Fate/stay night ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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その9

 

 

目が覚めるといい朝だった。とりあえず霊体化して様子を伺う。意味は特に無い。

意味は無いが、なんとなく起きていた方がいいような気がした。直感スキルのお告げにはある程度従うことにしている。逆らうときは逆らうけど。

 

そんなわけで暇していると、誰かがこの屋敷に入ってきた。あまりにも当たり前のように入ってきた上、(恐らくだが)少年君の事を呼んでいることから敵ではないと判断した。

けど、なんか気持ち悪い気配があったのでその背後で一瞬実体化して斬魔剣弐の太刀でその気持ち悪い雰囲気の元だけを斬り捨ててまた霊体化した。

 

その娘………仮に少女Bと呼ぶことにするが、少女Bはその直後にびっくりした表情になり、しきりに自分の胸を確認していた。いったいその胸に何があったのやら。縮んだとか?

 

そしたらずっと警報を鳴らしていた直感がようやっと静かになったので、俺はとりあえず二度寝することにした。

どうやら今回の直感警報の原因は少女Bにあったようだ。まあ、もう原因消したけど。

 

少女Aを起こして、学校に遅れても知らないと言ってから寝る。実体化したままだから攻撃されたら死ぬかもしれないが、シルバースキンを重ねて着てるから大丈夫だろ。多分。

 

ちなみに、白少女はいまだに眠っている。少年君はもう起きているけど鍛練中。全身青タイツのお兄さんは屋根の上で霊体化して見張りをしているし、腹ペコさんは霊体化できないらしいからとりあえず寝ているようだ。それで少しは消費魔力が減るそうだが、焼け石に水だろうな。多分。

少年君はうまく腹ペコさんと契約できていないみたいだし、大変そうだねぇ……。

 

まあ、俺の知ったことじゃないけどさ。

 

……そうそう、少女Bだけど、どうやら聖杯戦争に参加してるみたいだな。アサシンかキャスターかライダーの……ああ、多分ライダーのマスターだな。勘だけど。

……そんなわけで、おやすみ。少女Bは少年君が適当に落とすなりなんなりしとくといいんじゃないか? どうやら仲はいいみたいだし。

 

 

 

 

 

side 間桐 桜

 

朝先輩の家に来てみると、いきなり私の中にずっといたお爺様がいなくなった。理由はわからないけれど、少なくともお爺様の意思で私の中からいなくなったわけじゃあなさそう。

その事も気になるけれど、先輩に心配をかけるわけにもいかないので、私はいつものように料理を作った。

 

…………けれど、そこから先に起きたことは、私の日常を完膚なきまでに砕ききることができる衝撃を私に与えた。

 

「あら、桜じゃない。お早う」

「……お早うございます、遠坂先輩」

「硬いわねぇ。姉さんでもいいわよ? 嫌ならいいけど」

「へ?」

 

もう二度と使うことができないと思っていた言葉と、姉さんの言葉。私がそれに驚いている間に、姉さんは食卓についていた。

 

「そうそう、私これからしばらくここに住むから。私だけじゃなくってもう何人かいるけど」

「……へ?」

 

姉さんの言葉にまたぽかーんとしてしまう。姉さん以外に、もう何人か……?

 

「……おはよ、リン」

「あら、遅かったわねイリヤスフィール」

「……うるさいわね………リズもセラもいないんだから……仕方無いじゃない………」

 

そう言いながら現れたのは、銀色の髪をした小さな女の子。目が赤くて白い髪。それを見てるとなんだか雪兎を思い浮かべてしまう。

………それは別にいいんですけど、どちら様ですか?

 

「聖杯戦争でやる気が始めから無い、もしくはやる気が削がれた組で同盟を組んだアインツベルンの魔術師よ」

「そ……そう……ですか………」

「そうよ。自己紹介は必要かしら?」

「あ、はい、できれば……」

 

私がそう言うと、その白い女の子はふふんと(平らな)胸を反らし、堂々と名乗りを上げた。

 

「私はイリヤスフィール・フォン・アインツベルン。バーサーカーのマスターで、一応言っておくと18よ」

「「嘘っ!?」」

 

その体で18歳……? ……いえ、きっと靴のサイズとかそういうのに違いありません。

 

「……靴のサイズとか体重とかじゃなくて、歳の話よ?」

「いやいや、いくらなんでもサバ読みすぎよー?」

「本当なんだけど……」

 

イリヤスフィールさんはそう言うけれど、正直信じられないです。ごめんなさい。

 

「……ドリーマー。出てきなさい」

「……はーい」

 

そう思っていると、姉さんが誰かを呼んだ。名前からして多分、聖杯戦争のために呼び出したサーヴァントだと思う。

呼ばれた人(?)は銀色のコートで全身が隠れていて顔もなにもわからないけれど、小さな体躯から子供じゃないかという予想くらいはつけられる。

 

「今の聞いてた?」

「外見からすると疑わしいことこの上ない年齢サバ読み疑惑のことだったら、そこの白少女の言葉が正しいと思うよ? 勘だけど」

「あんたの場合は勘だからこそ説得力があるのよ」

「それじゃあついでに、そこの少女Bもマスターな気がするよ? 勘だけど」

「……マジ?」

「さあ? こっち来てから軽く三桁直感にしたがってるけど、外れたこと無いなぁ」

 

それはいったいどんな勘ですか。というか、イリヤスフィールさんの視線がすごく痛いです。

 

「……桜。私達と敵対する気………ある?」

「ありません」

 

ぷるぷると首を横に振る。実際私は姉さんや先輩と戦うことなんてしたくないし、そもそも戦うという行為そのものが好きじゃない。

けれど、お爺様がそれを許してくれなかったから私はこうしてマスターになっているわけで…………でも、どうしてかさっきから私の中のお爺様がいなくなって……。

 

「あ、それとなんか気持ち悪い気配がしたから斬っちゃったけど平気? 心臓の辺りのやつ」

 

原因発見。どうやらいつのまにかよくわからない方法でお爺様は浄化されてしまったらしい。

浄化されたお爺様………綺麗なお爺様………………。

 

『ほっほっほ、元気でいいのぅ……』

……とか言いながらお茶を啜って太陽を眺めて目を細めるお爺様。

 

『今日は正月じゃな……ほれ、おとしだまじゃ』

……とか言いながら小さな色とりどりのビー玉を床に落とすお爺様。……あ、ビー玉じゃなくて宝石だった。

 

『怪我をしておるぞ』

そう言って手ずから兄さんの腕の傷を消毒し、軟膏をつけたガーゼを当てて包帯を巻くお爺様。

 

…………なんだか少し気分が悪くなってきました。

 

「たーいへん」

 

……本当ですよ。まったくもう………。

 

 

 

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