Fate/MugenOrder   作:ゴミ君

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オム君かわいいですよね。


Let's対話

『えっと…じゃあ、君は本当に力になってくれるんだね?』

 

 困惑を含んだ声でロマニが問う。MCSは、頷くような身振りをすることでその言葉に肯定した。

 

「信用できるわけないでしょ!?何で英霊召喚を行ったのに、こんな…こんな、よく分からないものが出てくるのよ!?」

 

 オルガは叫んだ。当たり前だろう。

だって、眼前で浮いているこの立方体は間違いなく歴史に名を残した存在ではない。

 

 何故断言できるのか。それは、職業柄歴史や神話等に詳しいオルガですら、立方体が出てくるような話なんて何一つ聞いたことがなかったからだ。

 

 

 それに、攻撃を仕掛けたことを気にしないどころか、その集団の一人に甘えるなんて謎な行動をする謎の物体を信じることなど、オルガにはとてもできなかった。

言葉にはしないが、マシュもクーフーリンも同じ気持ちだった。

 

 

「大丈夫です、所長。この子は敵じゃないです。だって、かわいいもん」

 

 MCSをかばう発言をしたのはカルデアの臨時マスター、藤丸立夏だった。MCSを抱っこしながら発したその意見は、MCSを不審に思っている面子を納得させるには説得力が全く無かった。

 

 

______いや。それよりも。

 

この男は今、なんと言った?_________

 

 

「「「『かわいい…?』」」」

 

「はい。かわいいじゃないですか、この子」

 

 

 

 反応はそれぞれ多様だった。

立夏がいかれてしまったと錯乱するロマニ。元凶があの立方体にあるのだと考え、立夏とMCSを引き離したオルガ。その手段が魅了スキルであると推測したクーフーリン。マシュは狂ってしまった立夏を正気に戻そうと必死に呼び掛けた。

 

 

 もちろん立夏はこの反応にいい顔をしなかった。

 

 まず自分はいかれていない。いかれてはいないが、こんな目に遭わされた分の誠意は見せてほしいと思う。

 

 MCSに魅了されたのは事実だ。だが、それは魔性とかそんなものではなく、純粋な愛らしさに心を奪われただけなのだ。だからこの子は悪くない。

 

 そう思わせるのが魅了スキルの恐ろしいところだと知らない立夏はそんなことを考えていたが、最初は自分も不気味に思っていたことを思い出し、しょうがないことだと己を納得させた。

 

 

 良さが分からないなら、教えてあげればいいのだ。彼は深呼吸してから、皆に向き直った。

 

「皆」

 

 立夏が声を発すると、彼らは自分の行動を止めて彼に目を向けた。この反応に彼は分かってもらえそうだと期待するが、実際は正気に戻ったのか、あるいは魅了が解けたのかと淡い期待を抱かれているだけだったりする。

 

「あれを見てほしい」

 

 立夏が指し示した方向を見る。

 

 

 そこには、独特な角度で回転する立方体があった。何をしてくるでもなく、こちらを観察しているように感じる。

 

…意図が掴めなかった。立夏は何かを成し遂げたような顔をしている。ますます分からない。

 

 

 彼は嬉しそうにこう言った。

 

「ね?かわいいでしょ?」

 

 

「え?何が?」

 

 

 それは誰の声だったのか。あるいは声が重なって一人の声に聞こえたのか。

 

 

 立夏は怒った。自分の気持ちを分かってもらえない理不尽に。それと同時に、必ずこの分からず屋達にこの子の良さを分からせてやるのだと胸に誓った。

 

 

 オルガ達は困惑した。何度見てもその姿はただの立方体であり、それをかわいいとはこれっぽっちほ思えない。良さを語られても、あの回転がいいのだとか角が実は丸いのがいいのだと意味が分からない。

 

 やはり彼は狂ってしまったのだ。そう結論付けた彼らは、MCSをどうにかしてしまおうと考えた。

 

 

 そこからは、まるで捨て犬を拾ってきてしまった子供と、元の場所に戻せと説得する親との口喧嘩のような一幕があったが割愛する。

 

 

 

 普通の説得では終わらないと考え、頑なにMCSをかばい続ける立夏の態度に疲れ果ててしまったロマニは、やけくそ混じりにこう言った。

 

『もうさ、いっそアレに話を聞いちゃえばいいんじゃない?』「それだあ!」

 

 適当に言った意見に立夏が異常に食いついてしまった。

 

 もしかしたら過ちかもしれない発言をロマニが悔いる時間もないままに、立夏はMCSに向かって話せるかを聞いた。

 MCSは首を振るような動作によって、それはできないのだと返事をした。

 

「ちくしょおおおおおおおおおお!!!」

 

魂の叫びを放っている立夏の口をクーフーリンが塞いだのを横目に、ロマニはMCSに確認を取る。喋ることができないだけで、言葉は理解できているのかと。MCSは頷いた。

 

『なら大丈夫だ。念話を使って会話することができる。立夏君とだけだけどね』

 

 

 その言葉に立夏は残像が残るほどの速さでロマニに首を向けた。MCSもどことなく驚いている素振りをしている。

 

「念話ってどうやるんですか!教えてロマニさん!いや!ロマニ様!」

 

______!___!!______

 

『ヒッ、えぇっと…テレパシー?みたいな感じで、心の中で相手に話しかける感じ、かな?サーヴァントの契約をする必要があるけど…』「する!するよね!?」

 

______!!______

 

 

 食いぎみに念話の方法を聞く立夏と、言葉こそないものの知りたいアピールなのか空中を跳ねるMCSに引きつつもやり方を教える。契約、つまり完全にこちらの味方にならないといけないことを教えるが、双方とも気にならないようだ。

 

 

「俺の矛となり、時には盾となってください!」

 

______!______

 

 MCSが言葉に対して頷く。立夏の右手の令呪が一瞬発光した。契約が成立した証だ。

 それと同時に、立夏は目をつぶった。早速話そうとしているようだ。

 

(届け届け届け届け届け届け届け届け届け届け)

 

『は、はい。そんなに繰り返さなくとも、届いていますよ』

 

 カッと目を見開いた。瞳が揺れて、直後に表情がとても嬉しそうなものに変わる。成功したらしい。

 

 ロマニは苦笑しながらも、今日見てきた中で一番喜んでいる立夏を見ていた。




次回は未定です。
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