悟飯のハンター試験?   作:KTケイティ

1 / 5
お気に入り、感想、評価、ありがとうございます!
おかげさまで続きを書けそうです!



悟飯のハンター試験?

「いやぁー、悟飯ちゃんが買い物付き合ってくれて助かっただよ」

 

「お母さんにばかり負担をかけてはいられませんから」

 

前が見えなくなるほどの荷物を抱えながら、悟飯はチチの後ろをついていく。

 

「本当にいい子に育ったべ…悟空さもあの世でしっかり見ててくれるだよ…」

 

「それにしてもだいぶ買い込みましたね…」

 

「セルゲームからまだ1ヶ月も経ってねぇからなぁ。近くの町じゃまだ店も開いてねぇだよ。遠出したからにはたくさん買い込んでおかねぇと」

 

「でもザバン市なんて初めて来ましたよ。結構大きなところですね」

 

悟飯とチチは買い出しのため、パオズ山からザバン市へとやってきていた。

セルゲームから早1ヶ月。

落ち着きを取り戻した世界であったが、第一形態のセルによってもたらされた被害はまだまだ復旧の途中であった。

 

「悟飯ちゃん、お腹空いてねぇだべか?」

 

「そういえばもうお昼過ぎですもんね」

 

「ちょうどそこにご飯屋さんあるべ。ステーキ料理なんて滅多に作ってやれねぇからこういうときくらいこんな店行くべ」

 

「ありがとうございます、お母さん」

 

カラン カラン

 

お店に入ると、ダイニングの方から料理人が声をかけてくる。

 

「いらっしぇーい。2名様で?御注文は?」

 

「悟飯ちゃんが好きなの選んだらいいべ」

 

「すみません、そしたらステーキ定食でお願いします」

 

料理人は一瞬目付きを変えて聞いてくる。

 

「焼き方は?」

 

「うーん、ゆっくり食べたいしなぁ」

 

「じゃぁ弱火でじっくりでいいだべ。久しぶりに落ち着いた食事も悪くねぇでよ」

 

「あいよ」

 

「お客様、奥の部屋へどうぞー」

 

無愛想な料理人の返事とは裏腹に、明るいウェイトレスの案内の声が通る。

 

「うわぁ、個室なんてすごいなぁ」

 

「ほんとだべ。(おらの所持金で足りるだべか…)」

 

食事を始める悟飯たちであったが…

 

ウィーーーーーーーン

 

「…何か、この部屋動いてませんか?」

 

「そうだべか?おらは全然感じねぇけども」

 

チンッ

 

「ほら!おかしいですよ!"B100"ってなってます!」

 

悟飯が反応すると同時に、ゆっくりとドアがスライドして開いていく。

 

「こ、ここは…」

 

「どこだべか…」

 

薄暗い部屋には見渡す限りの人で溢れ返っていた。

悟飯は暗さに慣れていく目と共に、そこが巨大なトンネルのような地下道だと気づく。

 

「地下…100階…?お母さん、何かわかりますか!?」

 

「おらにわかるわけねぇべ…。たぶん間違いだで、とにかく帰んべ」

 

「そう、ですね。戻りましょうお母さん」

 

悟飯とチチは食事をしていた部屋の中に戻ろうとする。

だが、部屋の扉は既に閉じられていた。

焦る二人に上から声がかかる。

 

「もう戻れないよ」

 

壁の配管に腰掛けた男は気さくな感じで手をあげた。

 

「誰だべか?」

 

「よっ、オレはトンパ。新顔だね?親子で参加とは珍しいな」

 

「あのぉ、新顔とか参加とか、どういう意味なんでしょうか?」

 

「おいおいおいおい、まさか知らずにここに来たのかよ!?」

 

驚くトンパの横で、チチは番号札のようなものを渡されていた。

 

「ちょ、ちょっと待ってくれだ!おらたちは食事してただけでなんも知らねぇだ!番号札っち渡されても困るだべ!」

 

番号札を渡した小男も逆に困り顔になりながら、でも規則ですから…と返却を受け付けずに去っていく。

 

「まぁまぁ、落ち着いて。オレが説明してあげますよ。この場所、つまりここはハンター試験会場ってことよ」

 

優しい顔でトンパはなだめながら説明を始める。

 

「「ハンター試験!?」」

 

チチと悟飯の声が重なる。

 

「おっと、まさかハンター試験から知らないってことはないよな?」

 

「そりゃぁ知ってるだべさ…でも…」

 

「そのハンター試験さ。運良く、悪く、かもしれないが偶然にもこのハンター試験の会場に参加者としてたどり着いちまったっていう寸法さ」

 

