Fate/stay night ~ほんとはただ寝たいだけ~ 作:真暇 日間
適当なことを暴露してみたら、なんだか予想以上に反響があった。
誰から反響があったかは言わなくてもわかると思うが、あえて言ってみると白少女だ。
白少女はずっと俺に向けていた視線を俺からセイバーに向け、その顔を凝視している。
まあ、一応マジの話だし、俺はその事を黙ってろとか言われた覚えは無いし。
ただ、セイバーからの視線が痛い。そんなに見つめられると穴空くぞ? 嘘だけど。
「ちょっと待ってドリーマー………なんでそんなことを知ってるの?」
「ご主人様が学校で寝てる間に散歩してたら偶然会ったギルさんに聞いた。拐われそうになったけどたい焼き上げたら放してくれた。前回の聖杯戦争の生き残りだったんだってさ。偶然だね」
「誰よそのギルって」
「忘れた。長い名前は覚えられないんだよね。具体的には平仮名表記にした後ローマ字に変換した時に母音が三つ以上ある名前だけど。だからずっと渾名で呼んでたわけだし」
頭の中では結構雑に。
「ちなみに、『少女A』、『全身青タイツのお兄さん』、『白少女』、『少年君』、『セイバー』」
「なんでセイバーだけ普通なの!?」
「じゃあ『腹ペコさん』」
「じゃあってなに!?」
少女Aからのツッコミが激しい。今はそんなことをしている場合じゃなかろうに。
ちなみに、ギルさんとは結構いい関係。お待ち帰られそうになったけど。
なんと言うか、お願いしたら膝で昼寝とかさせてくれそうなくらいには良好な関係……かな?
「そんなことより!キリツグがこのセイバーのマスターだったって本当なの!?」
「本当なの?」
「…………ええ」
苦々しげに答える腹ペコさん。まあ、腹ペコさんはそのマスターの事が嫌いだったらしいから、あんまり答えたくないんだろうけど。
だけど俺は知ったこっちゃない。とある平行世界でぽっちゃりした少佐殿が三千世界の鴉を殺す地獄のような戦争を望んで実行に移そうが、固体の蛇さんがよく使う段ボールを出して隠れてみたら全身青タイツのお兄さんから見つからなくなって困ってようが、腹ペコさんの宝具と同じ名前のうざい剣を出せるかな~と思って挑戦したら出せちゃったからすぐさま消したか声だけ飛んできてちょっと怒られてようが、エターナルな葱フィーバーみたいに全身からなにか出せようが、少女Aの家のリビングが俺のベッドルームになっていようが、俺には関係ない。
……いや、最後のはあるけど。
「……そうそう、最初から思ってたんだけどさ………セイバーの腕、でかいダンゴムシがくっついてるよ?」
「まったく関係無い話に跳んだ!?」
「これはダンゴムシではなく」
「王蟲ですねわかります」
「違います!」
あっはっは、ああ楽しい。でも実際そんな感じに見えない?
って言うか、話し合いの席にそれは無粋だよなって話なんだけど。全身青タイツのお兄さんだって、ちゃんと武器と防具はしまってるのにさ。
そんなわけで、そのダンゴムシをしまうといい。俺はシルバースキンは脱がないけど。
そしてそのまま寝る。おやすみ。
side ランサー
……なんつーか、情報が錯綜してるな。
十年前の聖杯戦争のセイバーのマスターが今のセイバーのマスターの坊主の養父で、そしてバーサーカーのマスターの実の父親で、前回の聖杯戦争でセイバーは聖杯を破壊していて、嬢ちゃんの父親も参加していて……ああめんどくせえ。とにかく色々とあったってことだな。
そんで色々あって、なんでか俺らはやる気を根こそぎ無くして同盟を組んだ。マスター達のやる気のなさがかなりやばいことになっていて、正直もうラインで繋がってる俺らの方までやる気を無くしてる。
それで現在、もう時間も遅いし寝ることに。当然と言うかなんと言うか、中心にいるのはドリーマーだ。
バーサーカーのマスター━━イリヤ嬢ちゃんも、なんつーか色々な意味で疲れた顔をしていたし、全員が寝て……はいないようだ。
少なくとも俺は起きてるし、セイバーも起きている。バーサーカーは……出てきてないからわからねえな。
とりあえず俺にくっついているドリーマーを嬢ちゃんにくっつけて、俺は霊体化してこの家の屋根に上る。
そして星を見上げて、一息ついた。
………時代は変わっても、この景色だけは変わらねえな。
まだまだ俺がガキだった頃に、世話になったあの女を思い出す。
俺に武器の扱いを、戦術の組み立て方を、ルーン魔術の全てを叩き込んだ、厳しくも慈悲深い、影の国の女王を。
そして、その女と弟子たちと、一緒に眺めた星空を。
「……思えば遠くに来たもんだ……ってか?」
あんな終わり方をしたせいで、全力同士の戦いに飢えていた俺は、国を越え、時代を越え、日本の冬木に召喚された。
初めの方はつまんねえ命令に縛られていたが、その途中で状況が変わる。
ドリーマーに契約を切られ、新たにマスターを迎え、セイバーとそのマスターに出会い、バーサーカーとそのマスターとの一触即発の空気を経て、なぜか俺はここにこうしている。
……どれもこれも、無意識に真面目な空気をぶち壊すドリーマーのせいっつーかお陰っつーか……まあ、感謝はしてる。
これからは相手が向かってこない限りはこっちからは攻撃しない事になってるし、俺もそういうことで納得した。
キャスターはセイバーが。アサシンはドリーマーが。ライダーは俺が相手をする予定になってんだが………まあ、予定が狂うこともあるよな。できれば俺が全力で槍を振るうことができる相手と戦いたいもんだ。
………そう言や、殺し合いじゃなければ別に戦ってもいいんだよな? だったらセイバーを誘ってみるか。
あいつも武人なら、手合わせしてみたいと思うだろうしな。