未知との遭遇
穴が空いている。それも、壁や地面等ではなく空間に。
知り合いの魔法使いが話していた。あれに近づくと、力を吸われて、とても消耗させられてしまうらしい。
塞ぎ方も聞いている。穴が無くなるまで、力を注ぎ続ければいいらしい。
こんな危ないものは放置していてはいけない。早速穴に近づいて、力を注いだ。
暫くすると、穴が少しずつ小さくなっていって、最後には無くなった。
それを見届けて、消費した力を補充するために休憩することにした。
・・・人が恋しいなぁ
「何やってるのあなた!よりにもよって詠唱の途中にくしゃみするなんて!」
待ってくれ所長、寒かった、寒かったんだよ。雪山に人を呼び出しておいて防寒着もくれなかったあなたたちにも責任はあると思うんだ。
いや、でもこんな大失敗も、年末ぐらいにはきっと笑い話とかになってるんだろうな。マシュと一緒のこたつかぁ…
_____!!!!!!_____
現実逃避をしまくることで自分の失敗から逃れようと思ったが、召喚サークルが物凄い音を立てたので失敗してしまった。なにアレ、大怪獣でも出てくるんじゃないの?クーフーリンさんに聞いてみると、
「さあな。詠唱を失敗するヤツなんて今までいなかっただろうからよ、鬼や蛇ならまだマシだろうよ」
と言われてしまった。でもクーフーリンさんは、呆れるような視線をこちらに投げつつ、杖の先を召喚サークルに向けている。ピリピリした雰囲気がここまで飛んできて、自分が大きい失敗をしたのを理解した。
クーフーリンさんの様子をじっと見ていると、マシュが目の前に躍り出てきた。守ろうとしてくれるのだろうか、失敗したのは俺なんだから見捨ててしまってもいいのに。ありがとう、ありがとうマシュ。でも、
「マシュ!盾!盾がないんだから下がって!」
召喚のために必要だと所長が言っていたので、マシュの盾を借りていた。おかげで盾は召喚サークルの中だ。
「大丈夫です!マシュ・キリエライト、先輩の壁になってみせます!」
そう言いながら両手を広げて、仁王立ちをしてみせた。無茶だと言おうとしたけど、マシュの足が震えているのが見えて、マシュも無茶だって分かってるんだと気付いた。それでも、なんで俺なんかを守ろうとしてくれるんだ。そんな事を考えていると、召喚サークルから出てくる光が一際強くなった。
「出てくるぞ!」
クーフーリンさんが叫ぶ。とても強い風が吹いてきて、マシュの全身にぶつかっている。所長はいつの間にか残骸を壁にしてうずくまっている。俺はどうすればいいんだ。俺は…
いや、一つあった。
話すこと、これぐらいしか俺にはできない。でも、クーフーリンさんは英霊は大体が人だと言っていた。つまり話せるってことだ。
友達からは聞き上手で話し上手だと言われた。どんなに気難しい人でも、話ぐらいは聞いてくれるだろう。
覚悟を決めて光を見据える。あの光の中にいるのがどんな人だったとしても、せめて協力ぐらいは取り付けてしまいたい。
____藤丸立夏は忘れていた。自分の予想した、『大怪獣が出てくる可能性』を。実際、怒濤の展開に彼の頭がついていかずパニックになってしまっていたので、これはしょうがないことだろう。
光が弱くなっていく。誰が喚ばれたのか、ここに来て優しい人だったらいいなぁ、等と呑気な事を考えている将来のカルデアのマスターの前に姿を顕したのは_________
穴に放り込まれる(自分に)
この話で出てくる『力』というのはパワーゲージのことです(必殺技を使うのに必要なゲージ)。
転移?したMCSはMUGEN世界のMCSが注いだ『力』の塊です。
次回は出会いです。
誤字・脱字報告よろしくお願いします