…あれ、ここ、どこだろう。確か穴を消して疲れたから休んで、そのあとは…
…思い出せない。それに、さっきまでいた場所は燃えてなかった。でも、目の前は炎でいっぱいだ。
ん、目の前に人がいる、嬉しいな。とりあえず起きなきゃ。
ええっと、青い人と、大きい盾を持ってる人と…その後ろに二人いる。
起きてる間に攻撃してこなかったけど、いつでも攻撃できるようにしてるから、私のことは知らないみたい。
「…あなたは、何者ですか?」
後ろにいるうちの男の人が話しかけてきた。私はMCSだけど…違うよね。多分、私が敵か味方を聞きたいんだよね。声が恐る恐る、って感じだし。
でも…この人たちがどういう人なのか分からない。もし悪い人だったら、戦わないと。勝てるかどうかは別として。周りをこんな風にしたなら逃げるわけにもいかないしね。
…うん、決めた_____
光の中から現れたのは、白い立方体だった…
これは、人なのか?英霊は人じゃないのか?
いや、そもそもこれは生き物なのか?なんか地面に転がったままだけど。
うわ!浮き上がった!なんか変な角度で回ってる…。ってことは、生きてるのかこれ。でも人じゃないよな。クーフーリンさんに聞いてみるか…
その時のクーフーリンさんの顔は、忘れられないものだった。
所長曰く、クーフーリンさんはケルトの戦士で、戦うのが大好きらしい。聞いたときはこの人が戦闘狂なんてそんなまさかと思った。まあ、マシュが宝具を使えるようにしてくれたときにその意味はよく分かったけど…。
否、自分の中で分かったつもりでいた。
クーフーリンさんはその時、笑っていた。何かが面白かったからか、違う。
あの笑顔は、獲物を見つけた獣が見せるような、そういう表情だ。
ヘビに睨まれたカエル、という言葉を思い出した。自分に向けられたわけでもないのに、体が震えて動けなくなった。
同時に、あの辺りを見回している立方体は、クーフーリンさんにそんな顔をさせられる実力があるのだと気づいて、立方体も恐ろしくなった。
_____何をしてるんだ俺は!せめて話すって決めただろ!それぐらいできなくてどうする!
怖くてしょうがない。もしかしたら殺されてしまうかもしれない。でも、何もしないのは嫌だ!
声を出すのを拒む気持ちを押さえつけて、無理矢理声に出す。
「あなたは、何者ですか?」
言葉に反応したのか、立方体は此方を向いた。頼む、戦うのだけは勘弁してくれ…!
立方体は、
こっちに近付いてきた。なんだ!?何をしてくるんだ!?俺は食べても美味しくないぞ!?
危険だと思ったのか、クーフーリンさんが五つもの火球を立方体に向けて飛ばして、マシュも立方体を盾で勢いよく殴りつけた。散々戦ったガイコツなら、跡形も残らないような攻撃を、立方体は耐えていた。
違う。その立方体は、攻撃なんてされなかったかのように傷一つなくて、ダメージを負った風ですらなかった。
強いんだろうとは思っていた。でも、二人を無視できるレベルなんて…。立方体がすぐ近くまで来た。先に攻撃したのはこっちなんだから、きっと仕返しをするんだろう。自分の死を想像して、恐怖で目を瞑った。
…腹の辺りに違和感を感じる。痛みというより、くすぐったい感じだ。不思議に思って目を開けてみると…
__! !
立方体が俺の腹に向かって擦りよっていた。改めて近くで見てみて気付いたことだが、尖っているように見えた角は丸みを帯びている。堅いのに擦りよられて痛くなかったのはこのお陰か。
…それにしても、こうもじゃれつかれると家で飼ってたもここを思い出すなあ。人懐っこくて、誰にでも可愛がられるような子で。元気にしてるかなぁ…。
ん?なんで今もここが出てくるんだ?あの子は大切な家族だ。それが立方体に擦りよられて浮かんでくるのはおかしくないか?いや、ひょっとすると…
俺はこの立方体を可愛いと思っているのか…?
…なるほど。それなら納得がいく。
立方体を抱きしめる。マシュ達が何か言っていたが気にしなかった。
ひんやりしてそうだと思ったが意外と暖かい。立方体は、擦りよるのをやめてされるがままになっている。うん、やっぱりこの子はいい子なんだろう。攻撃されたのに全く気にしてないみたいだし。名残惜しいがハグを解いて向き合う。
「力を、貸してくれるかな?」
立方体の子が、頷いたような気がした。
MCSはかわいい(断言)
兄貴が興味を向けたのは、勘でMCSの場数の多さを察したからです。
誤字・脱字報告よろしくお願いします