赤い帽子の真ん中に、きらりと輝く円いライト。青いツナギに身を包み、背負うリュックには夢と希望とこれから見つける財宝を。
効果:
自身にガッツ状態を付与(2回・HP1回復)&体力が1になる【デメリット】
マシュの中の何かが切れた。
フランス兵とコミュニケーションを取ろうと接触し、結果怪しまれて武器を向けられたマシュ。
どうすればいいか相談しようとして、そこでやっと、近くに立夏がいないことに気が付いた。
「先輩…?マスター!」
後ろを振り向く。フランス兵の持つ灯火が、暗闇の中の地面を照らしている。しかし、彼女のマスター、藤丸立夏の姿は見えない。
まさか置いてきた!?
平静を失い、パニック気味にフランス兵に盾を振り下ろそうとした、その時だった。
■■■■■■■■■■■ーーー!!!
辺りに雷鳴のような、獣の咆哮のような轟音が響いた。
あまりの音量に思わず体を硬直させる。雷でも落ちたのかとマシュは思ったが、それなら稲光が瞬き、視界は真っ白になっているハズ。しかし、以前変わらず視界が真っ暗のままだったので、どうやら雷ではないようだと考え直した。
なら、何の音だ?
「…よ、夜の魔女だ、夜の魔女が出たぞ!今すぐ撤退だ!」
マシュが轟音に意識を向けている間、フランス兵達は呆けた顔で棒立ちになっていたが、一人が気が付いたように大声を出すと、ガシャガシャと慌ただしく防具を揺らして砦があるらしい方向へ走り去っていった。叫び声の中には怪しい単語が混じっていたが、マシュにはそれを気にする余裕はなかった。
先輩が危ない。
「マスター?マスター、どこですか!」
立夏を呼ぶ。はぐれたと言ってもそれほど離れたわけではない。無事なら自分の声は確かに聞こえて、返事ができるぐらいの距離のハズなのに、立夏は何も答えてくれない。頭を占める嫌な予感から目を背けて立夏を呼び続けた。
♪ー ♪ー♪ー ♪ー
唐突に電子音が聞こえた。疑問に思うこともなく、マシュはそれが聞こえた方向に駆け出した。
切れた何かは、再び繋がっていた。
顔が痛い。起き上がって顔を拭う。
目を開く。何も見えない。
目を擦ってもう一度見てみる。やっぱり何も見えない。
何度かそれを繰り返して、そういえば気を失ったんだったかと思い出した。
…
えっと。ちょっと意識がぼやぼやしてる。俺藤丸立夏。特異点になったフランスに来てて、夜だからなのか急に睡魔に襲われて、えぇっと…
「…ター、マスター…!」
あ、マシュの声…あぁ、そうだ!マシュが一人でフランスの人と話そうとして、それで慌てて追いかけようとしたせいでつまずいたんだった!きっとマシュ心配してるよな。言っても俺も暗くて不安だし、マシュを呼んで来てもらおう。
「おーい、マシュー!ここ、ここだよー!」
「マスター…先輩!今行きます!」
藤丸立夏は気付いていない。自分が襲われたことも、自分の身に起きた異変にも。
ポケットの中に入れっぱなしの人形の、頭が無くなっていることにも。
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