Fate/MugenOrder   作:ゴミ君

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MCSが出てくるのは次回からです、ご了承ください。

作者もやらかしてこの話を誤削除しています、主人公を笑えません。


プロローグです
主人公のやらかし


「「――――――告げる」」

 

 燃える廃墟の中。

 

 炎が爆ぜる音に混じり、二つの声が響く。片方は女の声で、それは迷いなく言葉を紡いでいるが、もう一つの少し遅れて聞こえてくる男の声は、たどたどしく、照れの混じった声で言葉を発していた。

 

 声が重ねる言葉は、日常生活の中で使われる事はほとんど無いようなものばかりで、それが彼らがただ者ではないこと、あるいは変人の集まりだということを表していた。

 

 

 男の声の主、藤丸立夏は平和を満喫する日本人で、せっかくの夏休みを家でだらだら過ごすような、そんなどこにでもいる男子高校生だった。

 

 

 それが、なんで燃える街並みの中で声を張り上げて、意味も分かっていないメモを朗読しているのか。

 事の発端は、彼に向けて送られた、ある一枚の手紙だった。

 

 

 

 

 

 

 俺は、『人理継続保障機関カルデア』なる、なんだかえらい人がたくさんいそうなところからの手紙を両親と一緒に強視していた。書いてあることがほとんど難しすぎて分からなかったが、俺にそのカルデアとやらに来てほしいというのは理解できた。

 

 

 でも、俺はカルデアなんて聞いたこともないし、夏休みはぐーたらすると決めたからバイトの応募もしていない。つまり、こんな手紙が来るのはありえないんだ。

 

 そもそも、カルデアとやらがどこにあるのかも書かれていなくて、空港で職員に手紙を渡せばいいとか怪しすぎる。

 正直無視して済ませたかったけど、バイト代らしい、バイト代とは思えないぐらいに0が付いた数字と、旅費全額負担という文字を見た両親、特に母親がそれを許してくれなかった。

 

 

 母は言った。金に目が眩んだような、満面の笑みで。

 

 

「夏休みの間だけ行ってみたらいいじゃない!ほら、社会経験だと思えば!」

 

 

 父は言った。たった一言、とても威厳の込められた声で。

 

 

「お土産、期待してるぞ」

 

 

 

 お母さん、年内には帰れそうにありません。

 

 お父さん、お土産は話だけで我慢してください、しろ。

 

 

 

 

 

「…誓いを此処に。」

 

 着いてからいくつか、カルデアに対して言いたいことができた。

 

 

 ひとつめ、手紙に防寒着必須って書かなかったの絶対に許さないからな。

 

 ふたつめ、所長も先輩呼びしてくれた後輩ちゃんも可愛すぎだろ最高かよ。

 

 みっつめ、魔術はともかく、エイレイとか特異点とか言われても俺にはさっぱりだけど、残念な物を見る目で見ないでほしい。

 

 

 所長には話が難しかったから寝てしまってぶたれたし、後輩ちゃんには、多分変な笑顔で近寄っていたんだろうな。割り込んできた白いリスみたいなのに顔を蹴られてしまった。両頬が赤くなっちったけど、どっちも自業自得だからしょうがない。

 

 所長に引っ込んでいろ的な事を言われたので割り当てられた部屋に入ると、部屋の中には幸せそうにアイスを食べている、白衣を着たポニテ男がいた。

 

 

 その人はロマニという名前で、医者をやっているそうだ。

 俺の部屋でサボっていた事を謝ってきたけど、そんなことより、紫だったりオレンジだったり若いのに白髪だったりと、色々な髪の色の人がいることが気になった。

 それを聞いてみたら、ここには世界各国から優秀な人がたくさん集まってきてるから、髪の色が珍しい人がいても不思議じゃないと答えられた。

 

 その後も、後輩ちゃんかわいいよね、とか、所長気が強いけどちゃんと友達いるのかな、とか色々話していた。

 

 

 

「「我は常世総ての善と成る者」」

 

 

 

 それは突然だった。

 

 

 救急車に付いてるようなランプが視界を真っ赤に染めた。それと同時に警報がけたたましく鳴り響いて耳をつんざく。

 どこかで何かがあったらしく、ロマニさんが安全な場所に避難をさせるから付いてきてと言ってきたが、俺は何故だか、後輩ちゃんがひどい目に遭っているような気がして、いてもたってもいられずに部屋を飛び出して所長がスピーチをしていた場所へ駆け出した。

