Fate/stay night ~ほんとはただ寝たいだけ~   作:真暇 日間

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その6

 

 

 

ぐらぐらと揺れているなかで目を覚ますと、俺は全身青タイツのお兄さんの背中にいた。どうやら俺はどこかに運ばれているらしい。

ところで、全身青タイツのお兄さんの名前はなんだろうか? ご主人様である少女Aの名前も聞いていないし、これはできるだけ早めに聞いておいた方がいいような気がする。

 

……まあ、後ででいいや。めんどくさいし。眠いし。

……俺達はどこに向かっているのかね? 面倒だけどそう言うのを知るのは大事だ。

 

…………ん? なんか来るな? とりあえず防御防御っと。

 

 

 

 

 

side ランサー

 

突然のことだった。マスターの嬢ちゃんの目的地らしい家の塀を飛び越えて、サーヴァントが俺に攻撃を仕掛けてきた。

とっさに防ごうにも背中にはドリーマーがいてうまく武器を使えないし、避けたら嬢ちゃんに当たるから避けられない。

……ったく、今日は厄日か?

 

そう考えた直後に、俺と相手のサーヴァントの間に銀色の壁ができあがる。

相手の姿を覆い隠したその壁は甲高い音をたててサーヴァントの攻撃を防ぎ、そして未だに空中にある敵サーヴァントに纏わりついて黒っぽいコートに姿を変える。

 

「こいつは……」

「シルバースキン・アナザータイプ」

 

俺の背中のドリーマーから声が聞こえた。やっぱりこの宝具はこいつのだったらしい。

ずりっと俺の肩越しに顔を見せるこいつにサーヴァントが斬りかかろうとするが、その直前にどういうことか声が響いた。

 

「やめろ!セイバー!」

 

そしてなんでか令呪が発動され、着せられたコートから伸びた鎖によって既に止められながらも俺達を斬ろうとしていた剣が完全に止められた。

その隙にドリーマーはさらに敵サーヴァントに黒っぽいコートを重ね着させる。どうやらこの黒っぽいコートには着せた相手を拘束する効果があるらしいな。

 

驚愕の表情を浮かべるサーヴァント━━━恐らくセイバー━━━に、門から出てきた人間が近付いていく。多分あれがマスターだろう。

 

「マスター!何をするのですか!」

 

そいつにセイバーが怒鳴り付けるが、マスターの方は逆にセイバーの方を叱っている。

………なんつーか…………聖杯戦争のマスターらしくねえなぁおい。どんな平和者義者だよ。

 

そしてそんな小僧を見ていた嬢ちゃんは、しばらく固まってから『善良に見える笑顔』の仮面を被って小僧に話しかけた。

 

「こんばんは、衛宮君。少し話があるのだけれど……構わないかしら?」

 

……おお怖い。いつの時代も女ってのは怖いもんだな。

 

 

 

敵対しているはずの相手を普通に家に上がらせ、毒やら何やらの入っていない普通の茶を出して、なぜか俺達とこの坊主は同じテーブルについている。

とりあえず俺は出された茶には手をつけていないが、膝の上ではドリーマーがのんびりと緑茶を啜っている。なんと言うか……眠く………なっ…………

 

「起きなさい、ランサー」

 

……っと。危ねえ危ねえ、つい寝ちまう所だった。こいつの催眠誘導スキルは凄まじい強制力があるな。

それも、僅かとはいえセイバーにまで効果があると言うことは、それこそ対魔術戦では無類の強さを誇るセイバークラスの抗魔力を抜ける程の高ランクの呪い……もしくは魔術だと言うことか。

……だが、だとすると嬢ちゃんがその高ランクの呪いなりなんなりに随分抵抗することができるってことはおかしいよな? ったく。本当に面倒なことになった。

 

…………そう言や、何で俺がこうしてドリーマーを膝の上に座らせてんだ? その理由がよくわからないんだが。

 

「嫌?」

「……別に嫌じゃないが………」

「じゃあ、邪魔?」

「……いや、邪魔でもないが………」

 

……ってか、一応セイバーは武装してるんだからこっちもある程度緊張感をだな…………。

……いや、今更か。

 

俺は溜め息をつき、とりあえず近場にあったドリーマーの頭を撫でていた。

 

……はぁ……やれやれ。

 

 

 

 

 

side 織斑 一夏

 

色々と話し合いをして、とりあえず教会に行くまでは敵対しないことにしたらしい。

そこから後はどうなるのか知らないけど、とりあえず俺のことをじっ………と見つめているセイバーと少年君(エミュー君だっけ?)をなんとかしてほしい。

あと、少女Aの名前が判明した。凛だそうだ。なんか混ざるから少女Aもしくはご主人様で統一しようと思う。

 

そんな俺は今、ランサーに背負われて教会に繋がる道を進んでいる。ランサーはなんかすっごい嫌そうだが、まあ、なんか気持ち悪い気配がするからわからないでもない。12キロメートル以上離れていても、ある程度の気配察知はできるからな。

ただ、離れれば離れるほど気配は曖昧になっていくし、精度も落ちていくからあんまり信用はできなくなってくるけど。

 

……さてと。出番があるまで寝とくか。無いと嬉しいけど。

聖杯に頼むんだったら、多分俺は睡眠時間を頼むな。

そんなことをしなくとも、聖杯戦争がいつまでも続けば俺はいつまでも寝ていられるんだけどさ。

 

 

 

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