Fate/stay night ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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その5

 

 

 

少女Aが少年君の心臓の動きを再開させてから少年のクラスの少年君の席に寝かせて帰る。そんな俺の後ろには、アナザータイプのシルバースキンを着て身動きがとれなくなった全身青タイツのお兄さんが宙に浮いている。

その手首からシルバースキンの鎖が伸びていて、その反対側の先は俺の着ているシルバースキンに繋がって引っ張られている。

ちなみにこの鎖は俺の帽子を解いて作ってあるため、今の俺は帽子を被っていない。

……逃がさないぞ~抱き枕~♪

 

「……ねえドリーマー?」

「どうしたんだいご主人様? まるで自分の信じる神が目の前で敵だと信じ込んでいた相手と仲良く酒盛りをしているところを見た敬虔な宗教家みたいな顔をしているけど?」

「わかりにくいようでわかりやすいような気がする説明をありがとう。…………それで、なにそれ?」

 

少女Aが指差したのは、シルバースキンのアナザータイプを二枚重ねで着た上からノーマルのシルバースキン・アナザータイプを着せられている全身青タイツのお兄さん。さっきから全身青タイツのお兄さん全身青タイツのお兄さんと呼んでいるが、今は銀色コートに黒い帽子のお兄さんになっている。

まあ、その下は全身青タイツなんだけど。

 

ちなみに、武器の真っ赤な槍はちゃんと拾ってアンダーグラウンドサーチライトに放り込んである。流石に英霊である全身青タイツのお兄さんの武器を放置するなんてことはしない。

 

「もちろん、全身青タイツのお兄さんだけど? 飼っていい?」

「駄目よ」

「お願い!ちゃんとお世話するから!」

「そういう問題じゃないの。いい? 相手はサーヴァントなのよ? いつ私達に牙を向くかわからないんだから」

「……おい。お前ら俺のことを犬猫と同じ扱いしようとしてないか?」

 

全身青タイツのお兄さんはいつの間にか起きていてぼそりと呟かれるが、とりあえずその問いにはこう答えよう。

 

「犬猫に当てはめるとしたら猛犬だと思う」

「……そうなの?」

「そんな気がする」

 

直感スキル発動中。この状態の俺の勘はかなりの確率で当たる。だから多分この全身青タイツのお兄さんは猛犬だと思う。

 

「そんなわけで、家においで? サーヴァントだからご飯はないけど、昼寝つきだよ?」

「……悪いがそうもいかねえ。俺にはもうマスターがいるからな」

 

そういやそうだな。

まあ、それならこの『契約を切る効果がある(と思う。実際はどうかは知らないけど多分ある)剣』を使って契約を斬ってやればいい。切れるかどうかわからないけど、多分いける。

 

そんなわけで、俺は作ったばかりの剣を振り上げる。

 

「動くと男としてかなり大切なものが真っ二つになるかもしれないから気を付けてー」

「……動かなかったら?」

「うまくいけば令呪の契約が切れる。失敗すると正中線から体が真っ二つに切れる」

「怖ぇなおい!? 一気に逃げたくなって」

「…………逃げようとしたら確実に魂の緒を切る」

「………………」

 

逃げようとしてじたばたと暴れようとした全身青タイツのお兄さんだったが、どうなるかを聞いてすぐに動きを止めた。まあ、実は斬魔剣弐の太刀で斬れると思うんだけどね。実力があれば縁とか運命とか巡り合わせまで斬れるらしいし。

 

「ちょっと待った。そんなことできるものなの?」

「さあ? 多分できると思うけど?」

 

できなくっても俺には実害はないし。

ついでに、シルバースキンを抜けるからいちいち解かなくてもできちゃうしな。それがいいところだよ。

斬魔剣なら相手が霊体だろうが普通に斬れるし。

 

「そんなわけで、ほいっと」

 

俺は躊躇なく全身青タイツのお兄さんを縛る令呪の繋がりに向けて剣を振り下ろした。

 

 

 

 

 

side 遠坂 凛

 

私の目の前には、私が呼び出したサーヴァントであるドリーマーが居る。

そしてそのドリーマーに抱き付かれ、微妙な表情を浮かべているランサーも。

 

「…………なあ、魔術師の嬢ちゃん」

「…………何よ?」

「…………何で俺はこうしてこいつに抱き付かれたまま寝っ転がってるんだ?」

 

私にそう問いかけた理由は十分に理解できる。ただ、私だって気付いたらあれよあれよと言う間にランサーと新しく契約を結んでいたのだから、よくわからない。

どうやら私の呼び出したサーヴァントは、相当な規格外だったらしい。

自分の令呪を分割し、二つ残っていた片方をランサーの令呪としてランサーと契約を結ぶ。

すると元々のランサーの令呪まで私に宿り、ランサーの令呪が二つになる。

それから元々自分のだった令呪を取り戻し、私はドリーマーとランサーの二体の英霊を従えることになったのだった。

 

…………うん。自分で言っててあれだけど、凄まじくワケわからないわ。

だから、悪いけどランサーの問いにはこう答えるしかない。

 

「全てはドリーマーの掌の上ってことよ」

「……そうかよ」

 

そう言いながらもランサーはドリーマーの頭を撫でる。ドリーマーはランサーの体をぎゅっと抱き締め、その弾力を楽しんでいるように見えた。

 

「……………何だかなぁ……こいつ見てると戦う気が萎えるんだよな」

「あ~……何となくわかるわそれ」

 

つんつん、とドリーマーのほっぺをつつく。まったくもう。気持ち良さそうに寝て……。

 

…………ん? 何か忘れてるような気が……。

 

…………あ。衛宮くんの記憶処理忘れてた。

 

私はがばっと起き上がり、そして上着を着る。

 

「おいおい、急にどうした」

 

ランサーの問いには簡潔に答える。

 

「出掛けるわよ。ランサーはドリーマーを連れてついてきて」

 

私はそう言いながら家を出た。

 

 

 

 

 

 ~その頃のへっぽこ魔術使い~

 

「問おう。貴方が私のマスターか?」

「…………え? マス………なに?」

 

魔術の鍛練中にいきなり出てきた女の子にマスターと呼ばれ、狼狽していた。

 

 

 

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