 

 

 

 その部屋は、さっき見た記憶の中の部屋とは変わり果てていた。炎が部屋の中を侵し尽くして、落ちてきた瓦礫は骨組みが剥き出しで見るも無惨な姿になっている。

 こんな状態じゃ、誰も生き残れてないんじゃないか、今からでも逃げるべきじゃないか。そんな考えを断ち切って後輩ちゃんを探す。名前を大声で呼び続けながら。

 

 

 いた、瓦礫の下に。

 

 頭から血を流している。ぼんやりと遠くを見つめたその目には何も映っていなくて。

 何もかも諦めて、ただただ死を待ってるようなその様が、とても我慢できるようなものじゃなかった。

 

 

 諦めるなと叫びながら駆け寄って、瓦礫から抜け出させようと腕を引っ張る。遠目が帰ってきたけど、その顔が苦しそうにゆがんだし、ちっとも動きそうにないから断念する。

 

 それならと瓦礫をどかそうと押してみたけど、重すぎてやっぱりちっとも動かない。

 

 

 後輩ちゃんが悲しそうにこっちを見た。なさけない。助けに来たのに、助けられない挙げ句に悲しませるなんて。

 

 多分もうすぐここは崩れる。そうしたらきっと俺も死ぬ。

 死ぬのは怖いけど、それは後輩ちゃんだって同じハズだ。俺には何も出来なかったけど、せめて後輩ちゃんが怖がらずに逝けるようにと、彼女の手を握った。

 

 光が視界を埋め尽くす。眩しくて思わず目を閉じた時、レイシフトという言葉が聞こえた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 目を開けたらやっぱり瓦礫まみれだったけど、天井が無くなって、地面がコンクリに変わっていた。

 

 訳も分からずに歩いていたら、人影が見えたので近付いていった。

 

 

 …結構近くまで来たのに、未だに輪郭しか見えない。それを不思議に思っていると、その人影が振り向いた。

 

 

 

 

 真っ黒だった。顔も体も、全部が全部。

 

 怖くなって逃げ出したのは間違いじゃなかった。いつの間にか手に持っていた鎖の付いた鎌を、俺を追い掛けて振り回してきたからだ。

 

 人を殺せる道具と一緒にぶつけられた初めての感情に、俺は身体中が冷えていくのを感じた。なのに心と頭は燃えるように熱くなっていて、近付いてくる死から逃げろと全細胞に命令した。

 

 

 逃げた、不格好に。逃げた、顔を涙やらでぐちゃぐちゃにしながら。逃げた、振り向かずに。逃げた、後ろから聞こえる足音が近付いてくる。逃げて、逃げて、逃げて…足元の瓦礫に気付かずに、足を引っかけた。

 

 勢いよく前のめりに倒れる。必死に起き上がろうとして、逆に時間をかけてしまう。なんとか半身だけ起き上がって、ふと振り向いた。そうしたら、

 

 

 自分の顔を狙って投げただろう、鋭い金属が光るのが見えた。

 

 

 

___ガギッ!!

 

 

 その音があの金属が弾かれた音だと分かったのは、目の前に大きな何かを構えた、見覚えのある後ろ姿があったからだった。

 

 

「先輩!無事ですか!?」

 

 ああ、そしてこの声。それに自分を先輩と呼ぶ。間違いない。

 そこには、血まみれで動けそうになかったハズの後輩ちゃん____マシュちゃんが立っていた。

 

 

 …何でか知らないけど、男の欲望が詰め込まれたような、露出の多い服を着て。

 

 

 

 マシュちゃんが黒い人(シャドウサーバント?)を殴り飛ばしてから、現状確認をした。

 

 まず、なんでいつの間にか外にいるのか。

 

 ここは特異点という場所で、レイシフトという技術を使って来たらしい。詳しく知らなくても今は困らないとのことだ。

 

 

 次に、さっきまでボロボロだったマシュちゃんが元気になってることとか、あんなに重そうな盾を振り回せる理由を聞いた。

 レイシフトの時に誰かに助けてもらって、一緒に力を授かったのは分かってるけど、名前を聞けなかったとのことだ。帰ったらマシュを助けてくれたお礼をしないと。

 

