている。

 

 立夏達生身の人間は、人数で上回っているのが功を奏しているのかと思ったが、英霊達はアーサー王が手を抜いていることに気付いていた。

 

 

 クーフーリンは違和感を抱いた。あの騎士王は騎士らしく真剣勝負を好むのだ。性質が変わっていても根っこは同じハズで、どんな相手でも手を抜くことはしない。

 

 何か理由があるのか…そう考えた時、MCSの能力を思い出した。

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

____!!

 

 MCSを見る。相変わらず傷一つない、真っ白な立方体だ。

 

 

しかし、存在は薄まって、いくつもの光に包まれていた。クーフーリンは、MCSがどんな状況かをすぐに理解した。

 

 

 MCSは座に還ろうとしている。悔しさから歯噛みする。騎士王の意図がようやく分かったのだ。

 アーサー王は、何でか知らないがMCSを知っている。そして、手を抜いているように感じる立ち回りは、単にMCSを倒すのに必要なことをしていただけなのだ。

 

「MCS?どうしたのMCS!?」

 

 立夏もMCSの異変に気付き、心配の声をかける。クーフーリンは、舌打ちしながらいつでも宝具を発動できるように準備を整えた。

MCSは立夏に応えず、アーサー王に問い掛けた。

 

 

『…やっばり、いつかにお会いしましたよね?セイバーオルタさん』

 

 もちろん、その言葉は届かない。しかし、自分が話しかけられている事も、何を聞かれているのかも直感で察しているアーサー王は答える。

 

「私には貴方との記憶はない。だが、貴方が何者なのかを教えられた。故に貴方の力を知っている。

 

 

____申し訳ない、異界の戦士よ。貴方を倒すのに必要だとはいえ、貴方に私の全力を見せられなかった。私は彼等を見極めなければならない。

 

機会があれば、その時は()()()全力で戦おう」

 

 一同には彼女の言葉の意味はあまり分からなかったが、MCSには通じたようで頷いている。

 MCSは立夏の方を向いて、最後になる言葉を伝えた。

 

『マスター、私はここまでみたいです。あんまりお役に立てなくてごめんなさい。

 

初めて人とお話できて、本当に嬉しかったです。

マスターはいい人です。マスターなら、たくさんの人が力を貸してくれます。だから、私がいなくても大丈夫です。

 

 

あなたたちの旅路がどうか、幸せなものでありますように』

 

 

 MCSが地面に墜ちて、姿が消えていく。薄れていく意識の中で、MCSは立夏が泣き叫ぶ声を聞いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハッと意識が戻る。自分がいるのが、穴を塞いだ場所に戻っていることに気付く。

 

 あそこでは色々な事を体験した。骨だけの人とか、すごく大きい人と戦った。あの場所では、自分はそこまで強くなかったけど。そのせいでセイバーオルタさんにも負けてしまったし。

 

 

 でも、初めて人と話せた。

 

 思い出すと嬉しくて堪らない。まるで夢みたいだ。

 

 

 

…さっきまでの出来事が、本当にただの夢に思えてきた。穴はもう空いていない。自分があの場所にいた証拠は何もない。疲れて眠って、その間に夢を見ていただけなのかもしれない。

 

 

 悲観的になっているMCSの心の中に、誰かの声が響いた。

 

『MCSさん、聞こえますか?』

 

 突然誰かの声が聞こえて飛び上がる。辺りを見回しても誰もいない。寂しさからか、幻聴まで起きてしまったようだ。思わず溜め息を漏らす。

 

『MCSさん?今私はあなたの心に話しかけています。念話と同じようなものです』

 

 声が教えてくる。幻聴ではないみたいだ。それにしても念話とは便利なものがある。

 

 

 

…あの知り合いの魔法使いなら、念話ぐらいは使えそうだけど。使えるのに話してくれなかったなら少し傷付く。

 

『MCSさん?』

 

『あっ、すみません。少し考え事をしてました。それで、私に何かご用でもあるのでしょうか?』

 

『はい、あなたに頼みたいことがあるのです。

あなたが訪れた我々の世界は、何者かによって人類史が焼却____滅ぼされてしまったのです。あなたには、カルデアの人理救済に協力してほしいのです』

 

『人理救済…ですか。でも、私にはあなたたちの世界に行く手段はないですよ?』

 

 知り合いの魔法使いは別世界に行く手段を持っているけど、自分以外には使えないらしい。

 

『大丈夫です。そこは私が少しカルデアの召喚システムに干渉をして…』

 

 意味はよく分からないけど、なんだか物騒なことをしようとしているらしい。

 

 

『まあ、召喚をするまで時間がかかるので、しばらくここで待っていましょう』

 

 そう言われたが、話せる相手がいるうちは話しておきたい。それに聞きたいことだってある。謎の声に質問をする。

 

 

『貴方は、何者なんですか?』

 

『あなたのマスターもあなたに同じ質問をしましたね。

何者か…答えづらいですね。考えておくので、他の質問をどうぞ』

 

 聞きたいことがあるのがバレていた。それならしっかりと聞いておこう。

 

『セイバーオルタさんに私のことを教えたのは、貴方ですか?』

 

『ん、何で分かったんですか?』

 

 誤魔化しすらしないのか、図太い。

 

『話のネタ程度に聞いてみただけなんですが…逆に何でそんなことをしたんですか?』

 

『我々の世界に異物はいらないと思いまして。でも、その後に人理救済の協力者は一人でも多い方がいいと判断しました。気を悪くしたならごめんなさい』

 

『いえ、最近は私と戦う方が攻撃をしてくれることは少ないので。むしろ久しぶりに攻撃してくれる方と戦えて満足です』

 

 遠慮も無しに異物扱いとは、いい性格をしている。

 

 

 

 

『あ、そろそろ召喚されますね。それでは行きますよ』

 

 そう言うと、眼前にあのとき塞いだものと同じ穴が出てきた。

 

『これにあなたたちで言う力を注ぎ入れれば、再び我々の世界に行くことができます。その間あなたの世界では何もできませんが、よろしいですよね。

できれば力を多めに注いでいただきたいです。…コホン、ではよろしくお願いします』

 

返事をするまでもない、不甲斐ない結果に終わるのはもう嫌だ。前の4倍ほど力を注ぎ込む。穴は急速に閉まっていき、意識もまた薄れていく。その中で、

 

『ああ、そういえば私が何なのかをまだ言ってませんでしたね。

 

 

____私はアラヤ、人類の存続願望の総意。その中の形成人格の一つです』

 

 そんな声が聞こえた______

 

 

 

 

 

 

 そして、

 

 

「MCSうううぅぅぅぅぅ!!!」

 

 号泣しながら抱きついてくるマスターを泣き止ませるのに、MCSはとても苦労するのだった。




誤字・脱字報告よろしくお願いします

\ふぅ…/
□ =3

次回は召喚です。
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