7月31日、よりマーリンらしい口調に訂正及び、内容の補足を増やしました。
やあやあ。みんな大好きマーリンさんだ。突然だが今日は我らが王の話ではなく――
――何処にでもいる英雄の話をするとしよう。
焼却する人理、大多数失われたマスターの代わりに人理を救うこととなった魔術師としては素人同然のマスター。
その者は共に人理を救う仲間を捨ててでも人理を救う、という「正義の味方」を義務付けられた、と言ってもいいね。
だが彼の心は人を見捨てる、といった行為を容易に出来る程強くなかったみたいでね。
だから壊れた。表向きはマトモに見える、でも直ぐに限界が訪れてしまったらしい。その過程であの
その呪いとは「目の前で大切な人が殺されると暴走する」…だったかな?呪いを授けた人が人だったからこれはゲッシュ、と言う形となった。その代わりあらゆる強さに関わる事の技量に限界が無くなった。つまりは、彼は鍛えれば鍛えるだけ強くなる事が出来るようになったんだ。
検算を続け、英霊と身一つで喰らいつけるまでに成長した人理修復を目指すマスターへの祝福だ、と。授けた本人である狂王が言っていたが…まぁ、その真意は彼にしか分からないから置いておこう。
斯くして様々な困難を自身の知恵と、勇気と、力。そして仲間であるサーヴァントの協力もあって人理修復という奇跡は成された。だがその犠牲は多く、大切な物は数えきれない程に喪われた。
努力をしながら報われず、哀しき最期を迎えた少女。その在り方に共感し、彼女に惚れてしまった彼は彼女の死を見て恐怖を感じなくなった。彼女は怯え、そのせいで正常な判断が出来なくなって死んでしまったのだから自分はそうあってはならない、と。
彼を慕い、先輩と呼んでくれたあの可愛い後輩は彼を庇って盾のみを遺し消滅した。そして彼は目の前の存在に恐れを抱かなくなった。恐れが無ければ立ち止まる事も無いから、と。
彼を信じ、親友として共に戦ったあのドクターは最後まで彼の勝利を疑いもせずに自身の存在を消滅させた。友の死に彼は哀しまなかった。そんな暇があるなら目の前の友を殺した獣を殺せ、と。
しかし、現実はそれだけで終わらせてはくれなかった。
目の前で皆を励まし、支えてきた万能の天才、彼の胸が貫かれ、遂に呪いは最悪の形で解放された。只の獣へと成り下がった者は敵を殺しきれず、遂には倒れた。
そして未来は凍結され、救世主も消え去った。
「さぁそこの死に掛けのマスター?オレと共に英霊となって全てを救う真の『正義の味方』って奴になってみる気はねぇか?…ん?そもそも何でオレが此処に居るか、だって?そりゃあ…やな予感がしてな…少しマスターの貰ったウルクの大杯に泥として入ってたって訳よ。で?どうする?
…よしっ、そう来なくっちゃな!じゃ、先ずは他のマスターに呼ばれる事を祈って…少し休憩しな?」
しかし、この物語はそこから始まるのさ。さぁ、全てを失った英雄が、全てを救う物語を始めようか。