 

 最後にどうやったら帰れるかを聞くと、ここには聖杯という凄いものがあるから、それを回収しないといけないらしい。

 じゃあどこにあるのかと聞くと黙ってしまったから、地道に探すしかないんだと察した。

 

 

 あと、何故かマシュちゃんがちゃん付けじゃなくて、呼び捨てで呼んでほしいと言ってきた。顔が真っ赤だったけど、周りが火だらけだから暑いのかな。無理はしないでほしい。

 

 

 

「「 我は常世総ての悪を敷く者」」

 

 

 

 それからは色々あった。

 

 

 さっきとは違うシャドウサーヴァント(マシュに訂正された)に追われてる所長____オルガ所長を見つけたり、クーフーリンさんという、青髪の杖を持った現地の英霊(所長から教わった)と遭遇して、協力関係になったりした。

 

 

 クーフーリンさんと同じように、シャドウサーヴァントになってない弓を持った人は手強かったけど、何とか勝つことができた。

 

 

「このままじゃ、俺たちアイツには勝てないぜ」

 

 そう言ったクーフーリンさんの顔は、戦っているときのように真剣だった。この先に待ち構える英霊、騎士王はとても強力で、自分とマシュだけじゃ押しきられてしまうだろうとのことだ。せめてランサーだったらと嘆いているが、杖を相手に突き刺せる時点で魔術師よりではないと思う。

 

 それはそれとして、勝ち目がないならどうすればいいんだ。そう訊ねると、クーフーリンさんは身を乗り出して、

 

 

「決まってるだろ?英霊召喚だよ」

 

 そう答えた。

 

 

 

「「汝三大の言霊を纏う七天」」

 

 

 

「セイバーかランサーが理想的だが、この際前衛なら何でもいい。任せたぜ?」

 

 

 そう言うクーフーリンさんが、ランサーの部分を強調してたのは、きっと自分だけは呼ぶなということだと思う。もしそうなっちゃったら気まずいしな。

 

 所長が常備してたメモの文章も、次で最後だ。何回か噛みそうになったから、もうさっさと読み終わりたい。

 

 

 

 思えば今日は濃い日だった。生まれて初めて海外に来て、珍しい色の髪の人と会ったり、死にそうな目に遭ったりもした。絶対にこの日は忘れられないだろうと苦笑いしつつ、最後の一節を読み上げる。

 

 

 

____思えばそれは必然だったのかもしれない。猛暑に溶けかけていたのに、雪山の中にそびえるカルデアを、防寒着も着ずに訪れた。かと思えば、炎だらけの特異点の中で。熱すぎて炎から離れると、妙に肌寒く感じた。

 夏はクーラー、冬は暖房が相棒の日本人、立夏にとってその温度差は殺人的だった。故に____

 

 

「 抑止の輪より来たれ、天秤、の、ま、もり、どぅえぇいッッくしゅあ!!」

 

 

____俺は、俺は悪くない。

 

 

 藤丸立夏は、正常ではないと分かるような、あらぶる光を前に、そんなことを思うのだった。




誤字・脱字報告よろしくお願いします

当作品に出てくるキャラクターの元ネタであるMUGENについてご説明させていただきますが、長いのでキャラの多いスマブラだと思っていただければ大丈夫です。

MUGENとは、パソコンの格闘ゲームで、無料でダウンロードすることができます。

『ストリートファイターのリュウと、北斗の拳のケンシロウを戦わせてみたい!』

そんなドリームマッチを実現させたり、オリジナルのキャラを作ってそのキャラを戦わせることが可能です。

自由に作れるので、スペランカー(アクション)やビッグバイパー(シューティング)、マリオのステージ(1-1)まであったりします。

本作に登場するMCSは、神キャラという
『格闘ゲームしていないランクのキャラ』のイメージが大きいですが、序盤は並キャラ(普通の格闘ゲームのキャラと同等の実力)ぐらいの実力です。型月で言えば少し鍛えている一般人程です(宝具やスキルはありますが)。

神キャラについては、[MUGEN 神キャラ]とユーチューブなどで検索していただければどんな感じか分かります。
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