そう言ってニヤリと笑うトンパ。

 

「あの、お母さん…ハンター試験って…」

 

「ハンターになるための試験だべ!どうやったら取れるかすらわかんねぇライセンスっていうのと、すんげぇお金持ちになれるっていう話だべ!…まさかそれに参加してることになってるだべか!?」

 

「その通り。オレはこう見えて試験のベテランでさ。せっかの縁だ、何でも聞いてくれよ」

 

「お母さん、どうしましょう…」

 

「決まってるだべ!悟飯ちゃん!ハンターになるだべ!」

 

「えぇぇえ!?やるんですか!?」

 

「当たり前だべ!こんな偶然滅多にないだべ!トンパさんにしっかり教えてもらうべ、悟飯」

 

すっかりやる気のチチに気圧されながら、しぶしぶと頷く。

 

「そんじゃまずはお近づきの印にこれだな」

 

ニンマリと笑顔を携えながら、トンパがジュースを渡してくる。

 

「そんな、いろいろ教えてもらうのにそこまでしてもらうのは失礼だべさ」

 

「まぁまぁ、そんな気にせずに」

 

「じゃぁ悟飯ちゃんの分だけもらうだべ」

 

押しの強いトンパから、一本だけ受け取る。

 

「ありがとうございます、トンパさん」

 

(え、笑顔が眩しすぎる…)

 

あまりに屈託のない笑顔を見せられて頬をひきつらせるトンパ。

 

「と、とりあえずこんな話してても埒があかないんで簡単に説明するよ。ー」

 

そして、チチと悟飯はトンパからハンター試験の内容についてざっくりと説明をしてもらった。

 

********************************

 

「3~4つの試験があって、どれもすんげぇ体力が必要、だべか…。おらが行っても悟飯の邪魔するだけになっちまいそうだ」

 

「お母さんなら大丈夫だとは思いますけど…。それに何かあっても僕が守ります!」

 

「ご、悟飯ちゃん…本当に良い子だべ…。でもいいだ。それに食事の代金も払ってないだべ。おら上にあがる方法見つけて払ってくっから、悟飯はしっかりとハンター試験クリアしてくるだ!」

 

「は、はい!」

 

そこへトンパが割り込んでくる。

 

「ここで帰りを待つのはやめといた方がいいな。ハンター試験は何が起こるかわからない。待つなら家で帰ってくるのを待ってた方がいいと思うぜ」

 

(一人でも減るならそれに越したことはないしな)

 

「そうだべか…そしたらおらはお会計済ませたら家に帰ってるだよ。トンパさん、それじゃぁお願げぇしますだ」

 

そう言って離れていったチチは、番号札を配っていた小男に話をして上階への非常扉を潜っていった。

 

残された悟飯にトンパは話しかける。

 

「まぁ寂しいのはわかるが気落ちせずにジュースでも飲んで楽にいこうぜ」

 

「ありがとうございます。頂きます」

 

悟飯がジュースを飲み干すのを見るトンパ。

 

(ヒヒヒヒヒ。飲んだぞ。可哀想だがこれも試練ってやつよ)

 

「そうだ、せっかくだから参加者で知ってるやつらを紹介してやるよ」

 

蛇使いや格闘家の紹介をしている最中に叫び声が聞こえる。

 

「ちっ…危ないやつが今年も来やがった。44番ヒソカ、あいつにだけは近づくなよ。危険すぎる」

 

(そうかなぁ?強い気は感じないけど…)

 

「そうそう、君みたいな子供も参加してるよ。あそこの99番と405番。二人とも歳が近そうだから話すならその辺りがいいんじゃないかな」

 

(そろそろ下剤ジュースが効いてきてもいいはずだが…)

 

ジィー

 

「ん?何か?」

 

(ジュースの缶を見つめてる?)

 

「あの、ジュースなら大丈夫ですよ。きっと賞味期限切れてたとかですよね?変な味しましたけど、なんともありませんから」

 

(ギクッ!)

 

「いや、はは…そうなんだよ!本当にごめん!」

 

(どうなってんだ今年の新人は…)

 

(やっぱりピッコロさんはすごいなぁ。5歳のときに荒れ地に放り出されたときに何でも食べて生き抜いた経験が生かされてる)

 

「じゃ、じゃあオレはこの辺で…」

 

「トンパさんありがとうございました!」

 

ジリリリリリリリリ!

