「答えは出たかい?」
「ああ」
「じゃあ、もう一度問おう。私の力になってくれないかい?対価は元の世界への帰還だ」
束が腕を差し出しながら言うと、
「いいだろう。ジェリド・メサ、これより篠ノ之束博士の指揮下に入る」
ジェリドはその手をとって答えた。
「良い返事だ。じゃあ早速ISを作ろうか」
「一体どうするつもりなんだ?ISは女にしか扱えないんだろ?」
「君のバウンド・ドックを使ってISを作るんだよ。ISのシステムも用いるけど、ほとんどはMAのものになる。だから、厳密にはISとは呼べない代物になるね」
「そんなことが可能なのか」
そう言うジェリドは少し呆れた様子だ。この質問に対する束の答えなどわかっている、といった様子だ。
「世界最高の頭脳、篠ノ之束様だからね!」
束はエヘンと胸を張って答えた。
「ところでさ……」
急に束の声のトーンが低くなる。
「どうしたんだ?」
ジェリドが心配したように声をかけると束は急に満面の笑みを浮かべて、
「何なのこの子!ちょっと可愛すぎやしないかい!?」
と言った。
「……可愛い?……これが?」
自分が乗っておいてなんだが、これはまさしくゲテモノの類いだと思っていた。左右非対称の腕。謎の触覚。奇怪な脚。ジェリドが見た中で最高のゲテモノ機体であった。が、
「キュートなウサミミに可愛いスカート!つぶらなひとつ目も最高だよ‼この子を作った奴は天才だね!君もそう思うよね!」
どうやら天才のセンスは少しおかしいらしい。
「あ、あぁ。そ、そうだな」
ジェリドは全く同意できなかったが、余りにも嬉しそうな束の姿に思わず肯定してしまっていた。
「やっぱり!君は話がわかるね!やっぱりウサミミは最高さ!!」
やはりここでもエヘンと胸を張る束。頭のウサミミがピョンピョンと揺れていた。
⬛
床が開いて、一機のISが現れる。
「これが君のIS。MAバウンド・ドックを元に作った最強のIS……」
「これが、俺の、IS……‼」
「名前はあるのか?」
「ハウンド・ラビット、なんてどうかな?」
「やっぱりウサギに拘るんだな……猟をする兎ってのも変じゃねえか?」
「猟犬ならぬ猟兎。いいじゃん格好いいし」
「そうか……」
「バウンド・ドックの装甲は尋常じゃない固さだった。それをそのまま使っているから、守りは既存のISにおいて最強。ただ装甲が重くて、機動力にかなりのエネルギーを割かないといけなくてね。本来シールドバリアーや絶対防御に使われるエネルギーをまわしてる。まぁ、なんてったって固いからね、シールドバリアーは使えないけど全く気にならない筈さ。絶対防御だけは緊急の時に局所的には発動できる。
あぁ、防御のためのエネルギーの量は洒落にならないからね。機動力のためには多すぎるくらいだから攻撃にもその分はまわしてるけど、それでも尋常じゃない機動力を誇る。兎の名に恥じない素早さの筈だ」
終止楽しそうに、得意気に説明をする束。ジェリドは、バウンド・ドックの見た目が好きというのもあるだろうが、束が自らが作ったISをとても愛しているのだろうと思った。
「猟兎ねぇ……上等だ!早速乗ってみてもいいか?」
「勿論だよ!あ、乗り方はわかるかい?わからない?まずはね、これをこうして……」
「じゃあ、試運転よろしく。この島の上空を少し飛んでみよう」
「了解だ。ジェリド・メサ、ハウンド・ラビット、出る!」
その日、世界に兎が解き放たれた。
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