 

離れていくトンパを見送ってすぐ、試験は始まった。

 

****************************

 

「では、これよりハンター試験を開始いたします。私についてきて下さい」

 

試験官のサトツはそういうとスタスタと歩き始めた。

 

(ついていくだけ?これなら簡単そうだ)

 

しばらくついていくと段々スピードが上がっていく。

脱落者も出だした頃、悟飯は声をかけられる。

 

「オレはゴン!隣はキルア!んで、クラピカにレオリオ!君は?いくつ?」

 

「あ、初めまして。僕は孫悟飯です。今年で11になります」

 

「げっ、年下かよ。ちぇ、最年少だと思ったのにな」

 

口を尖らせながら拗ねるキルア。

 

そのまま5人でワイワイと話をしながら階段をかけ上り平原に着く。

 

「ゴール?」

 

「いや、この様子だとまだ何かありそうだ」

 

悟飯の問いかけにクラピカが答えたとき試験官のサトツが声を出す。

 

「ヌメーレ湿原、気を抜くと命を落としますよ」

 

「待て!そいつは偽物だ!本当の試験官は俺だ!」

 

怪我をした男が急に飛び出してきて参加者を引き留める。

 

「見ろ!人面猿が試験官に化けてやがるんだ!」

 

ざわつく

 

「え、でもおじさん人じゃないよね?」

 

悟飯の声に注目が集まる。

 

「だって、"気"が人じゃないよ」

 

「な、何を言ってやがる…」

 

「えーっと、…んっ!」ボッ

 

一瞬気合いをいれた悟飯の気に当てられて、人面猿がまとっていた変身の気が吹き飛んで本性が露になる。

 

(いまの気配はなんだ!?)

 

サトツは一瞬で全身に冷や汗をかいていた。

 

(美味しそうじゃないか…)

 

ヒソカはしたなめずりをしながら悟飯を見つめる。

 

「…さ、さて。こういう危険があるとわかったはずです。皆さん騙されずについてきてくださいね」

 

サトツはなんとか平然を装い、また歩き始めた。

 

******************************

 

「悟飯、さっきのなんだよ」

 

キルアが話しかけてくる。

 

「気っていうんだけど、どう言ったらいいのかなぁ」

 

「わっかんねぇ…。それより気を付けないと。あいつ、霧に乗じてヤるぜ」

 

その瞬間、トランプが飛んでくる。

 

「いってぇええええええ!」

 

レオリオが悲鳴を上げた。

 

「ククク」

 

「ヒソカ、さん?」

 

「君は?406番、さっきの人面猿を見破った男の子だね◆」

 

「何をしてるんですか!?危ないじゃないですか!」

 

「試験官ごっこ◆」

 

「ふざけないください!僕は誰も傷つけたくないんですよ。だからこういうことやめてください」

 

「…それは、ボクより自分の方が強いって言ってるのかい?◆」ゴゴゴゴゴ

 

ゾクッ

ゴンとキルア、クラピカにレオリオの4人は背筋が凍るほどの恐怖に刈られる。

 

「はい」

 

(やめるんだ悟飯君ッ!)

 

「ふぅん…◆」

 

何気ない振りをした瞬間、トランプが悟飯に向かって飛んでいく。

 

シュン

 

(消えた!?◆)

 

「やめるように言った」

 

ヒソカの後ろに高速移動した悟飯は低い声で再度言った。

 

(見えなかった…だが!◆)

 

ヒソカは回し蹴りを繰り出す。

 

悟飯は易々とそれを掴み、足を潰すように力を込める。

 

(これはっ!◆)

 

「やめろと言った」

 

「クッ…ここはやめておこう◆」

 

悟飯が足を放し、ヒソカは一歩下がった。

 

完全に呆然とする4人のところへ行き、悟飯は声をかける。

 

「ずいぶん離れちゃいましたね…追いかけるので皆さんぼくに掴まってください」

 

悟飯は4人を掴まらせると、フワッと浮き上がる。

 

「おいおいおいおい!なんじゃこりゃぁああ!」

 

叫ぶレオリオは一旦無視して、ヒソカを見下ろす。

 

「覚えておくといい。後でまた◆」

 

不気味な笑みを見せるヒソカに悟飯は

 

「あなたは人を傷つけすぎた。これ以上はなにもさせない」

 

悟飯は魔閃光でヒソカを地の果てへ吹き飛ばした。

 

「は?」

 

唖然とするクラピカを横目に、サトツの気を探って二次試験会場へと悟飯は飛んでいった。

 

***************************

 

 




すみません、疲れたので終わります…
ちなみに初投稿です

こんなのでも人気が出たら続きを書きます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。